この先、どうなるのかな?――40代から考える、エンジニアのキャリア:仕事が「つまんない」ままでいいの?(127)(2/4 ページ)
「この先のキャリア、どうなるんだろう?」そんな不安を感じる40代のエンジニアへ。人生100年時代、これからも「長く活躍したい」と願っているはず。実は企業も同様です。このすれ違いを解消するために、あなたの経験を生かし、無理なくキャリアの未来を開くヒントを提案します。未来への小さな一歩を踏み出すきっかけにしてください。
戦略1:市場を意識した「強みの再発見」と「経験の再定義」
エンジニアとしてのこれまでの経験は、間違いなくあなたの「財産」です。プロジェクトを成功に導いた経験、複雑なシステムを設計した経験、後輩を指導した経験……どれもかけがえのない価値を持っています。
しかし、「自分には特別な強みなんてないよ」とか、「今まで会社の中でやってきたことは、外では通用しないんじゃないか」など思っていませんか? 長年、同じ組織の中で働いてきた人にとって、自分の本当の強みを見つけるのは、意外と難しいものですよね。
だからこそ最初に取り組んでほしいのが、あなたの「強みを再発見」し、その「経験を再定義」することなんです。
具体的には、何をすればいいのでしょうか?
1.徹底的な「キャリアの棚卸し」
まず、あなたがこれまで関わってきた全てのプロジェクト、担当してきた業務を、時間をかけて振り返ってみてください。
あなたはこれまで「どんなスキル」を身に付け、「何を経験」しましたか?
「どんな困難」な状況に直面し、それを「どう乗り越えてきた」でしょうか?
例えば、納期が厳しいプロジェクトの進捗(しんちょく)管理、メンバー間の意見対立を調整した経験、誰もやったことがない課題に泥臭く向き合った経験など、具体的なエピソードを書き出してみましょう。モチベーションマップのようなものを書いてもいいですね。
こうして書き出してみると、きっと気付くはずです。「ああ、自分はこんなことを経験し、こんな力を身に付けていたんだ!」と。これは、あなた自身も気付いていなかった、あなただけの「オリジナルの強み」を発掘する作業です。
2.「経験の抽象化」と「新たな適用」で活躍の場を広げる
棚卸しで見つけたあなたの強みや経験は、決して「会社の中だけで通用するもの」ではありません。むしろ、社外でも、そして異分野でも、大いに役立つ可能性を秘めています。
その鍵は「経験の抽象化」にあります。
例えば、あなたがシステム開発で培った「問題解決のプロセス」「論理的思考力」「プロジェクト推進力」といったスキルは、プログラミング言語が変わっても、仕事内容が変わっても、業界が変わっても、その本質は変わりません。これらは、どんな組織でも必要とされる汎用(はんよう)性の高いスキルです。
大切なのは、この抽象化したスキルを「新たな適用先」にどう当てはめるか?
例えば、近年注目されているノーコード/ローコード開発ツール(プログラミング知識が少なくてもアプリやシステムが作れるツール)を学ぶのはどうでしょう? 「エンジニアではない人でも業務改善に必要なツールを自分たちで作れるようにする支援をする」といった役割は、まさに、あなたがエンジニア時代に培った「抽象化された経験知」が生かせる分野です。
あなたの「ITに関する知見」と「現場での課題解決経験」があれば、技術に強くない部署のメンバーや、あるいは社外の企業に対しても、「どうすれば業務が楽になるか」「どんなツールを使えば効率が上がるか」といったアドバイスができ、それを形にする手助けができるはずです。
これは、高度なプログラミングスキルを使ったエンジニアリングではなく、「人と人との架け橋」となり、業務を改善していく、まったく新しい形のエンジニアリングといえるでしょう。
このアプローチは、一から全く異なるスキルを学ぶのではなく、「今までの経験を抽象化し」「社内外に適用させることによって」「新たな活躍の場を見いだす」ことを可能にします。あなたの財産である経験を生かし、無理なく、そして着実に、あなたのキャリアを未来へとつなげていきましょう。
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