ブラウザ上の仮想マシンでLinuxデスクトップやGUIアプリを実行できる「WebVM 2.0」公開 技術的改善点は?:ストレージや仮想VPNもサポート
HTML5/WebAssemblyソリューションを提供するLeaning Technologiesは、ブラウザ上で仮想マシンを実行できる「WebVM」の最新版となる「WebVM 2.0」を発表した。
HTML5/WebAssemblyソリューションを提供するLeaning Technologiesは2024年11月13日(英国時間)、ブラウザ上で仮想マシン(VM)を実行できる「WebVM」の最新版となる「WebVM 2.0」を公開した。
WebVMは、モバイルブラウザを含む最新ブラウザ上でLinuxの仮想マシン(VM)実行をサポートするフリーオープンソースソフトウェア(FOSS)だ。同社のWebAssemblyベースのx86仮想化エンジン「CheerpX」を基盤としている。
Leaning Technologiesは、WebVM 2.0における主な改善点を次のように説明している。
WebVM 2.0における改善点
Xサーバおよび完全なデスクトップ環境のサポート
WebVM 2.0では「Xサーバ(X Window System)」のサポートが追加され、Linuxデスクトップ環境を実行可能になった。現在は、モバイルデバイスでの快適な動作をサポートするため、「i3 Window Manager」を適用しているという。
GUIアプリケーションのシームレスな実行
CheerpXがKMS(Kernel Mode Setting) APIをサポートし、GUIアプリケーションをシームレスに実行、表示できるようになった。現在は2Dレンダリングに対応しており、将来的には「WebGPU」を通じて3Dサポートを進める計画だ。
ストレージ、永続的キャッシュのサポート
WebVMでは、「Cloudflare Workers」と「IndexedDB」を組み合わせることでルートファイルシステムをエミュレートしている。具体的には、WebSocketsを使用して128KBのディスクブロックをCloudflare Workersからダウンロードする。ダウンロードされたデータや、変更されたデータはブラウザ上のIndexedDBに保存される。これにより、初期ダウンロード時間を短縮したり、データの永続性を確保したりしているという。
仮想VPNのサポート
VPNサービス「Tailscale」との統合により、ユーザーが数クリックで仮想VPNに接続できるようになった。TailscaleのDERP(Designated Encrypted Relay for Packets)サーバを使用して、制約のあるネットワーク環境からでも接続できるという。
WebVM 2.0はhttps://webvm.io/alpine.htmlにアクセスして試すことができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
フロントエンドを高速化する第4のWeb言語――「WebAssembly」とは?
第1回では、第4のWeb言語とされ、W3Cで標準化されているWebAssemblyの概要を紹介します。WebAssemblyの仕組みと用途、Webブラウザをはじめとしたランタイム、非ブラウザAPIやプログラミング言語のサポートなどを紹介します。調査で分かった「一度書けばどこでも実行できる」WebAssemblyの魅力
ソフトウェアコンサルティング会社のScott Logicは、「WebAssembly」の使用状況に関する調査レポート「The State of WebAssembly 2023」を発表した。この調査は2021年から毎年実施されており、今回で3回目となる。PythonとRubyでWebAssembly――PyodideとPyScript、Ruby 3.2を体験する
第7回は、PythonとRubyによる開発事例を紹介します。これらの言語は、ここまでの回で紹介してきた言語とは異なった、実行環境をWebAssembly化するというアプローチでWebAssemblyに対応しています。PythonのPyodideとPyScript、Ruby 3.2でのWebAssemblyサポートを紹介します。