王者Pythonのトップ陥落もあり得るか? C++とJavaが猛追 2023年4月言語人気ランキング:高性能な「Zig」がトップ50入り
TIOBE Softwareはプログラミング言語の人気ランキング「TIOBEインデックス」の2023年4月版を発表した。3月と同じく、1〜5位は「Python」「C」「Java」「C++」「C#」で、PythonとCは引き続きわずかな差となった。「Go」が10位を維持した。
ソフトウェア品質の評価と追跡を手掛けるTIOBE Softwareは、2023年4月版の「TIOBEプログラミングコミュニティーインデックス」(通称「TIOBEインデックス」)を発表した。
TIOBEインデックスはプログラミング言語の人気度を示すランキングで、同社が毎月更新している。2023年4月のランキングでは「Python」が14.51%のレーティングを獲得し、首位を維持した。2〜5位の各言語も3月と同じで、「C」(14.41%)、「Java」(13.23%)、「C++」(12.96%)、「C#」(8.21%)となった。
Pythonのレーティングは2022年11月に過去最高の17.18%に達したが、12月から5カ月連続で下落している。この間に2位のCのレーティングも下落しており、PythonとCの差は5カ月にわたって0.1ポイントで推移している。
前年同月比ではC++とJavaのレーティングが大きく上昇
2023年4月の各言語のレーティングについて前年同月比の変動を見ると、C++が4.68ポイント増と最も大きく上昇し、Javaも2.41ポイント増と上昇幅が大きかった。上昇幅が1ポイントを超えた他の言語は、C(1.71ポイント増)、C#(1.39ポイント増)のみだった。
Goが10位を維持
3月に過去最高の10位にランクインした「Go」は、4月も10位を維持した。9位のPHPとは0.08ポイント差に迫った。Goと入れ替わりにトップ10から外れたのは、アセンブリ言語だ。
「Zig」がトップ50入り
TIOBE SoftwareのCEOを務めるポール・ジャンセン氏は、2023年4月に「Zig」が46位となり、初めてトップ50入りしたことについて、次のようにコメントしている。「昨今では、膨大な量のデータを高速で処理する必要が生じていることから、高性能なプログラミング言語が人気を呼んでいる。CとC++はトップ10の上位を維持し続け、『Rust』もトップ20に定着しつつある。こうした中で、CとC++のもう1つの注目すべきライバルであるZigも、トップ50に入ってきた」
「Zigは非常に実用的な言語であり、C/C++プログラムとスムーズにやりとりする。そのため、C/C++からZigへの移行は簡単だ。Zigは、CとC++の優れた機能(オプション型で強化された明示的なメモリ管理など)を全て備え、あまり優れていない機能(前処理など)は放棄している。トップ50入りは成功を保証しないが、少なくとも注目に値する第一歩だ」(ジャンセン氏)
51〜100位のプログラミング言語については、順位の差が比較的小さいとして、次のようにアルファベット順に列挙している。
「4th Dimension/4D」「ABC」「ActionScript」「Alice」「Apex」「APL」「AutoHotkey」「Avenue」「C shell」「CL (OS/400)」「CLIPS」「Clojure」「CoffeeScript」「Common Lisp」「Crystal」「Dylan」「Elixir」「Emacs Lisp」「Erlang」「Forth」「GAMS」「Hack」「Icon」「Io」「J」「J#」「JScript」「Korn shell」「LabVIEW」「Ladder Logic」「LiveCode」「ML」「NATURAL」「Nim」「OCaml」「PILOT」「PL/I」「Pony」「Programming Without Coding Technology」「Q」「Racket」「Raku」「Ring」「RPG」「Smalltalk」「Solidity」「Tcl」「VBScript」「VHDL」「X++」。
主要言語の人気度、長期的な盛衰は?
TIOBE SoftwareはTIOBEインデックスの過去12カ月の平均順位における上位10言語の他、知名度の高い5言語は5年ごとの順位もまとめている。過去20〜25年でPython、Java、C#、「JavaScript」が大きく順位を上げている。CとC++も根強い人気を保っていることが分かる。
TIOBEインデックスは言語の優劣を示すものではない
TIOBEインデックスのレーティングは、世界の熟練エンジニア、学習講座、サードパーティーベンダーの数に基づいて算出されている。レーティングの計算には、GoogleやBing、Yahoo!など広く普及した検索エンジンが使われている。
TIOBE Softwareは、「TIOBEインデックスは『どのプログラミング言語が優れているのか』『どの言語で書かれたコードの行数が多いのか』を示すものではない」と説明している。
同社はTIOBEインデックスの使い方として、「自分のプログラミングスキルが時流に合っているかどうかをチェックする」「新しいソフトウェアシステムを作り始めるに当たって、どのプログラミング言語を採用するかという戦略的判断に役立てる」といった例を挙げている。
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