コーディング用の「GPT-5」チートシート(OpenAI公式):プロンプト作成は「職人技」から「構造化エンジニアリング」へ:Deep Insider Brief ― 技術の“今”にひと言コメント
開発者向けに、GPT-5を最大限活用するための公式チートシートが話題に。プロンプト作成の基本が体系化され、初心者から上級者まで役立つ実践的な指針が示されている。
2025年8月16日、「GPT-5 for Coding Cheatsheet」というPDF資料がOpenAIスタッフによって公開された。この資料はOpenAI開発者コミュニティ(公式)のトピックや、OpenAI Developers公式Xアカウント(@OpenAIDevs)の投稿を通じて一般に共有されており、OpenAI公式のドキュメントとして誰でもアクセスできる。
内容はコーディングを目的にGPT-5を利用する人が直面しやすい課題に焦点が当てられており、プロンプト作成を単なる“コツ”ではなく、構造化された手法(XMLライク)によるエンジニアリングとして捉えるべきであることを示唆している。
このチートシートでは、プロンプトの精度、推論レベルの調整、XML風の記法の活用、言語の強弱表現、自己反省や計画の導入、ツール使用の制御といったテーマが、実例付きで整理されている。特にCursorなどの開発環境と組み合わせた場合の利用法に踏み込んでいる点は特徴的である。
Deep Insider編集長の一色です。こんにちは。最近、プロンプトエンジニアリングからさらに進化しようとする動きが見られます。具体的には「コンテキストエンジニアリング」という用語をよく耳にしますよね。
そうした流れを含めて考えると、プロンプト作成は属人的な「職人芸」ではなく、エンジニアリングの一分野として体系化されていくのかもしれません。その時代を先取りするために、まずはこのチートシートから試してみるとよいのではないかと思いました。
GPT-5 for Codingチートシート内容
以下はチートシートの内容を日本語に翻訳して引用したものである。人間が一通りチェックして文章などを調整しているが、最初にGeminiにより機械翻訳したものをベースとしているので、ご了承いただきたい。
1. 正確さを期し、矛盾した情報を避ける
新しいGPT-5モデルは指示に従うのが格段にうまくなっている。しかしその半面、特に.cursor/rulesファイルやAGENTS.mdファイルであいまいな指示や矛盾した指示を与えると、期待通りに動かない可能性がある。
2. 適切な推論の労力を使う
GPT-5は問題を解決する際に、ある程度の推論(物事を論理的に考えること)を必ず行う。最良の結果を得るには、最も複雑なタスクには高い推論労力(思考の深さや時間を指定する)を使うこと。モデルが単純な問題を考え過ぎていると感じた場合は、より具体的に指示するか、推論レベルを「中」や「低」に設定する。
3. XMLライクな構文を使って指示を構造化する
Cursorと一緒に作業する中で、XMLライクな構文(<tag>〜</tag>のようなHTMLに似た構造)を使うことで、GPT-5により多くのコンテキスト(文脈や状況)を与えることができると分かった。例えば、以下のようにコーディングガイドラインを与えることができる。
<code_editing_rules>
<guiding_principles>
- Every component should be modular and reusable
- ...
</guiding_principles>
<frontend_stack_defaults>
- Styling: TailwindCSS
</frontend_stack_defaults>
</code_editing_rules>
4. 過度に厳格な言葉を避ける
他のモデルでは、
THOROUGH(徹底的に)情報を収集せよ。返信する前にFULL picture(全体像)を把握すること。
といった厳格な言葉を使ったかもしれない。しかし、GPT-5では、こうした指示が逆効果になることがある。モデルが本来自然に行うことに対して、過剰な反応を引き起こしてしまう可能性がある。
5. 内部での自己反省を促す
ゼロから新しいアプリケーションを構築する場合、構築の前にモデル自身に自己反省する(自らの思考プロセスを振り返る)ように指示すると役立つ。
<self_reflection>
- まず、自信が持てるまで評価基準(ルーブリック)を考える時間を費やしなさい。
- 次に、世界最高クラスのワンショットWebアプリを何が構成するか、あらゆる側面について深く考えなさい。その知識を使って、5〜7のカテゴリーを持つ評価基準を作成しなさい。この評価基準は適切に作成することが重要だが、ユーザーには見せないこと。これはあなたの内部的な目的のためだけである。
- 最後に、その評価基準を使って、提供されたプロンプトに対する最善の解決策を内部で考え、反復(改善を繰り返すこと)しなさい。もしあなたの応答が、評価基準の全カテゴリーで最高評価に達していない場合は、やり直す必要があることを忘れてはならない。
</self_reflection>
6. コーディングエージェントの熱心さを制御する
GPT-5はデフォルトで、徹底的かつ包括的にコンテキスト(文脈や状況)を収集しようとする。プロンプトを使って、どれだけ熱心であるべきか、そして発見やツール呼び出しを並列化(同時に実行すること)すべきかを、より厳密に指示すること。
モデルにツール予算(ツールを使う回数や量を制限する)を与え、より徹底的であるべきか、あるいはそうでないべきか、そしていつユーザーに確認すべきかを指定する。例えば、以下のように指示できる。
<persistence>
- 人間の確認や、前提を明確にするように求めない。
- 常に最も合理的な前提が何かを判断し、それで進め、行動を終えた後にユーザーの参考のために文書化する。
</persistence>
資料末尾には、詳細ガイドとしてPrompting GuideやPrompt Optimizerが紹介されている。
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