お家芸の“使いやすい管理ツール”は期待どおり
株式会社システムインテグレータ
石橋 潤一
2005/9/30
既存機能の統合に加え、新たに複数のスクリプトを1つのプロジェクトとして扱うことのできるプロジェクト管理機能が加わりました。Visual Studioでおなじみのプロジェクト管理機能ですが、Management Studio上で複数のスクリプトを1つのプロジェクトとして管理することが可能となります。大きなアプリケーションになってくると、テーブル作成スクリプトやデータ生成、関数作成など複数のスクリプトを管理しなければならないシーンがあるので、これは大きな改善といえるでしょう。
また、もう1つ大きな改善としてマイクロソフト社のリソース管理ツールであるVisual Source Safeをプラグインとして組み込むことが可能となりました。業務開発においては、1つのプログラムソースを複数人で更新作業を行う場合がありますが、このような場合はソースの履歴管理が非常に重要になります。だれがどのような更新をいつ行ったのか、バグのトレースや仕様変更の確認などソースの履歴管理を行っていなければ確認することができません。Visual Source Safeを組み込むことにより、複数のプロジェクトメンバーでのスクリプト更新作業やバージョン管理などを安全に行うことができます(図2)。
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図2 Visual Source Safeによるスクリプト管理(クリックすると拡大します) |
これまでのEnterprise Managerはあくまでデータベースを管理するためのツールでしたが、Management Studioはさらにデータベースを利用する管理者や開発者までを意識したツールといえます。
Integration Servicesとして生まれ変わったDTS(データ変換サービス)については、SQL Server 2000のDTSをベースに再設計され、完全に再コーディングされています。
旧DTSは、SQL Server 2000の時点でも開発者、DBA両者にとって非常に優れたツールでした。インポート/エクスポートウィザードを利用すれば、SQL ServerからAccess、あるいはOracleやExcel、テキストファイルなどさまざまなデータソース間のデータ移行を容易に行えました。また、DTSデザイナを利用することにより一元化されたトランザクションや複数タスクの設計、実行なども実現可能でした。
SQL Server 2005におけるIntegration Servicesでは、インポート/エクスポートウィザードの使い勝手はほぼ変わらず、DTSデザイナがBusiness Intelligence Development StudioとしてVisual Studioに統合され大幅にその性能を向上させています(図3)。
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図3 Business Intelligence Development Studio(クリックすると拡大します) |
Business Intelligence Development Studioでは、n:nのデータ変換/転送やデータフローのグラフィカルな設計などDTSデザイナで実現されていた機能に加え、制御フローとデータフローの組み合わせによる複雑なフローの生産性向上、イベントハンドラによるエラー処理やレポート作成などが新たな機能として実装されています。このほかにもForやFor Eachといったループコンテナの実装や、DTSに比べはるかにきめの細かいログ記録機能など非常に多くの機能が新たに実装されています。
Integration Servicesはここまで挙げてきたように、従来のDTSでは難しかった複雑なフローや柔軟な設計を実現可能とし、小規模システムからエンタープライズ級までを範疇とするまでに生まれ変わっています。これはもはやデータ変換サービスといったレベルではなく、DBAや開発者が抱えるさまざまなデータ処理要求に応えることのできるデータ処理統合サービスとして、多様な業務を実現できる大きな可能性を秘めているといえるでしょう。(次ページに続く)
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連載:SQL Server 2005 CTPレビュー(DBA編) お家芸の“使いやすい管理ツール”は期待どおり |
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Page
1 ・管理ツール群の大幅強化による運用性向上 |
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Page 2 −Management Studioにおける開発生産性の向上 −Integration Services(旧DTS)の刷新 |
Page 3 ・データベースミラーリングによる可用性と拡張性の大幅な向上 ・まとめ |
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SQL Server 2005 CTPレビュー |
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