![]() |
第2回 情報が漏れた! まず何をすればいいのか?
根津 研介 園田 道夫 宮本 久仁男 2004/12/23 |
|
![]() |
調査するところと調査の方針、そして方法 |
3人はさらに別の視点で情報をまとめる方法をいくつか考えた。
●顧客情報に触れた可能性があるメンバーのチェック(2)
古い情報がアクセスされ、使われたということで、その情報に直近でアクセスがあったかどうかのチェックを行う。
実は、顧客情報データが存在するかどうかのチェックをしたときに、小野さんからは「ちょっと考えがあるから、実際にその情報に触らない(アプリケーションで開いて見ない)ようにして」という依頼があり、「まず存在を確認するだけ」にとどめていた。
●小野さんの秘策〜MACタイムチェック
どうやら小野さんは、顧客情報データが入ったファイルに対して最終アクセス時間をチェックすることを考えていたらしい。
- 最近アクセスされたものがどれか
- アクセスされたものは「古い顧客情報ファイル」か
- 古い顧客情報ファイルが最後にアクセスされたのはいつか
さらに、大量に残されたtcpdumpのデータの解析、そのほかのログの解析について、小野さんがいろいろ考え出してきた。
まずは、UNIXが動いているコンピュータにテキストのログファイルデータを移し、grep、sed、awkやスクリプトなどの豊富な文字解析機能を駆使して分析する方法にチャレンジすることにした。しかし、中村君がいわれて試してみると、大きなデータに対してはなかなか反応しない。Webで調べるとどうやら、スクリプトや文字処理はかなりのメモリと時間がかかる処理らしい。
中村君は社内で最も強力なマシンを調達することにした。問題はまだUNIXがインストールされていないことで、ちょっと古めのLinuxディストリビューションを持ち出してきてインストールを始めた。実は勉強のために、ひそかに家でインストール作業を「練習」していたのだが、それがこんなときに役立ったというわけだ。
さらにWebで調べたら、tcpdumpのデータはetherealというツールで読み込めることが分かった。GUIみたいだし、もしかしたらこのツールで読み込んでおいた方が分かりやすいし検索しやすいのかもしれない。etherealはMicrosoft Windows上でも動くので、このツールも手元で最大のメモリを搭載しているコンピュータに仕込んでみる。
小野さん | 「テキスト処理のスクリプトを作ってみるよ。Perlはあまり使ったことがないんだけどね」 |
中村君 | 「日本語コードが難しそうですね」 |
小野さん | 「とにかく、すべてのログから顧客データへのアクセスをあぶり出したいんだけど、でも、システムログはそういうデータに関しては望み薄だよなあ」 |
中村君 | 「やっぱりtcpdumpのデータですかねえ」 |
平山さんはさっきから黙ったままでキーボードを打ち続けているし、小野さんと中村君の手元のコンピュータは、重い処理をこなすために表層上のろのろとなりながら頑張っていた。コンピュータも人間も総動員でフルに稼働していた。
![]() |
4/5
|
![]() |
Index | |
情報が漏れた! まず何をすればいいのか? | |
Page1 データの流れを把握する! |
|
Page2 誰が顧客データに触れたのか? 〜ザルな契約とその概要 |
|
Page3 調査の障害は意外なところから〜社内にも敵? |
|
![]() |
Page4 調査するところと調査の方針、そして方法 |
Page5 そして最悪の事態に〜マスコミへの事件リーク |
基礎解説記事 | |
にわか管理者奮闘記 | |
5分で絶対に分かるシリーズ | |
管理者のためのセキュリティ推進室 | |
情報セキュリティ運用の基礎知識 | |
Security&Trustウォッチ |
![]() |
連載:にわか管理者奮闘記 |
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。
![]() |
|
|
|
![]() |