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ソフトウェアにも「JISマーク」が付く時代の到来――あなたの知らない「品質モデル」の基礎知識変わる「ソフトウェア品質」再考(2)(2/2 ページ)

「ソフトウェア品質」は時代とともに変化している。本連載では、「品質」というものをもっと分かりやすく理解してもらうために、あらためて「品質」について再考していく。今回は「品質モデル」の基礎知識について。

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ソフトウェア品質認証制度とソフトウェア製品やサービスのJISマーク認証の動向

 利用者が安心してソフトウェア製品を利用できることを意識した品質認定制度は2013年から実施されています。

PSQ認証制度とは

 一般社団法人「コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)」では、ここまで紹介した「JIS X 25010」の品質特性、およびSQuaREの「JIS X 25051:2016(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−既製ソフトウェア製品(RUSP)に対する品質要求事項及び試験に対する指示)」を活用し、ソフトウェアパッケージ製品(クラウド製品も含む)の品質認証制度である「PSQ認証制度」を実施しています。

 PSQ認証制度では、JIS X 25051のベースになっている「ISO/IEC 25051」を評価基準に、「製品説明(カタログなど)と利用者用文書類(マニュアルなど)とソフトウェアの機能が一致していることを確認できること」を要件に認証を行っています。すでに数多くのソフトウェアパッケージ企業が取得し、ISO/IEC 25051のロゴを付けて製品を販売しています。

 このようなソフトウェアの認証制度はドイツや韓国でも行われており、その他の国でも検討されています。つまり、ソフトウェア製品に対し、一定の品質レベルを認証する仕組みがさまざまな国で求められているともいえるでしょう。

JISマーク認証

 PSQ認証制度だけではなく、「JIS法改正」に伴い、「JISマーク」の適用分野が広がり、ソフトウェア分野も「JISマーク認証」が可能になりました。

 経済産業省所管の独立行政法人「製品評価技術支援機構(NITE)」では、工業製品などに関する技術上の評価や品質に関する情報の収集、提供など、その主たる業務としています。すでにNITEによって、ソフトウェアの品質の試験実施能力が持つ事業者の登録制度が始まっています。

 2019年の秋には登録試験事業者になるための条件などが書かれたガイドラインが公開される予定です。

 これまで、ソフトウェアは品質に関する情報がなくても販売できる世界でしたが、工業製品と同様にソフトウェアにもJISマークが付く時代はもうすぐやってくることになります。

今後は国際標準規格で定義されているソフトウェア品質に関する知識も必要

 ソフトウェア開発者はこれまで国際標準規格に関する知識よりもベンダー製品の知識を重視してきた傾向が強いですが、今後は国際標準規格で定義されているソフトウェア品質に関する知識も必要になってきますので、ぜひ本連載をきっかけに身に付けてほしいと思います。

 次回は「利用時の品質」について解説します。

筆者紹介

加藤大受

日本ナレッジ株式会社 エグゼクティブコンサルタント

ソフトウェアベンダーおよびメーカーで、25年以上ソフトウェア開発およびソフトウェアの品質保証を担当。2019年から日本ナレッジでエグゼクティブコンサルタントとしてさまざまな企業の品質の課題に取り組んでいる。

首都大学東京ソーシャルビッグデータ研究センター研究員やISO 25000シリーズ(SQuaRE)の国際規格を策定している「ISO JTC1/SC7/WG6」のエキスパートなど、ビッグデータやソフトウェア品質の研究者としても活動している。


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