フェイルオーバークラスタインスタンスで使用しているドライブ文字に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(121)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、フェイルオーバークラスタインスタンスで使用しているドライブ文字に関する情報の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_io_cluster_shared_drives」における、フェイルオーバークラスタインスタンスで使用しているドライブ文字に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Managed Instance」「Analytics Platform System」(PDW)です。
概要
SQL Serverでは、フェイルオーバークラスタインスタンスを作成してインスタンスの可用性を高めることができます。フェイルオーバークラスタインスタンスでは、Windows Serverフェイルオーバークラスタリング機能を利用してインスタンスレベルでの冗長化を構成します。
「sys.dm_io_cluster_shared_drives」では、フェイルオーバークラスタインスタンスで使用しているドライブ文字に関する情報を出力します。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
DriveName | nchar(2) | フェイルオーバークラスタインスタンスの共有ディスクのドライブ文字 |
動作例
フェイルオーバークラスタインスタンスを作成し、記憶域には3つのクラスタディスクを追加しました(図1)。
フェイルオーバークラスタマネジャーで確認できた各クラスタディスクには「K」「J」「L」のドライブ文字が付与されていることを確認できました。
「sys.dm_io_cluster_shared_drives」を実行するとフェイルオーバークラスタインスタンスで使用しているドライブ文字に関する情報が出力されました(図2)。
表示順序は異なりますが、フェイルオーバークラスタマネジャーと同じく「J」「L」「K」のドライブ文字が付与されていることが確認できました。
「sys.dm_io_cluster_shared_drives」で確認できる情報はドライブ文字だけですが、後日紹介する「sys.dm_io_cluster_valid_path_names」では、もう少し詳細な情報まで出力されます。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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