IT Business Reviewフォーラムでは、第4回目となる読者アンケートを実施した。今回はITビジネスの土台となるWebサイト運営について、読者の問題意識や重視する管理指標、Webマイニングツールの使用状況などを尋ねた。ではさっそくその主な結果を紹介しよう。
まず読者のWebサイト運営関与状況を見ると、何らかサイト運営に携わっている人が回答者全体の65%となった(図1)。「個人で立ち上げているサイト」(23%)、「社内の情報共有や営業支援用サイト」(17%)に加え、ビジネス・サイト運営者が25%(「会社広報用サイト」「個人向けEビジネス・サイト」「企業間Eビジネス・サイト」の外部顧客向けサイト合計)という比率だ。
ではWebサイト運営者の課題や問題意識は、現在どのような点にあるのだろうか?上記で何らかWebサイト運営に関与していると答えた人に聞いた結果が図2である。
全体(青棒グラフ)では「サイトのユーザビリティ(訪問者の使い勝手)の向上」がトップに挙げられ、「コンテンツ更新の簡易化・自動化」がそれに続く結果となった。この結果をビジネス・サイト運営者(黄棒グラフ)だけで見ると、1位のユーザービリティは変わらないものの、セキュリティ対策やマーケティング強化意識が全体よりも強く出ていることが分かる。
次にビジネスサイト運営者が、サイトの利用状況や問題点を把握するためどのような指標を現在管理しているか/今後重視したいかについて見てみよう(図3)。まず現在管理している指標では「ページビュー」がもっとも一般的であり、「ユニークユーザー数」「セッション数」がそれに続いている。
一方、今後重視したい指標でページビューを挙げる人は少なく、代わりに「リピート訪問率」「サイト内滞留時間」や「訪問数に占める登録や購買などの行動数(コンバージョン率)」を挙げる運営者が多くなっている。
ページビューは「閲覧されたWebページ数」という分かりやすさ/計測しやすさから、サイトの人気度を量的規模で示す標準値となっている反面、それだけではサイトの質や顧客との関係密度が分からない欠点がある。
リピート率・滞留時間やコンバージョン率などのカスタマ・リレーションシップを管理する指標が重視され始めたことは、Webサイトが単なる告知媒体ではなく、企業と顧客の関係性を深めるインタラクティブな場として認識されてきた証といえるだろう。
上図で見たような指標を管理するためには、Webサーバのアクセスログや訪問者の購買行動などを解析・レポートする分析ツールや“Webマイニング”が必要となる。
分析にはさまざまな手法・ツールが存在するが、ビジネスサイト運営者がどのようなツールを使っているか/今後使いたいか聞いた結果が図4だ。現在もっとも使われているツールは「独自開発の分析ツール」であり、「RDB+Excel等の汎用アプリケーション」「Analogなどフリーの解析ツール」が続いている。
一方今後使いたいツールでは、ログ解析ツール「WebTrends」やデータマイニング・ツール「SPSS Clementine」などの利用希望も挙げられている。前項で見たように単純なページビューを超えて顧客との関係性を把握していくためには、専用にデザインされた解析・レポーティングツールへの需要が今後高まっていくと思われる。
最後にサイト運営者がWebマイニングを行う上で興味を持っている内容を見てみよう(図5)。
全体では「Webマイニング手法の概要」「アクセスログの内容やCookiesの仕組み」といったベーシックな内容への興味が高くなっている。Webマイニングはサイト運営プロセスの中で極めて重要な機能として認知されつつあるが、現実にはこれら基本情報においても不足しているようだ。本フォーラムでは今後こうしたニーズにお応えする情報も提供していく予定なので、引き続きご期待いただきたい。
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