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特集
Enterprise Library 3.0概説(前編)
自身のセオリーから飛び出した新生EntLib 3.0とは?
アバナード株式会社 市川 龍太(Microsoft MVP − Solutions Architect)
2007/05/22 |
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連載:Enterprise Library概説(全10回)で解説しているように、Enterprise Library(以下EntLib)はマイクロソフトが開発を推進している企業アプリケーション向けのオープンソースなライブラリである。現在でも日々開発、改良が進められており、2006年1月には.NET Framework 2.0に対応したEntLib 2.0版が公開されている(EntLib 2.0については特集:Enterprise Library 2.0新機能でまとめている)。そして今回、.NET Framework 3.0に対応したEntLib 3.0の正式版がリリースされた。
.NETアプリケーション・アーキテクチャを構築するに当たって、各レイヤに共通の機能を再利用可能な形でライブラリ化し、さまざまなアプリケーションの開発で利用できるようにするという発想のもとに作られたこのEntLibだが、今回新しくリリースされたEntLib 3.0は従来のEntLibとは決定的に異なる点がある。この話をする前にまず以下の図を見てもらいたい。
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Application Architecture for .NETで推奨されている論理アーキテクチャ |
EntLibは基本的に図の中の赤枠で囲まれている部分を担う。 |
Application Architecture for .NET(以下AAfN)とは、patterns & practicesで公開されている.NET Frameworkを用いた分散システム・ソリューションを構築するに当たってのガイダンスであり、上の図はそのAAfNの中で提示されている論理アーキテクチャ概念図である。
EntLibは基本的に図の中の赤枠で囲まれている部分、つまり各レイヤに横断的に存在する共通機能部分(AAfNでは「セキュリティ、運用管理、通信のポリシー」に該当する)を担っているわけである(なお、AAfNの詳細については、アプリケーション・アーキテクチャ設計入門を参考にするとよい)。
このような共通機能をライブラリ化する場合は、基本的にどのようなアプリケーション・アーキテクチャでも使い回せるように設計することがセオリーである。従って、共通ライブラリが直接アプリケーション・アーキテクチャに対して設計上・実装上の制約を課すということは敬遠されるのが普通であり、従来のEntLibもこのセオリーにのっとった設計がなされていた。しかしEntLib 3.0は、共通ライブラリ的性質はそのままに、そういった従来のセオリーの枠を超えたまったく新しい機能が追加されているのである。
本稿では前編と後編の2回にわたって、この新しいEntLib 3.0について解説していく。
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