AIやアナリティクスに高い期待を寄せているが、導入はこれから Gartner調査:「AI導入は最大の課題の1つだが、それはチャンスでもある」
Gartnerの調査によると、企業の戦略担当者の79%が、今後2年間の成功にはアナリティクスやAIなどの技術が不可欠と考えていることが分かった。
Gartnerが2023年7月5日(米国時間)に発表した調査によると、企業の戦略担当者の79%が、今後2年間の成功にはアナリティクス、人工知能(AI)、自動化などの技術が不可欠と考えていることが分かった。
この調査は2022年10月から2023年4月にかけて、北米、西欧、アジア太平洋、オーストラリア、ニュージーランドに本社を置くさまざまな業種、売上高、企業規模の企業の戦略担当者200人を対象に実施された。
戦略担当者は、戦略を立案および実行する活動の50%が、部分的または完全に自動化できる可能性があるとの見解も示している。現在は、この自動化の割合はまだ15%にとどまっている。
「より効率的で的確な戦略策定のためにアナリティクスとAIを活用することは、企業の戦略担当者にとって2023年最大の課題の一つだが、それはチャンスでもある」と、Gartnerのリサーチディレクターを務めるデビッド・エーカーズ氏は述べている。「競争力を維持し、実績を上げ続けたければ、デジタル活用が必要だ。今、戦略担当者は、その指針を自身のワークフローに適用する準備ができているようだ」
調査では、記述的アナリティクスと診断的アナリティクスについては、戦略担当者の半数以上が使用していると答えている。だが、予測的アナリティクス、処方的アナリティクス、グラフアナリティクスといったより高度なツールを使用していると答えた戦略担当者は、半数に満たない(図)。
同様に、機械学習や自然言語処理(NLP)などのAI関連ツールを業務に使用していると答えた戦略担当者は、20%程度にとどまる。だが、戦略担当者がこれらのツールを試験的に使用している割合と、使用を検討している割合を合計すると、4〜5割程度になる。例えば、機械学習では、これらの割合の合計は51%で、予測的アナリティクスも45%となっている。
ユースケース戦略の構築
新技術の導入における最大のハードルの一つは、明確なユースケースを確立することだ。調査の中で、導入課題の上位3つを質問したところ、これを挙げた戦略担当者が最も多く、全体の52%に達した。
「その理由は幾つかある。これらの技術を手掛けるベンダーは、戦略担当者にとってあまりなじみがない。また、選択肢が多過ぎる他、参考になる前例がほとんどない」と、エーカーズ氏は説明する。
戦略担当者が導入を目指していると答えた先進技術の多くは、既に他の分野でうまく活用されている事例がある。Gartnerは、強力なビジネスケース(投資対効果検討書)を作成する方法として、まず既存の機能を特定のニーズにマッピングし、次に先進技術のさまざまなユースケースについて、新しいツールの目的、影響、適合性を考慮して、どう優先順位を付けるかを検討することを勧めている。
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