JetBrains、「Kotlin Notebook」を発表 Jupyter Notebook準拠でプロトタイピングに利用可能:実験的プラグインとして提供開始
JetBrainsは、統合開発環境(IDE)「IntelliJ IDEA」に対応した「Kotlin Notebook」の実験的バージョンを提供開始した。
統合開発環境(IDE)「IntelliJ IDEA」やプログラミング言語「Kotlin」の開発元であるJetBrainsは2023年7月4日(チェコ時間)、IntelliJ IDEAの「Kotlin Notebook」プラグインの実験的バージョンを提供開始したと発表した。
Kotlin Notebookプラグインは2023年7月時点で、IntelliJ IDEA Ultimateのユーザーが利用できる。IntelliJ IDEA Ultimateは、Java、Kotlin、Web、エンタープライズ開発用の全機能を搭載するIntelliJ IDEAの商用バージョンだ。
Kotlin Notebookプラグインとは
Kotlin Notebookは、Kotlinに関するコード、画像やグラフ、テキストなどを1つのドキュメントにまとめることができるインタラクティブツール。ノートブックでは、コードスニペット(セル)の作成、実行、結果の表示、思考プロセスの文書化を全て1カ所にまとめられる。
ノートブックフォーマットは既に、ラピッドプロトタイピング、分析、データサイエンスに広く採用され、信頼されている。「Kotlin Notebookプラグインは、IntelliJ IDEAにインタラクティブ開発のパワーをもたらす」とJetBrainsは述べている。
Kotlin Notebookのインストール方法
Kotlin Notebookプラグインを使用するには、IntelliJ IDEA Ultimateの[Settings | Plugins](設定|プラグイン)タブにある[Marketplace](マーケットプレース)からインストールする。IntelliJ IDEAのバージョン2023.1.2以上を使用している必要がある。
またPythonプラグインのインストールも必要となる。これは、Kotlin NotebookがPythonプラグインのUIコンポーネントに依存しているためだ。ただし、この依存関係は近いうちに解消される見通しだ。
Kotlin Notebookの基本的な使い方
Kotlin Notebookプラグインをインストールすると、最初のノートブックを作成する準備ができる。基本的に、ノートブックはディスク上のファイルであるため、[New | Kotlin Notebook](新規作成|Kotlin Notebook)アクションにより、プロジェクトビューのどこにでも作成できる。
作成されたノートブックは、「.ipynb」の拡張子を持つ。Jupyter Notebookを知っている人には見慣れた拡張子だ。Kotlin Notebookは内部的には、Jupyter Notebookと同じ構造、フォーマット、プロトコルに従う。そのため、Kotlin Notebookのファイルは、KotlinカーネルがインストールされたマシンでGitHub、Jupyter Notebook、JupyterLabで見ることもできる。
作成されたノートブックには、最初の空のセルだけが含まれる。セルはノートブックの主な構成要素で、コードかテキストを含むことができる。コードセルを実行するには、セルを選択して実行ボタンをクリックするか、[Shift]+[Enter]ショートカットキーを使用する。これでコードが実行され、出力またはエラーがセルの下に表示される。
Markdownセルにテキストを書くこともできる。Markdownセルはヘッダ、リスト、リンク、LaTeX、画像など、豊富なフォーマットオプションをサポートしている。Markdownセルをレンダリングし、フォーマットされたテキストを見るには、コードセルの実行と同じ方法で実行する。
ノートブックは、インタラクティブで反復的なワークフローを提供する。セルを好きな順番で実行したり、コードやテキストを変更したり、変数の宣言や再宣言を行ったり、セルを再実行して、更新された結果を見たりすることができる。このため、実験やプロトタイプ作成、作業の文書化が簡単に行える。
JetBrainsは、ノートブックを体験し、探索するためのサンプルノートブックを提供している。このサンプルノートブックは、Kotlin Notebookを発表したブログ記事で説明された全ての側面を網羅している。その中には、サポートされている出力の詳細や、ノートブックの依存関係、ライブラリの統合などが含まれている。
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