製造業におけるクラウドプラットフォームの収益は2033年までに3000億ドルを超える見込み ABI Research予測:製造業におけるクラウド市場は今後成長傾向
ABI Researchは、製造業における産業用クラウドプラットフォームの総売上が、2033年までに年平均成長率22.57%で3000億ドルを超えるとの予測を発表した。
ABI Researchは2023年8月16日(米国時間)、製造業における産業用クラウドプラットフォームの総売上が、2033年までに年平均成長率22.57%で3000億ドルを超えるとの予測を発表した。同社によると、データから最大限の効用を得ようとする製造業企業がデータ抽出と操作性を強化する新しいアーキテクチャやフレームワークを採用することによって、製造業におけるクラウドプラットフォーム市場は今後10年間で成長するという。
「歴史的に、製造業はオンプレミスのサーバという形で高価なデータハウジングを含むインフラを構築してきた。こうしたサーバの購入、セットアップ、保守にかかる多額の初期費用は、コスト面で勝るクラウドプロバイダーのセールスポイントとなっている。データストレージの価格が安いため、クラウドベースのシステムに切り替えたメーカーは、データストレージに関連する間接費を最大60%削減できる」と、同社の産業、製造テクノロジー業界アナリストを務めるジェームス・アイバーセン氏は説明する。
データストレージを外部のデータウェアハウスプロバイダーに委託しているメーカーにとっては、別の問題も発生する。「外部データウェアハウスは、データの断片化や重複を引き起こしやすく、重要なデータセットが独立して置かれ、新しいKPIを生み出すために連携しないデータサイロを作り出す。クラウドプロバイダーは、アプリケーションを双方向に相互接続し、アプリケーションとそのデータ間の共有と通信を実現することで、こうした懸念を解消している」(アイバーセン氏)
同社が実施した調査によると、2022年の産業用クラウドプラットフォーム市場において収益の3分の2はAmazon Web Services(AWS)とMicrosoftの両社が占めているという。「どちらも同等の支払いオプション、データ料金設定(Microsoftがわずかな差でAWSに勝っている)だ。アプリケーションの提供においてはAWSが有利だ。AWSは、データの取り込み、コンテキスト化、分析に合わせてカスタマイズされた最も包括的なアプリケーションスイートを提供しながら、有力なクラウドサービスプロバイダーとしての既存の評判により、Microsoftを徐々に引き離してきた。Googleは技術的な観点から他のハイパースケーラーに追い付くために努力しており、新しいアップデート(データエンジンおよびコネクトエッジ)は既にAWSとMicrosoftに対応する相当するものを持ち、比較して市場シェアに影響を与えている」とアイバーセン氏は述べる。
「エッジでのクラウドへのアップロード前のデータパッケージングと、ローコード/ノーコードのパイプラインで遅延が減少したドメインがある。Google、Alibaba、IBM、SAP、Tencent、Oracleがこれらの発展に歩調を合わせて、これらの分野でのソリューション提供を進化させていくことに注目してほしい」(アイバーセン氏)
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