Pythonがますます独走、Fortranが2カ月連続でトップ10入り プログラミング言語の人気ランキング:2024年5月版「TIOBEインデックス」発表
プログラミング言語の人気ランキング「TIOBEインデックス」の2024年5月版が公開された。Pythonが首位独走を続け、上位の順位は不動だが、Fortranが2カ月連続でトップ10に入った。
ソフトウェア品質の評価と追跡を手掛けるTIOBE Softwareは、2024年5月版の「TIOBEプログラミングコミュニティーインデックス」(通称「TIOBEインデックス」)を発表した。TIOBEインデックスは、プログラミング言語の人気を示す指標で、同社が毎月1回更新している。
レーティングと順位
2024年5月のランキングでは「Python」が16.33%のレーティングで首位の座を堅持した。2〜6位も2023年7月以降、順位変動がなく、「C」(9.98%)、「C++」(9.53%)、「Java」(8.69%)、「C#」(6.49%)、「JavaScript」(3.01%)と続いた。
Pythonと2位のCのレーティング差は2024年に入って広がる一方だ。TIOBE Software CEOのポール・ジャンセン氏は3月に、「PythonはCを約4.5ポイント引き離し、両者の差はかつてなく大きくなっている」と指摘したが、5月のレーティング差は約6.4ポイントに達した。
上位20言語のレーティングの前年同月との変動を見ても、Pythonは2.88ポイント増と突出した伸びを示した。レーティングが1ポイント以上、上昇した言語はPythonしかない。これに対し、2〜4位のC、C++、Javaは、下落幅が最も大きい3言語となった(それぞれ3.37ポイント減、2.43ポイント減、3.53ポイント減)。
Fortranが2カ月連続でトップ10入り
一方、「Fortran」が4月のランキングで20年以上ぶりにトップ10に入り(10位)、5月も引き続き10位につけた。ジャンセン氏はこれについて次のようにコメントした。「TIOBEインデックスは、測定された結果に基づいており、そのデータは時勢を反映している。例えば、Amazon.comでは、『Fortran programming』で1000件以上のヒットがある。KotlinやRustのような新しいクールな言語では、同様の検索クエリで300冊ヒットするのがやっとだ」
さらに同氏は、Fortran人気の上昇について次のように解説を加えた。「まず第1に、Fortranは1957年の誕生以来、進化を続けている。半年足らず前に『Fortran 2023』が新しいISO規格として発行された。Fortran復活の主な理由は、数値計算や科学技術計算の重要性が高まっていることにある。この分野には競合言語がたくさんある。簡単にチェックしていくと、Pythonは最有力のライバルだが、遅い。MATLABは数学計算に非常に使いやすいが、高価なライセンスが必要だ。C/C++は主流で高速だが、数学計算をネイティブにサポートしていない。『R』はPythonによく似ているが、それほど普及しておらず、遅い。『Julia』は新鋭だが、まだ成熟していない」
「こうした中で、Fortranは高速で、数学計算をネイティブにサポートし、成熟しており、無料だ。静かに、ゆっくりと、着実に、支持を伸ばしている」(ジャンセン氏)
プログラミング言語ランキング1〜20位のまとめ
公開されたTIOBEインデックスの1〜20位は次の通り。
TIOBE Softwareは21〜50位のランキングも公開している。
51〜100位のプログラミング言語については、順位の差が比較的小さいとして、次のようにアルファベット順に列挙している。
「ABC」「ActionScript」「Algol」「Apex」「APL」「bc」「Boo」「Carbon」「CIL」「CL (OS/400)」「CLIPS」「Clojure」「Common Lisp」「Curl」「DiBOL」「Erlang」「Factor」「Groovy」「Hack」「Icon」「Inform」「Io」「J」「JScript」「Ladder Logic」「Lingo」「LiveCode」「LPC」「MQL5」「NATURAL」「Nim」「OCaml」「OpenEdge ABL」「Oxygene」「Paradox」「PL/I」「PowerShell」「Pure Data」「Q」「Ring」「RPG」「Scheme」「Smalltalk」「SPARK」「Standard ML」「WebAssembly」「Wolfram」「X++」「Xojo」「XPL」
TIOBEインデックスは言語の優劣を示すものではない
TIOBEインデックスの評価は、世界中の熟練エンジニアや学習コース、サードパーティーベンダーの数に基づいて算出されている。算出にはGoogle、Amazon.com、Wikipedia、Bing、その他20以上の人気Webサイトが使われている。
なお、TIOBEインデックスは、「どのプログラミング言語が優れているか」「どの言語で書かれたコードの行数が多いか」を示すものではないと、TIOBE Softwareは説明している。
同社はTIOBEインデックスの使い方として、「自分のプログラミングスキルが時流に合っているかどうかチェックする」「新しいソフトウェアシステムを作り始めるに当たって、どのプログラミング言語を採用するかの戦略的判断に役立てる」といった例を挙げている。
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