情シス要員6〜9人くらいの企業で最も利用意向が高い「サブスクリプション型IT」:ノークリサーチが調査
ノークリサーチはサブスクリプションやシェアリングといった新たなビジネス形態が中堅中小企業のIT活用に与える影響に関する調査結果を発表した。企業規模が大きいほど、情報漏えいを懸念する企業の割合が多かった。
ノークリサーチは2019年5月27日、サブスクリプションやシェアリングといった新たなビジネス形態が中堅中小企業のIT活用に与える影響に関する調査結果を発表した。
企業のIT活用において、サービスの消費形態がサービスを提供するオンプレミス環境を自社で保持する「所有」から、クラウドサービス(SaaS、PaaS、IaaS)やOS、ハードウェアを対象としたDaaS(Device as a Service)などサブスクリプション型の「利用」へと変化しつつある。
ノークリサーチは、中堅中小企業に対してサブスクリプションやシェアリングによるIT活用の意向や拠出可能な金額を調査した。同社がその結果に基づいて試算した、中堅中小規模向けサブスクリプション/シェアリング市場の規模は426.5億円だった。
情シス要員6〜9人くらいの企業で利用意向が高い
次に、中堅中小企業に、サブスクリプション/シェアリング形態への取り組み意向について聞いたところ、本業に関わるサービスや製品を同形態で提供する意向と、本業に関わるサービスや製品を同形態で利用する意向のいずれも、5%前後と低かった。
これに対して、ITの活用に関してはサブスクリプション/シェアリング形態への取り組み意向は、ITの管理運用人員規模で異なったが、総じて利用意向は高かった。利用したいと回答した割合が最も高かったのは、ITの管理運用の役割を兼任で担う人員が6〜9人の企業で、その割合は61.0%だった。利用したいと回答した割合が最も低かったのは、兼任のIT担当者が1人の企業と、専任のIT担当者が1人の企業で、どちらも20%だった。
サブスクリプション/シェアリング形態は、費用の案分や資産、人材に関する管理負担の軽減などの効果が期待できる。そのためIT管理運用者が少ない企業の方が活用意向も高いと考えがちだが、実際はいわゆる「1人情シス」の企業で活用意向が最も低かった。企業の年商別で見ると、年商の大きい企業の方が、活用意向が高かった。
最後に、サブスクリプションやシェアリングを利用する際の課題や懸念について調べたところ「秘匿情報が漏えいしてしまう恐れがある」との声が多く聞かれた。特に、ITの管理運用の役割を専任で担う人員が10人以上いる企業で最も多く、32.8%に上った。次点は兼任のIT担当者が10人以上いる企業の21.7%で、専任か兼任かによらず、IT担当者の数が多い企業ほど情報漏えいを懸念する割合が高くなる傾向にあった。
こうした調査結果を受けて、ノークリサーチでは、ベンダーやSIerがサブスクリプションやシェアリングによるIT活用を提案する際は、機能や仕様、月額費用だけでなく、中長期に見たときの費用や情報漏えいの防止策についても十分に説明することが重要だとしている。
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