連載
サハロフ秋葉原経済研究所
第1回 メモリとプロセッサの買いどきはいつ?
2. プロセッサの買いどきは2カ月ごとにやってくる?
デジタルアドバンテージ/監修:サハロフ佐藤
2001/01/30
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と、足早に研究所を飛び出した万世橋太郎だが、5分もしないうちに戻ってきた。
所長: |
万世橋君、キミは足が速いなぁ。もう、メモリを買ってきたのかね。 |
万世橋: |
いいえ、違うんです。家のPCは古いので、いっそのことプロセッサのアップグレードもしようかと思い直して帰って来たのです。いま、どのプロセッサが買いどきなのかと思って。 |
所長: |
万世橋君は、自分のこととなると熱心だねえ。それくらい仕事も熱心にやってくれればいいのだがなぁ。だいたい、PCのパーツなんていうのは、必要なときが買いどきなのじゃよ。長期的に見れば、必ず価格は下がるんだから。 |
万世橋: |
まぁ、いいじゃないですか。え〜と、プロセッサのグラフを出してと。どのプロセッサが買い得なのかなぁっと。 |
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インテル・プロセッサの価格動向(2000年7月から2001年1月20日まで) |
インテル・プロセッサのボックス製品(冷却ファンとセットになったインテルの正規販売品)の価格。一部の動作クロック品のみを取り上げている。メモリと同様、サハロフ佐藤(佐藤純一)氏調査による秋葉原のPCパーツ販売店の店頭価格をベースに、編集部で平均価格を算出したもの。平均価格は、最低価格を除いたうえで、その他の店頭価格から算出した。なお、価格調査の結果については、「サハロフの秋葉原レポート」を参照のこと。 |
万世橋: |
あれ? メモリとは違った価格の動きをしていますねえ。ときどき、価格が急に落ちているところがありますけど。 |
所長: |
万世橋君もなかなか鋭くなってきたね。PC用のプロセッサの場合は、インテルとAMDの寡占状態だから、メモリと違って市場の動きで大きな価格変動が起きることはないのだよ。
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Pentium IIIのボックス製品 |
Boxed Pentium IIIとも呼ばれる、インテルがエンド・ユーザー向けに販売する化粧箱入りのPentium
III。冷却ファンが付属しており、インテルの保証も付けられている。またPentium 4では、64MbytesのDirect
RDRAM(RIMM)が2枚同梱されている。 |
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万世橋: |
なら、どうして1週間のうちに急に価格が落ちてしまうのですか? Pentium
III-1GHzは、10月末に2万円近くも価格が下がってますけど。これなんか、価格が落ちる前に買っていたら泣いちゃいますよ! やっぱり調べておいてよかった。 |
所長: |
これは極端な例だが、グラフを見ると、だいたい1.5〜2カ月ごとに価格が急に落ちているのが分かるかね。実は、これはインテルがプロセッサのOEM(PCベンダ向け)の卸価格を引き下げているからなのだよ。 |
万世橋: |
でも、インテルが価格を改定した日よりも前に値下がりしていることもありますよ。 |
所長: |
これはインテルが価格改定を公表する前に、ディーラーなどに新しい価格を通知するため、その価格を事前に反映しているためだろう。こうした現象は、秋葉原独特かもしれない。前倒しして新規の価格が反映されることもあるようだし、PCパーツ販売店は他店との競争に勝つために早めに価格を下げているようだな。 |
万世橋: |
なるほど。ということは、インテルのプロセッサを買う場合は、2カ月ごとの価格改定をチェックして、大きく値下がりした後に買えばいいわけですね。前の価格改定が12月10日だから、そろそろ価格改定の時期じゃないですか。これは、プロセッサは改定された価格を見てから購入した方がいいですね。 |
所長: |
まぁ、そういう考え方もあるが、必要なときに買うのが一番だとワシは思うがのぉ。
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万世橋: |
ちょっと待ってください。じゃあ、AMDのプロセッサはどうなんでしょう? |
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AMDプロセッサの価格動向(2000年7月から2001年1月20日まで) |
AMDプロセッサのバルク製品(プロセッサ単体でAMDの保証がない製品)の価格。一部の動作クロック品のみを取り上げている。 |
万世橋: |
あれ? インテルとほぼ同じか、ちょっと前の時期に急に価格が下がってますねえ。AMDもインテルとほぼ同時期に価格改定を行っているのですか? |
所長: |
だいたいAMDも同じ時期に価格改定を行っているな。というか、インテルへの対抗上、インテルが価格を下げたらAMDも下げざるを得ないという事情もあるようじゃ。事前にインテルの価格改定を察知しているのか、AMDが先に値下げすることもままある。 |
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万世橋: |
分かりました。とりあえず、今日はメモリだけ買うことにします。では、市場調査に行ってきます! |
所長: |
万世橋君、ちょっと待ちたまえ。君の家のPCは古いといっていたが、プロセッサは何を使っているのかね? |
万世橋: |
MMX Pentium-200MHzです。Windows
95が出た頃に買ったんですが、さすがにWindows 2000を動かすのはつらくって。 |
所長: |
万世橋君。MMX Pentium搭載PCということは、メモリはDIMMではないじゃないか? それにMMX
PentiumのPCでは、プロセッサをPentium IIIやCeleronと差し替えることはできないぞ。もはやPCをまるごと買い替えた方がよくないかね。
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万世橋: |
えっ、そうなんですか! メモリってPC100とPC133の違い以外にも種類があるんですか。困ったなぁ。 |
所長: |
困っているのは、こっちの方じゃよ。 |
顧問:サハロフ佐藤(佐藤純一)
オーディオ趣味から秋葉原通いを始め、Gatewayの486マシンの購入を契機にPCパーツ市場の面白さを知る。その後、HP200LXを駆使した価格調査を実施、秋葉原レポートの誕生に至った。幼少期から鉄道と天文を愛好し、最近はノベル系のギャルゲーに傾倒している。神奈川県川崎市在住。
所長:外神田昌平(そとかんだ・しょうへい)
以前、某所で研究所の所長をしていたらしいが、バブルがはじけて倒産。研究所を再建して、再び秋葉原経済の裏側を暴こうと燃えている。
万世橋太郎(まんせいばし・たろう)
サハロフ秋葉原経済研究所の唯一の所員 縁あって、この研究所で働いているもののPC業界についての知識は乏しい。所長に怒られながらも、秋葉原経済を研究中。
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INDEX
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[連載]サハロフ秋葉原経済研究所 |
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第1回 メモリとプロセッサの買いどきはいつ? |
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1.いまがメモリの買いどきなのか? |
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2.プロセッサの買いどきは2カ月ごとにやってくる? |
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