日本オラクルのコンサルタントが基礎知識の重要性を説く理由 「特定技術に特化していない」ことの価値とは?:ゼネラリストとして専門家の知見をつないでいく
技術志向の若手エンジニアにとって、クラウドやAIなど新しい技術を貪欲に取り込みスキルアップすることは、共通の目標であり楽しみだろう。30代前半にしてインフラ全般の基礎知識を身に付け、日本オラクルのコンサルタントに転身したエンジニアが、少数精鋭のチームで活躍するに至ったいきさつを紹介する。
顧客とのコミュニケーションを重視し、Oracle製品を使ってビジネスを成功へと導くことが、日本オラクルのコンサルタントたちの使命だ。グローバル約1万9000人、国内でも全従業員の4分の1を占める約600人のコンサルタントが、Oracle製品に関する技術支援などに当たっている。
大本となるコンサルティングサービス事業統括は、大きく分けると顧客カットでアカウントコンサルティングを提供する「ストラテジック・カスタマーコンサルティング事業本部」、ソリューションカットで技術支援を担う「プロフェッショナルサービス統括本部」、コンサルサービスを紹介・提案する「コンサルティングセールス事業本部」の大まかに3組織で構成される。
プロフェッショナルサービス統括本部は、アプリケーション(SaaS)領域を担当する「アプリケーションコンサルティング事業本部」と、テクノロジー(PaaS、IaaS)領域を担当する「テクノロジーコンサルティング事業本部」に分かれる。その両方をつなぐ形で存在するのが「アプリケーションテクノロジーチーム」(AppsTechチーム)であり、SaaS製品を導入した顧客を対象に、PaaSやIaaSを活用した機能拡張のサービスを提供している。
AppsTechチームのコンサルタントは、アプリケーションとテクノロジーの両方のスキルセットが求められる。この点は日本オラクルの中でも特殊であり、少数精鋭の“選ばれしエンジニア”が所属している。
前職で得たICT全般の基礎知識を武器にオラクルコンサルタントへ転身
日本オラクルでプリンシパルコンサルタントを務める堀添裕太氏は、2018年12月に中途入社し、AppsTechチームに配属された。転職を考えた理由を、堀添氏はこう語る。「大学院で論理回路のプログラムなどハードウェア関連について研究しましたが、リーマンショックの影響で製造業の新卒採用が壊滅状態になり断念。国内大手企業のIT子会社へ就職しました。しかし入社直後の2011年には東日本大震災が発生。採用を停止したことで後輩がいない状態が長く続き、一メンバーとしてひたすら現場で手を動かし続ける中で、今後のキャリアに限界を感じていました」
参画したモバイルインフラ整備のプロジェクトで、要件定義から構築、導入、導入後の運用保守まで関わり、一通りやり尽くした感があったこと、その過程で幅広い基礎知識や実践的スキルが身に付いたことも、チャレンジへの決断を後押しした。
「リーダーとして活躍するチャンスには恵まれませんでしたが、8年間さまざまな仕事に携わる中で、ICT(情報通信技術)の基本的な仕組みについて学び、ネットワークスペシャリストや情報セキュリティスペシャリスト(現:情報処理安全確保支援士)の資格を取得しました」
転職をするなら30代前半のうちにと考えていた堀添氏。今まで以上にスピード感があり新しいことにチャレンジできる環境を求め、外資系ソリューションベンダーを中心に転職活動を進めた。Javaを得意としていたことや、前職で触れていた同社製品の信頼性などから日本オラクルへの転職を決断したという。
AppsTech配属後は、製造業のPMO(Project Management Office)支援を皮切りに、Oracle Marketing製品の導入支援、APAC向けオフショア開発管理、チャットボット開発などを経て、「Oracle Fusion Cloud ERP」のアドオン開発に従事している。
「出だしの2年間はとにかく波瀾(はらん)万丈でした。入社して3日後にはトラブル対応に当たったり、マーケティングの知識も経験もないのにマーケティング製品のチームに参加して導入支援をしたり、むちゃと言えばむちゃですが、刺激的で楽しい経験をしました」
刺激的な2年間は、前職で培った幅広い領域のベーシックな知識と、さまざまな実務経験があったからこそ乗り切れたと振り返る。「マーケティングについては全くの素人でしたが、キャンペーン施策に欠かせない電子メールの仕組みなどは分かっていたので、自分なりにチームに貢献できました」
現在、ERP(統合基幹業務システム)製品のアドオン開発に従事する堀添氏が得意とするのは、「Oracle Fusion Applications」と他社製品や顧客内のシステムを連携させる基盤システムのような、外部とのつなぎ込みだ。
「前職ではオンプレミス主体でクラウドはあまり触ったことがなかったのですが、外部連携という点ではオンプレミス同士もクラウドとの接続も基本は一緒です。われわれのお客さまもオンプレミスを運用しているケースは多く、お客さま環境がどうなっているのかベーシックなところをきちんと把握してSaaS接続を実現できるのは、自分の強みだと思います」
頼り頼られる日本オラクルの企業文化、活躍の鍵は「1つでも強みを持つ」こと
日本オラクルのコンサルタントとしては、Oracle製品に関する知識や経験はあった方がいいが、そこは入社してからeラーニングや社内研修などでキャッチアップすることも可能だ。日本オラクルにはさまざまな分野のスペシャリストが豊富にいて、お互いに助け合う風土もあるため、足りない部分があっても臆することはない、と堀添氏は言い切る。
「人に頼らなければならない場面は誰しもあるはずですが、大事なのは頼ってもらえる分野の知識を磨くことだと思います。私の場合、通信プロトコルなどネットワークに関する基礎知識はありますが、『Oracle Cloud Infrastructure』(OCI)の細かい設定方法は分からないため、社内のOCIスペシャリストと連携して対応しています。逆に、EDI連携の案件でAS2というプロトコルでの通信が必要になり、周囲に対応できる人がいなかったときは、ネットワークスペシャリストとして自分が前線で課題解決に当たりました。HTTP/SSL/PKIといった標準的な要素技術を組み合わせればいいことを突き止め、案件を無事に進行できました」と自身のケースを交え、それぞれが強みを持つことの重要性を語ってくれた。
入社当初からプリンシパルコンサルタントの肩書を持つ堀添氏だが、これは中上位に位置する階級であり、プロジェクトによってリーダーになることもあればメンバーになることもあるという。
ただしメンバーとしてプロジェクトに入る場合も全体アーキテクチャの設計など重要部分を担当することが多く、前職では得られなかった満足感がある、と語る。
「前の職場ではどちらかというと要件定義やマネジメントの領域に特化した人が多かったのですが、日本オラクルでは、自分より随分年上のコンサルタントでも必要なときは開発環境にログインして自ら問題解決をするなど、頼もしさを感じるときもあります。大きな会社で同じような悩みを抱えているエンジニアは、日本オラクルに来たらモヤモヤを解消できると思います」
ERPの全体像を“ふわっ”と把握するスキルが求められる
堀添氏はこれまで5社ほどのERPアドオン開発プロジェクトを手掛けてきたが、いずれも顧客環境が大規模かつ複雑で、短い場合でも半年、プロジェクトによっては2〜3年の長期に及んだ。
アドオン開発は多岐にわたり、帳票や画面の作成まで担うこともあるという。Oracle Fusion Cloud ERPは米国で作られた製品のため、国内の顧客からは「必要な帳票がない」「欲しい画面がない」といった声が出てくることも多いそうだ。
どうしても必要な機能やOracle Fusion Cloud ERPと顧客のシステムを連携させなければならない部分についてはアドオン開発をすることになるが、そこではERP製品に関する知識もさることながら、ERPを取り囲む環境全体を“ふわっ”と把握した上で、必要な技術をさっと取り出せる「引き出しの豊富さ」と、それらを組み合わせて使える「応用力」も重要だ。
「Oracle Fusion Cloud Applicationsは、オンプレミスの『Oracle E-Business Suite』とは違い、 密結合にならないようにする設計スキルが求められる他、ユーザーのロールに合わせた画面作成には、SSOを含むアカウント管理やアクセス制限の仕組みなど、全般的な知識が欠かせません」
堀添氏が考える日本オラクルのコンサルタントにふさわしいエンジニア像とは
最後に、日本オラクルのコンサルタントとして一緒に働きたい人のイメージを聞いたところ、「ITに興味を持ち、必要な勉強を自主的にしていて、得意分野のある人」「苦手分野も、いつかはできるようになろうという意志のある人」「常にポジティブで心理的安全性を乱さない人」の3つを挙げてくれた。
最初の2つは、手を動かしながら地道に勉強を続けてICTの基礎をたたき込んだ前職時代、そして、日本オラクル入社直後の2年間を乗り越えてきた堀添氏自身のようにも思える。
3つ目は、終始笑顔を絶やさずにこやかにインタビューに応じていた堀添氏の人柄に通じる。確かな実績に基づく言葉として、若手エンジニアの参考になるのではないだろうか。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2025年5月23日