Google Cloudの新しい機密データ保存/管理サービス「Secret Manager」、Googleがβ版をリリース:機密データの管理とアクセス、監査を一元化
Googleは、APIキーやパスワード、証明書などの機密データを保存する「安全で便利な方法を提供する」ことをうたう新しいGoogle Cloudサービス「Secret Manager」(β版)を発表した。
Googleは2020年1月23日(米国時間)、データベース接続のための資格情報やサービスを呼び出すために必要なAPIキー、各種パスワード、認証用の証明書などの機密データを保存する「安全で便利な方法を提供する」ことをうたう新しいGoogle Cloudサービス「Secret Manager」(β版)を発表した。
Secret Managerは、Google Cloud全体での機密データの管理とアクセス、監査の一元化を実現し、これらを行うための「信頼できる唯一の情報源(SSOT:Single Source of Truth)」を提供する。
Secret Managerでは、「シークレットバージョン」と「シークレット」の作成、管理を行う。シークレットバージョンとはバージョン管理されたシークレットデータをいう。
シークレットは、シークレットバージョンの集合体のラッパーであり、シークレットバージョンにアクセスすると、ラベルやレプリケーションといったメタデータも同時に取得できる。ただし、シークレットは実際の「シークレットペイロード」(機密データ本体)は含まない。
シークレットバージョンは、シークレットペイロードに加え、状態などのメタデータを含む。状態は3種類あり、「有効」「無効」「破棄」のいずれかの値をとる。
クラウドならではの機能を備える
Secret Managerの主要な機能は次の通り。
- グローバル名とレプリケーション
シークレットは、プロジェクトにおいてグローバルなリソースだ。つまりクラウドのリージョンをまたがってシークレット名を利用できる。自動レプリケーションポリシーとユーザーが管理するレプリケーションポリシーのいずれかを選択できるので、シークレットデータの保存場所を管理できる。このため本社があるリージョンにシークレットデータを保存したいというニーズに応えることができる
- ファーストクラスバージョニング
シークレットデータは書き換えることができない。ほとんどの操作はシークレットバージョンに対して行われる。Secret Managerでは、シークレットを特定のバージョン(例えば「42」)や、フローティングエイリアス(例えば「latest」)で利用できる - 最小特権の原則
プロジェクトオーナーだけがシークレットにアクセスする特権を持つ。他のロールを持つユーザーは、「Google Cloud Platform」(GCP)が含む「Cloud IAM」によって明示的に権限を付与する必要がある - 監査ロギング
GCPに含まれる「Cloud Audit Logging」を有効にすると、Secret Managerの操作のたびに監査ログエントリーが生成される。この監査ログを異常検知システムに取り込むと、異常なアクセスパターンを発見でき、セキュリティ侵害が発生した可能性がある場合にアラートを発行できる - 強力な暗号化を保証
データは転送時にTLSで、保存時にAES(Advanced Encryption Standard)の256bit暗号鍵で暗号化される。顧客管理の暗号鍵(CMEK)のサポートも始まる予定だ - VPC Service Controls
GCPに含まれる「VPC Service Controls」により、ハイブリッド環境からSecret Managerへのコンテキストアウェアアクセスを実現する
Googleは今回の発表と同時にGoogle Cloudの全顧客向けにSecret Managerのβ版の提供を開始している。
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