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拡張イベントパッケージの一覧を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(84)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、拡張イベントパッケージの一覧を出力する方法について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_xe_packages」における、拡張イベントパッケージの一覧を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。

概要

 SQL Serverでは、拡張イベント(XEvent)の機能を使用することで、SQL Serverの内部で発生したイベントや付随する情報を記録して、パフォーマンス問題の解析や問題の原因特定に必要なデータを収集できます。

 類似の機能として、以前からSQL Serverトレースがありました。拡張イベントはより新しい機能となり、採取パフォーマンスの改善や対象のイベント、収集できる情報の増加、記録方法の選択肢の増加がなされました。

 拡張イベントを収集するには、あらかじめ拡張イベントセッションを構成して、採取対象とするイベントや含める情報、記録先などを設定しておく必要があります。そして、拡張イベントを採取する期間にあわせて、拡張イベントセッションを開始、停止します。

 「sys.dm_xe_packages」動的管理ビューでは、拡張イベントエンジンに登録されたパッケージの一覧を出力できます。拡張イベントでは、これらの登録されたパッケージによって、イベントやイベント発生時に実行できるアクション、記録先であるターゲットなどが提供されています。

出力内容

列名 データ型 説明
name nvarchar(256) パッケージの名前
guid uniqueidentifier パッケージを識別するGUID
description nvarchar(3072) パッケージの説明
capabilities int パッケージの機能を表すビットマップ
capabilities_desc nvarchar(256) パッケージの機能の一覧
module_guid nvarchar(60) パッケージを公開するモジュールのGUID
module_address varbinary(8) パッケージが公開するモジュールが読み込まれたベースアドレス
1つのモジュールで複数のパッケージが公開されている場合がある

動作例

 「sys.dm_xe_packages」動的管理ビューを実行すると、拡張イベントパッケージの一覧が表示されます(図1)。

図1
図1 拡張イベントパッケージの一覧を出力したところ

 T-SQLを使用して拡張イベントセッションを構成する場合、拡張イベントセッションへのイベントの追加は、CREATE/ALTER EVENT SESSIONステートメントにADD EVENT句を追加します。ADD EVENT句では、パッケージ名とイベント名を使用して対象のイベントを指定します。「sys.dm_xe_objects」動的管理ビューと「sys.dm_xe_packages」動的管理ビューを組み合わせることで、パッケージ名を含めたイベント名を取得できます。

図2
図2 ADD EVENT句で指定可能なパッケージ名を含めたイベント名の一覧を出力したところ

 拡張イベントセッションは、SQL Server Management StudioからGUIを使用して構成したり、T-SQLスクリプト化したりできますので、あまりT-SQLを使用して設定する場合はないかもしれませんが、もしT-SQLのみを使用して構成が必要な場合には、「sys.dm_xe_packages」動的管理ビューなどの拡張イベント関連の動的管理ビューの参照が必須となりそうです。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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