「LLMに依存しないデータ分析」が鍵に? ガートナーが2025年のデータアナリティクスのトップトレンドを発表:生成AIを意識したトレンドが主流に
ガートナーは、2025年のデータ/アナリティクスのトップトレンドを発表した。同社は企業のITリーダーに対して、「同トレンドを自社戦略に反映させるように取り組むべきだ」としている。
ガートナージャパンは2025年3月10日、2025年のデータ/アナリティクス(D&A)のトップトレンドを発表した。同社は「企業のITリーダーはこれらのトレンドを自社のD&A戦略に反映させるように取り組むべきだ」としている。
マルチモーダル、AIエージェントなど生成AIを意識したトレンドが主流に
ガートナージャパンが発表したD&Aのトップトレンドは以下の9つ。
- データプロダクト
- メタデータ管理ソリューション
- マルチモーダルデータファブリック
- シンセティック(合成)データ
- エージェンティックアナリティクス
- AI(人工知能)エージェント
- 小規模言語モデル
- コンポジットAI
- 意思決定インテリジェンスプラットフォーム
例えば、メタデータ管理ソリューションについてガートナージャパンは「さまざまな種類のメタデータを組み込むことで、組織はデータカタログやデータリネージ(来歴)、AIドリブンなユースケースが実現可能になる。そのため、メタデータの探索や管理の自動化と分析を促進するツールを選択することが重要だ」としている。
同社はAIエージェントにも注目している。AIエージェントの価値を引き出すためには、大規模言語モデル(LLM)だけに依存するのではなく、他の手法も組み合わせて考える必要があると指摘しており、「D&Aリーダーは、AIエージェントがアプリケーション間でデータをシームレスにアクセスし、共有できるようにしなければならない」と述べている。
この「組み合わせる」という視点はAIエージェントに限らず、AIそのものの信頼性向上にも寄与するとガートナージャパンは考えているようだ。同社は、複数のAI技術や手法を組み合わせる(コンポジットAIを構築する)ことで、AIの影響力や信頼性を向上させられるとしており、「D&Aチームは生成AIやLLMに、データサイエンス、機械学習、ナレッジグラフ、最適化といった手法を組み合わせた包括的なAIソリューションを提供する必要がある」と説明している。
これらのトレンドについて、ガートナージャパンの一志達也氏(シニアディレクター アナリスト)は、「日本ではまだ、データ基盤やガバナンスの整備に明け暮れている組織が目に付くが、世界は既にデータによる価値をAI活用に求め、その実現に焦点を合わせている。D&Aリーダーはトレンドを踏まえたビジョンを掲げて組織や取り組みをリードする必要がある」と述べている。
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