LLM、AIツールの活用がAPIの需要増加要因に Gartner予測:テクノロジープロバイダーに求められる4つの取り組みとは
Gartnerによると、2026年までにAPIの需要増加の30%以上は、大規模言語モデル(LLM)を使用するAIやツールからの需要が寄与するようになる見通しだ。
Gartnerは2024年3月20日(米国時間)、2026年までにAPIの需要増加の30%以上は、大規模言語モデル(LLM)を使用するAI(人工知能)やツールからの需要が寄与するようになるとの予測を明らかにした。
「技術サービスプロバイダー(TSP)が生成AIの導入を先導しており、その影響は広範囲に及ぶだろう」と、Gartnerでバイスプレジデントアナリストを務めるエイドリアン・リー氏は指摘する。「TSPが企業顧客の生成AI導入を支援することで、LLMや生成AIベースのソリューションからのAPI需要が増加すると見込まれる。TSPは需要を満たすために、これまで以上に迅速に行動しなければならないだろう」
Gartnerが2023年10〜12月に実施したTSPに対する調査(回答者:459人)によると、回答者の83%が、社内で生成AIを既に導入しているか、試験的に導入中と回答している。
「企業顧客は、サードパーティーのAPIやオープンソースモデルの使用など、生成AIを製品、サービスに追加する最適な方法を判断する必要がある。生成AIの導入を先導してきたTSPは、こうした企業顧客と生成AIソリューションニーズの自然なつながりを提供する」
TSPは将来の成長に向けて生成AI投資を最大化すべき
調査によると、TSPの半数は、コア製品/サービスを拡張する戦略的変更により、総合的な製品やエンドツーエンドのサービスソリューションを実現しようとしていることが分かった。
Gartnerは調査を踏まえ、2026年までに独立系ソフトウェアベンダー(ISV)の80%以上が、エンタープライズアプリケーションに生成AI機能を組み込むと予測している。2024年現在、この割合は5%に満たない。
「企業顧客における生成AI導入の準備状況や成熟度はさまざまだ。TSPにとっては、ソフトウェアとインフラ機能、そして人材と専門ノウハウを提供し、企業の生成AI導入を加速させて、変革を起こす機会だ」(リー氏)
TSPは生成AI機能を製品、サービスに組み込む前に、製品ライフサイクル全体にわたって生成AIの限界、リスク、オーバーヘッドを理解する必要があると、Gartnerは述べている。そのために、以下のような取り組みが必要だとしている。
- ユースケースを文書化し、ユーザーが製品の一部として生成AIを使用することで体験する価値を明確に定義する
- 生成AIを製品に追加する最適な方法(サードパーティーのAPIやオープンソースモデルの使用など)を判断し、新機能のコストが価格決定に与える影響を検討する
- ユーザーが学習の難しさに苦労しないように最適化を施し、ユーザーのプロンプト作成を支援する
- さまざまなユースケース固有のリスク(不正確な結果、データプライバシー、安全な会話、IP〈知的財産〉侵害など)を検討し、製品にリスクごとのガードレールを設ける
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