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Broadcom、「VMware Cloud Foundation=プライベートAI基盤」で集中発表VMware Private AI Foundationは統合

BroadcomがVMwareの年次カンファレンスで、VMware Cloud Foundationを企業のプライベートAI基盤として確立するためのさまざまな発表を行った。AIに焦点を当てた開発者のための新機能が目立つ。

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 Broadcomは2025年8月26日(米国時間)、VMwareの年次カンファレンス「VMware Explore 2025」でVMware Cloud Foundation(VCF)について多数の発表を行った。テーマは明確で、VCFを企業の全社AI(人工知能)開発・運用基盤として確立することにある。

 企業ITにおける最大のトピックはAI。パブリッククラウドを前提としたIT戦略を、AIについてはリセットするトレンドが生まれているとBroadcomは訴える。

 クラウドで急増するコストとその予測の難しさ、セキュリティ上の懸念などに苦慮する企業が増えているとし、今後のVCFの存在価値の中核は、クラウドのメリットを失うことなく安心してAIに取り組める環境として機能することだと位置付ける。

 VMware Explore 2025では、VCFにおけるコスト効率とスケーラビリティを高める一方で、生成AIアプリケーション開発者がパブリッククラウドと同様な使い勝手で、面倒なく迅速に作業できるような機能の数々を紹介した。

AI開発者を支援する「VMware Private AI Services」

 生成AIアプリケーション開発者を支援する発表の一つは「VMware Private AI Services」というサービス機能群。VCFのサブスクリプションライセンスに含む形で今後リリースする。

 これには次のような機能が含まれている。

  • 生成AIモデルのライフサイクル管理ができるリポジトリ。厳格なアクセス制御の下で、モデルのインポート、共有、バージョニングなどが行える
  • モデルをコンテナランタイムとしてデプロイし、API経由でアクセスできる。AMD、NVIDIAなど、複数のGPUやアクセラレーターに対応できるモデルランタイムの提供により、ハードウェアを切り替えるためにアプリケーションを切り替える必要がなくなり、インフラの利用効率を上げられる
  • ベクトルデータベースとインデックス作成ツール。RAG(検索拡張生成)を容易にする
  • AIエージェントのビジュアル構築ツール。AIモデル、データソース、ツールを組み合わせ、AIエージェント/アプリケーションを少ないコードで迅速に構築できる。将来はMCP(Model Cotext Protocol)をサポートし、標準的なプロトコルで外部リソースとの連携が容易にできるようになる
  • 統合的なアクセス認証/権限管理と監視の機能

 こうした機能を通じ、企業が高いセキュリティを維持した環境にモデル、データ、ツールを集約し、迅速にAIアプリケーションのプロトタイピングやデプロイメントができるようにしていくとしている。

 なお、Broadcomはアドオン製品として「VMware Private AI Foundation with NVIDIA」を提供してきた。

 VMware Private AI FoundationはNVIDIAとの提携に基づくオールインワンAI基盤ソリューション。NVIDIAのAI関連ソフトウェアやツールをVCFに最適化した形で統合し、ユーザーが即座にAI開発・運用を始められるようにしたもの。

 BroadcomはVMware Private AI FoundationをVCFに統合し、機能の一部をVMware Private AI Servicesに取り込んだのだという。

vSANはS3プロトコルをサポート

 Broadcomは他にも、サーバ仮想化、コンテナ、データ、アプリケーション開発、ネットワーク、セキュリティの各分野にわたり、新機能を示した。

 まず、BroadcomはVMwareの仮想化機能により、GPU利用のコスト効率を上げられると強調する。GPUの仮想化はかなり前から実現しており、これにvMotionやDRSを適用して最適な配置ができる。vGPUは予約が可能。全社IT部門やサービスプロバイダーは各テナントに特定のGPUを割り当てたり、共有リソースとして設定したりして、利用効率を高めることができる。

 NVIDIAおよびAMDとの新たな提携も発表した。

 NVIDIAとはGPU「Blackwell B200」「RTX Pro 600」、NICの「ConnectX-7」、DPUの「BlueField-3」 をサポートすることで、GPU Direct RDMAおよびGPU Direct Storageを活用したマルチノードAIモデルトレーニングができるようになったという。

 AMDとはGPU「AMD Instinct MI350」「AMD Enterprise AIソフトウェア」で提携。コストを抑えた選択肢として位置付けている。

 仮想ストレージの「VMware vSAN」はAmazon S3プロトコル互換のオブジェクトストレージとして使えるようになった。オブジェクトストレージでは多様なデータを統合管理しやすく、低遅延、低コストで、AIのためのデータレイクとして広く使われていることを理由としている。また、S3プロトコルは開発者にとって使いやすい。vSANでは、セルフサービスでS3対応のオブジェクトストレージを迅速にデプロイして利用できる。

 VCFではUbuntuチゼルコンテナの採用でCanonicalと提携した。チゼルコンテナは不要なユーティリティやライブラリを除き、アプリケーションと最小限のランタイム依存関係を含む超小型のコンテナ。セキュリティ脆弱(ぜいじゃく)性を低減し、アプリケーションのビルドや実行を高速化できるとしている。

Tanzuではデータレイクハウスやマーケットプレースサービスが追加

 コンテナアプリケーション開発・運用基盤の「VMware Tanzu」では、データレイクハウス「VMware Tanzu Data Intelligence」の提供開始を発表した。

 構造化・非構造化、リアルタイムデータを問わず多様なデータを統合管理し、低遅延で統合的なクエリができる。数Tbytesから50Pbytesまでスケールするという。パブリッククラウドと同様な柔軟性を持ちながら、コストが予測しやすい。また、データ主権、データガバナンスのニーズに応えられるとする。

 開発プラットフォームの「VMware Tanzu Platform」の新バージョン10.3では、マーケットプレースサービスの「Tanzu Platform Marketplace」が加わった。

 アプリ開発者が自身のアプリケーション、AIエージェント、MCPサーバをサービスとして公開できる。これによって開発チーム内のコラボレーションを促進できるという。

 Tanzu Platformでは、アプリケーションの移行やモダナイズを自動化する機能や脆弱性ダッシュボード、データサービスのオブザーバビリティ機能も新しい。

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