VS Code上でAzureの操作や調査ができる「GitHub Copilot for Azure」プレビュー公開 開発者や運用担当者に役立つシーンとは:「@azure」にチャットするだけ
Microsoftは「Visual Studio Code」上で、Microsoft Azureに関してナビゲートを受けたり、Azureリソースを管理したりできる「GitHub Copilot for Azure」のプレビュー版を公開し、開発者や運用担当者に役立つシーンをコマンド例とともに解説した。
Microsoftは2024年11月15日(米国時間)、「Visual Studio Code」(以後、VS Code)で、Microsoft Azureに関してナビゲートを受けられる「GitHub Copilot for Azure」のプレビュー版を公開した。
「GitHub Copilot for Azureは、Azureをナビゲートするガイドのような存在となる。インフラストラクチャを管理したり、コマンドや引数を調べたりするために、IDE(統合開発環境)とAzureポータルを切り替える必要はなくなり、コア業務のコーディングに集中できる。サービスのセットアップやアプリケーションのデプロイをする場合も、チャットビューで『@azure』と入力することでエディタ内で直接管理できる」と、Microsoftは述べている。
GitHub Copilot for Azureは、Visual Studio Marketplaceからダウンロードして利用を開始できる。
「ライフサイクル全体を支援」 開発者や運用担当者に役立つシーンとは?
GitHub Copilot for Azureは、アプリケーションの構築から実行までのライフサイクル全体にわたる次のようなタスクをサポートするという。
Azureに関する学習
複数の情報源を検索する代わりに、VS Code内で関連性の高い最新のドキュメントを取得できる。「Azure OpenAI Service」のモデルや「Azure AI Search」、さらには「Azure SQL」のようなサービスの料金についても質問できる。この機能は、Azureを初めて使用する開発者にとって非常に有用であり、複雑な概念を迅速に理解するのに役立つ。経験豊富な開発者にとっても、最新のサービスや機能に関する簡単なリマインダーや詳細情報を素早く取得できるため、時間を節約できるという。
- @azure Give me a detailed description of Azure AI Search(Azure AI Searchの詳細な説明をしてほしい)
- @azure Which azure services can run my container?(コンテナを実行できるAzureサービスはどれか?)
リソースのデプロイ
GitHub Copilot for Azureは、リソースのセットアップや自動デプロイなどのタスクをナビゲートし、アプリケーションのデプロイプロセスを効率化する。
Pythonを用いたRAG(検索拡張生成)アプリの開発、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインの構築、Azure Developer CLI(azd)を使用したプロジェクトのデプロイといった場面で、アプリテンプレートや適切なコマンド、設定を提案するという。
「サンプルアプリケーションを検索したり、CLIコマンドを調べたり、YAMLの構文を理解したりする必要はない。これは、サービスを迅速に立ち上げたり停止したりする必要がある場合に特に役立ち、インフラ管理ではなく優れたコードの作成に集中できる」(Microsoft)
- @azure Can you help me build an RAG chat app with GPT-4o?(GPT-4oでRAGチャットアプリを作るのを手伝ってもらえないか?)
- @azure List the regions where GPT-4o is available (GPT-4oが利用可能なリージョンをリストアップしてほしい)
トラブルシューティング
何らかの問題が発生した場合、GitHub Copilot for Azureはアプリケーションのパフォーマンスやリソースの問題について迅速な洞察を提供し、診断やトラブルシューティングを容易にする。Kubernetesクラスタが遅い理由を把握したい場合や、Webサイトで発生する500エラーの原因を特定したい場合でも、「@azure」が解決を支援する。診断を行い、ログを検索し、潜在的な問題を特定してハイライトする。
単に問題を特定するだけでなく、解決にも積極的な支援をする。リソースやアプリケーションの問題の原因を特定した後、設定の最適化、リソースのスケーリング、500エラーの原因となっているコードの修正といった解決策を提案できる。Kubernetesクラスタの実行速度が遅い場合、デプロイメント設定やリソース制限の調整を推奨する。クオータの枯渇やパフォーマンスのボトルネックに直面している場合は、効率的なスケーリングのヒントを提供するという。
- @azure Why is my [ReallyImportantWebsite] webapp running slow?(私の[ReallyImportantWebsite]Webアプリの動作が遅いのはなぜか?)
- @azure Are there any errors in the logs of my [SuperCoolDemo] Container App?(私の[SuperCoolDemo]コンテナアプリのログにエラーはあるか?)
オペレーティング
GitHub Copilot for Azureはリソースの管理を簡略化することもできる。Azure OpenAIのデプロイ数の問い合わせや、特定のデータセンターリージョンのストレージアカウントの一覧を取得してサイズ順に並べ替えることも可能だ。また、特定のリソースセットのコストを確認することもできる。
即時的なリソースデータへのアクセスが可能であり、過剰にプロビジョニングされたリソースの特定や、ワークロードバランスの再調整、構成のファインチューニングなどを通じて、セットアップの最適化を支援する。コーディング環境内で運用を完結できるため、管理の簡素化だけでなく、新たな問題の発生を未然に防ぐこともできるという。
- @azure how many web app plans using the free tier do I have deployed grouped by region sorted by highest to lowest?(Azureの無料ティアを使用するWebアプリケーションプランのデプロイ数は幾つか?)
- @azure How do I list all the pods in my AKS cluster?(AKSクラスタ内の全てのポッドを一覧表示する方法を教えてほしい)
- @azure Breakdown the cost of my[VeryImportantResourceGroup] resource group for October?(10月の[VeryImportantResourceGroup]リソースグループのコストの内訳を教えてほしい)
スラッシュコマンドでより細かい制御が可能
GitHub Copilot for Azureは、自然言語のプロンプトから意図を識別しようとする。しかし、スラッシュコマンドを使用することで、意図をより明確に表現することができる。「これらのスラッシュコマンドは、一般的なコマンドを簡潔に表現する便利なショートカットとしても役立つ」と、Microsoftは述べている。
GitHub Copilot for Azureで利用可能なコマンドリストは以下の通り。
- /help:利用可能な機能を確認する
- /learn:Azureについて学ぶ
- /resources:Azureリソースに関する情報を取得する
- /diagnose:アプリケーションの問題を診断する
- /changeTenant:使用するAzureテナントを選択する
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