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ランサムウェア攻撃対策で注目のマイクロセグメンテーション市場、2028年度には75億円超へ ITR調査

マイクロセグメンテーションはランサムウェア攻撃対策として注目され、急成長している。ITRの予測では2028年度に75億円超に拡大しする見通しだ。

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 マイクロセグメンテーションは、ネットワークを細かな仮想セグメントに分割、セグメントごとにトラフィックを可視化し、セグメントの隔離やアクセス制御を行う技術だ。数年前から企業の関心を集めてきたが、近年はランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などのマルウェアが、社内ネットワークに侵入した後に水平移動(ラテラルムーブメント)で感染を広げる手口を常とう化させていることから、その有効な防御策として改めて注目されている。

 金融庁が2024年10月に公表した「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」でも「対応が望ましい事項」として「ネットワークセグメントを細分化し、マルウェアの水平移動(ラテラルムーブメント)を阻止すること」の重要性が指摘されている。

 では、実際の導入状況はどうなのか。アイ・ティ・アール(以下、ITR)は2025年6月に発表した「国内マイクロセグメンテーション市場の規模推移および予測」によると、2023年度の売上金額は39億6000万円で前年から32.9%の成長を示し、2024年度も51億円に達する見込みとなった。市場全体として急成長が続いていることが明らかになったという。

マイクロセグメンテーション市場の現状、見通しは


マイクロセグメンテーション市場規模推移および予測(2022〜2028年度予測)(提供:ITR)

 ITRでコンサルティング・フェローを務める藤俊満氏は、従来、マルウェアのラテラルムーブメントによる感染拡大を阻止する有効な対策は存在しなかったことに言及。今後、マイクロセグメンテーション市場は大きく拡大するとみている。

 2023年度から2028年度にかけての年平均成長率は13.9%に達し、2028年度には75億8000万円規模に拡大すると予測されている。この数字は、現在の急成長が一時的な現象ではなく、持続的に市場が拡大し続けることを示している。需要は中長期的に高まり続ける見通しだ。

 事業継続を脅かすランサムウェア攻撃の対策として注目されるマイクロセグメンテーションは、ゼロトラストセキュリティを実装する上で重要なネットワークセキュリティにおける技術要素の一つだ。度重なるサイバー攻撃に疲弊する企業・組織には、単なる製品導入にとどまらず、ゼロトラストの考え方を取り入れて長期的なサイバーレジリエンスの向上にもつながる対策としても期待される。

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