ニュース
Pythonを超えて熱烈に支持される開発言語は? 人気フレームワークは? 2万6000人の回答を徹底分析:「jQuery」の人気度が急速に低下
SlashDataは開発者動向レポートの最新版「State of the Developer Nation 23rd Edition」を公開した。ブロックチェーン開発、学生のキャリア目標、プログラミング言語コミュニティー、ベンダーが所有するオープンソースプロジェクトへの開発者の貢献、ゲーム開発者の所属スタジオ、Webフレームワークの盛衰といった6つのテーマに沿って調査結果をまとめている。
開発者動向を分析する調査会社のSlashDataは、年2回作成する調査レポートの最新版「State of the Developer Nation 23rd Edition」を公開した。2022年6〜8月に163カ国の2万6000人以上の開発者を対象として調査した結果をまとめたものだ(※同調査レポートにおける「開発者」は、「ソフトウェア開発エコシステムに関わっている」と自認している全ての人を指している)。
同レポートは「ブロックチェーン開発の現状」「学生が目指す主なキャリア目標」「プログラミング言語コミュニティー」「ベンダーが所有するオープンソースプロジェクトに開発者が貢献する目的」「ゲーム開発者が所属するスタジオの種類」「Webフレームワークの盛衰」という6つのテーマについて、2022年第3四半期以降の主要な開発者動向を掘り下げて分析している。テーマごとのハイライトは以下の通り。
ブロックチェーン開発の現状
- 開発者の25%が現在、暗号通貨以外のブロックチェーンアプリケーションについて取り組んでいるか、学習している

暗号通貨以外のブロックチェーンアプリケーション/暗号通貨/NFT(非代替性トークン)について取り組んでいる/学習している開発者の割合(2022年第3四半期、n=24489)(提供:SlashData「State of the Developer Nation 23rd Edition」)
- ソフトウェア開発経験が6〜10年の開発者が、ブロックチェーンプロジェクトに取り組んでいる割合が最も高い
- ブロックチェーンプラットフォームは「Ethereum」が主流だ。現在、ブロックチェーンについて学習している人の間で人気があるブロックチェーン技術は、Ethereumのみとなっている

各ブロックチェーン技術について取り組んでいる/学習している開発者の割合(2022年第3四半期、n=7894)(提供:SlashData「State of the Developer Nation 23rd Edition」)
学生が目指す主なキャリア目標
- 問題解決、専門知識・ノウハウの習得、革新的なソリューションの構築が、最も多くの学生開発者が目指すキャリア目標となっている
- 社会へのインパクトを最大化することを目指す学生は、イノベーションの実現や自分のビジネスの構築に高い関心を示している
- 北米、中東、アフリカの学生は、将来の起業を目指す傾向が強い
プログラミング言語コミュニティー
- 「JavaScript」コミュニティーは依然として最大のプログラミング言語コミュニティーだ。世界で1960万人の開発者がJavaScriptを使用していると推計される

2022年第3四半期のプログラミング言語コミュニティーの規模(アクティブ開発者数)/アクティブ開発者数が最も多い分野/最も少ない分野(JavaScriptのアクティブ開発者数は、CoffeeScriptとTypeScriptのアクティブ開発者数を含む)(提供:SlashData「State of the Developer Nation 23rd Edition」)
- 2年間で、「Java」コミュニティーの人数は830万人から1650万人へとほぼ倍増した
- 「Kotlin」と「Rust」のコミュニティーは最も急速に成長しており、過去2年間で2倍以上の規模となっている

2020年第3四半期〜2022年第3四半期のプログラミング言語コミュニティーの規模の順位(JavaScriptのアクティブ開発者数は、CoffeeScriptとTypeScriptのアクティブ開発者数を含む)(左から順にn=17241、n=17801、n=19319、n=20041、n=26183)(提供:SlashData「State of the Developer Nation 23rd Edition」)
ベンダーが所有するオープンソースプロジェクトに開発者が貢献する目的
- 開発者の73%が、ベンダーのオープンソースプロジェクトに貢献していると回答している
- 開発者がベンダー所有のオープンソースプロジェクトに貢献する主な目的は、コーディングスキルの向上、使用しているソフトウェアの改良、自分よりも大きなものへの貢献だ
- 開発経験年数にかかわらず、全ての開発者にとって、既に使っているソフトウェアの改良が、企業のオープンソースプロジェクトに貢献する大きな動機となっており、経験年数が長い開発者では特に当てはまる
ゲーム開発者が所属するスタジオの種類
- プロのゲーム開発者は、さまざまな種類のゲームスタジオにほぼ均等に分布している
- 経験豊富な開発者(経験年数16年以上)は、インディースタジオ(独立系スタジオ)に所属している割合が高い
- インディースタジオで働くゲーム開発者は、他のスタジオの場合と比べて、複数の役割を兼任していると自認している傾向がある
Webフレームワークの盛衰
- フレームワークを使用するWeb開発者は、使用しない開発者と比べて、ソフトウェアデリバリーの速度が速い傾向がある
- Web開発者はさまざまなツールを試すことをやめ、使用するフレームワークの数を徐々に絞りつつある
- 「React」は現在、最も広く使われているクライアントサイドフレームワークだ。その採用率は過去2年間安定している。これに対し、「jQuery」の人気は急速に低下している

各クライアントサイド/サーバサイドフレームワークを使用しているWeb開発者の割合(2021年第1四半期〜2022年第3四半期、左から順にn=3246、n=3747、n=3525、n=3753)(提供:SlashData「State of the Developer Nation 23rd Edition」)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
誰がローコード/ノーコードツールを使っているのか、SlashData調査
SlashDataの調査によると、開発者の半数弱がローコード/ノーコード(LCNC)ツールを使用していることが分かった。開発作業の何%で使用しているのか。開発経験年数との関係は、どうなっているのか。最も勢いのあるプログラミング言語は?
SlashDataは開発者動向レポートの最新版「Developer Economics: State of the Developer Nation 21th Edition」を公開した。主要プログラミング言語のユーザー数や、5G、IoT、機械学習、データサイエンス、ゲーム開発といった最新のテーマを追っている。中国の開発者の貢献が多い開発分野なども分かる。