そもそもプログラミング言語とは? 代表的な言語の特徴と用途を分かりやすく解説
プログラミング言語とは、人間の指示をコンピュータに伝えるための「言葉」のようなものです。代表的なプログラミング言語とその特性を、簡単に紹介します。
※本稿は、SBクリエイティブ発行の書籍『ひとつひとつしっかり身につく C言語の教科書(2025年7月11日発行)』の中から、アイティメディアが出版社の許可を得て一部編集の上、転載したものです。
プログラミングを始めるには、まず、「プログラミング言語」を知ることが大切です。これは、人間の指示をコンピュータに伝えるための「言葉」のようなものです。世の中にはたくさんのプログラミング言語があります。それぞれに得意なことや特徴があります。ここでは、代表的なプログラミング言語とその特性を、簡単に紹介していきます。
プログラムとは?
まず、「プログラム」とは何かを確認しておきましょう。プログラムとは、コンピュータに対して命令を与える一連の指示をまとめたものです。ソフトウェアと呼ばれることもあります。プログラムは、0と1の信号で構成され、コンピュータはこれを読み取って動作します。例えば、コンピュータの電源を入れた瞬間から電源を切るまでの間、コンピュータの頭脳であるCPU(中央処理装置)が、プログラムの命令を次々に解読し、処理を進めています。こうして、私たちが普段使っているアプリケーション(※1)やシステム(※2)が動いているのです
※1 アプリケーションソフトウェアは、ユーザーが直接使うソフトで、例えばWebブラウザやゲーム、ワードプロセッサなどです。
※2 システムソフトウェアは、ハードウェアを管理・操作し、アプリケーションが動作するための土台となるソフトで、代表的なものにオペレーティングシステム(OS)があります。
プログラミング言語とは?
この「0と1の信号」を直接作り出すのは、人間にとって非常に難しいことです。そこで登場するのがプログラミング言語です。略して「言語」と呼ばれることも多いです。
プログラミング言語は、人間とコンピュータをつなぐ「コトバ」です。私たちが日常的に言葉を使って意思を伝えるように、プログラミング言語を使うことで、コンピュータに対して指示を与えることができます。
プログラミング言語の歴史
1946年に開発された初のコンピュータENIACのプログラムは、0と1の機械語で書かれていました。これは非常に扱いにくく、人間に理解しづらいものでした。そこで、図1-1-2に示すように、機械語の命令を記号(ニーモニック※3)に置き換えて表すアセンブリ言語が登場しました。アセンブリ言語は、機械語よりは分かりやすくなったものの、まだまだ開発効率が悪く、しかもCPUごとに書き直しが必要でした。
1950年代になると、さらに人間が扱いやすい高級言語(※4)が登場しました。最初の高級言語であるFortranは科学技術計算、COBOLはビジネスアプリケーション分野で発展しました。図1-1-3に示すように英語の文章に近く、アセンブリ言語よりもだいぶ読みやすいですね。それ以降も、さまざまなプログラミング言語が開発され続け、より効率的で使いやすいものが求められるようになりました。
※3 ニーモニック(mnemonic)とは、機械語の命令を人間が覚えやすい記号に置き換えたものを指します。例えば、ADD(加算)、MOV(データ移動)といった形で表現します。
※4 高級言語とは、人間の自然言語に近い形でコンピュータに指示を与える言語を指します。
代表的なプログラミング言語の特徴と用途
プログラミング言語には数多くの種類があり、それぞれが得意とする分野や用途があります。以下に、よく使われるいくつかの言語を紹介します。
C言語
C言語は、UNIXというOS開発のために作られましたが、ハードウェアを直接操作できる低レベル機能を持ちながらシンプルで分かりやすく、幅広く使われるようになります。その後、多くの後継言語(C++、Java、C#など)の構文に影響を与えます。現在でも、組み込みシステムやOS、ゲーム開発、デバイスドライバなど、性能やコンピュータの資源(メモリやCPU)の制約が厳しいシステム開発で使われています。
Python
Pythonは、文法がシンプルで読みやすく、初心者からプロまで広く使われています。AI、データ分析、Web開発など多くの分野で活用されており、注目度も高まっています。また、豊富なライブラリやフレームワークにより、効率的な開発が可能なのも特徴です。
JavaScript
JavaScriptは、Webサイトに動きや双方向の操作を加えるための重要な言語です。ブラウザで動作し、ボタン操作で画面を変更したり入力内容の即時チェックなどが可能です。主にフロントエンド(ユーザーが操作する部分)で使われますが、近年はサーバサイドやアプリ開発にも広がっています。サーバサイドとは、裏側でデータ処理や外部サービスとの連携(やりとり)を行う仕組みです。
Java
Javaは、大規模なシステムや企業向けのソフトウェアでよく使われる言語です。「一度書けば、どこでも動く」という特徴があり、「Java仮想マシン(JVM)※5」を使えばOSを問わず実行できます。
また、Androidアプリ開発にも広く使われており、汎用性が非常に高く、さまざまな分野で活用され続けている言語です。
※5 Java仮想マシン(JVM)は、Javaプログラムを実行するための「中間の通訳」のようなものです。プログラムを一度中間コード(バイトコード)に変換し、どんなコンピュータでも同じように動かせるようにする仕組みです。
C++
C++は、高いパフォーマンスが求められるシステムソフトウェアやゲーム開発などで広く使われています。C言語をベースにしつつ、オブジェクト指向もサポートすることで、複雑なアプリ開発に適しており、高速かつ柔軟なのが特徴です。
PHP
PHPは、主にWeb開発で使われるサーバサイドスクリプト言語(※6)です。動的なWebページやWebアプリケーションを簡単に作れるため、多くのサイトで使われています。初心者にも学びやすく、サーバとの連携が容易なため、小規模から大規模な開発まで、対応できます。
※6 サーバサイドスクリプト言語の「サーバ」とは、インターネット上でデータやサービスを提供するコンピュータのことです。サーバサイドスクリプト言語は、そのサーバ上で動くプログラムを書くための言語です。
C#
C#は、Microsoftによって開発された言語で、Windowsアプリケーションやゲーム開発(特にUnity(※7)を使用する場合)に幅広く利用されています。Javaと似た構文(書き方)で、.NETフレームワーク(※8)との強力な連携により、デスクトップやWebアプリの開発が容易です。
※7 Unityはゲーム開発に特化したツールで、C#を使って3Dや2Dのゲームを効率的に作成できる環境を提供します。
※8 .NETフレームワークは、C#を使ったアプリ開発における基本的な機能やサービスを提供し、効率的なプログラム作成をサポートします。
Kotlin
Kotlinは、Googleが推奨するAndroid開発の公式言語です。Javaと互換性があり、モダンで書きやすい構文が特徴です。現在は多くの開発者に選ばれ、Android開発でJavaに代わる重要な選択肢となっています。
これらのプログラミング言語はそれぞれ異なる強みを持っています。自分が解決したい課題や目指すアプリケーションに応じて、最適な言語を選ぶことが重要です。
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