AWSが2021年初頭、大阪ローカルリージョンを通常リージョンに昇格へ
アマゾンウェブサービスジャパンは2020年1月20日、現在世界唯一の「ローカルリージョン」である大阪リージョンを、2021年初頭をめどにフル機能を備える通常リージョンへ昇格することを明らかにした。これで公共ニーズへの対応もしやすくなる。
アマゾンウェブサービス(AWS)ジャパンは2020年1月20日、現在世界唯一の「ローカルリージョン」である大阪リージョンを、2021年初頭をめどにフル機能を備える通常リージョンへ昇格することを明らかにした。
AWSは大阪ローカルリージョンを、金融機関などのコンプライアンス要件に応えることを目的として開設した。投資対効果の観点から、構成と機能はフルリージョンに比べて大幅に簡素化しており、一般的な災害対策への利用すら制限していた。
2021年に通常リージョンへ昇格させる理由として、AWSジャパンの長崎忠雄社長は、「多くの顧客から利用の要望があったから」と説明した。公共システムのニーズを織り込んで決断した可能性もある。
AWS大阪ローカルリージョンの現時点における構成と機能は下記の通り。「アベイラビリティゾーン(AZ)が1つ」というのが、3以上のAZで構成される通常リージョンとの根本的な違い。AWSは多くのデータ関連サービスやサーバレスサービスを、複数AZにまたがって運用することで、顧客が意識せずに冗長性を確保できるようにしているが、現時点ではこれができない。
通常リージョンへの昇格で、大阪リージョンは、当然ながら東京リージョンや他のリージョンと全く同一の使い勝手で利用できることになる(ただし、新サービスの提供開始時期が、東京と大阪でそろうことになるとは限らない)。
加えて、AWSを使う企業や組織は、日本国内に閉じた形で、災害対策が行えるようになる。AWSにとっては、公共ニーズに対応する上での1つの障壁を取り払えることになる。
2020年1月20日の発表では、ソニー銀行が、大阪の通常リージョンへの昇格に合わせ、フルクラウドバンク化に向けた最終工程を進めると宣言した。他に大阪リージョンの積極活用を表明した企業として、AWSは関西電力、コニカミノルタ、JCB、三井住友信託銀行、三井UFJフィナンシャルグループを挙げている。
現時点での大阪ローカルリージョンの構成・機能
- 大阪リージョンのみの利用はできない
- アベイラビリティゾーン(AZ)が1つ
- 大阪リージョンの利用には「事前の申し込みと審査」が必要
- 提供されるAmazon EC2はリザーブドインスタンスとスポットインスタンスで、オンデマンドインスタンスは提供されない
- 提供サービスは、例えば東京リージョンで提供されているものに比べると少ない。Amazon EC2、Amazon S3、Amazon RDSなどのサービスが中心
- 大阪リージョンは、「事前の申し込みと審査」を経て利用可能になった場合でも、通常のコンソール上で操作がアンロックされるわけではない。同リージョン専用のコンソールで利用する
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