Microsoft、「System Center 2019」を2019年3月に正式リリース、機能を大幅強化:Windows Server 2019に対応
Microsoftは2019年3月に、運用管理ツールスイートの最新版「Microsoft System Center 2019」の正式提供を開始する。ハイブリッド管理とモニタリングを実現する。
Microsoftは2019年3月7日(米国時間)、運用管理ツールスイートの最新版「Microsoft System Center 2019」の正式提供を2019年3月に開始すると発表した。
System Center 2019では、データセンターニーズに合わせて「Windows Server 2019」の大規模な展開と管理を実行できる。Microsoftによると、System Center 2019では次の3つの分野に重点を置いたという。
- データセンターのモニタリングと管理
- Windows Serverの最新バージョンのサポートと管理
- 「Microsoft Azure」とのハイブリッド管理とモニタリングの実現
System Center 2019は「長期サービスチャネル」(LTSC:Long-Term Servicing Channel)リリースであり、5年間のメインストリームサポートと5年間の延長サポートが提供される。メインストリームサポート期間には、半年ごとに「Update Rollup」リリースによって修正と更新が続く。
System Center 2019は、「System Center 2016」に加えて、半期チャネル(Semi-Annual Channel)の「System Center,version 1801」「System Center,version 1807」からもアップグレードできる。
System Center 2019の主要機能の概要は次の通り。
ハイブリッド
「今では企業のIT環境はオンプレミスとクラウドにまたがっており、顧客はオンプレミスツールを使ってAzureサービスのイノベーションを利用したいと考えている」とMicrosoftは認識している。それを可能にするため、System CenterとAzureの一連の管理ツールを統合し、オンプレミスツールを強化した。
- 「Service Map」と「System Center Operations Manager」(SCOM)の統合により、Service Mapの動的な依存関係マップに基づき、Operations Manager(OM)で分散アプリケーションダイヤグラムを自動的に作成できるようになった
- 「Azure Management Pack」により、SCOMでのパフォーマンス指標やアラート指標の表示、「Application Insights」のWebアプリケーションモニタリングとの連携、さまざまなPaaSサービス(「Azure Blob Storage」「Azure Data Factory」など)のモニタリングが可能になった
- 「Azure Update Management」との統合により、「Virtual Machine Manager(VMM)2019」で仮想マシン(VM)のパッチ管理が容易になった
サイバーセキュリティ
Microsoftは、セキュリティが依然として顧客の優先課題となっていることを踏まえ、セキュリティ脅威の増加や巧妙化への対応を進めた。
- System Center製品がセキュリティのベストプラクティスに沿って、サービスログオンをサポートし、インタラクティブログオンへの依存を回避するようになった
- VMM 2019では、「VM管理者」という新しいロールが使用できるようになった。このロールは、データセンターファブリックの読み取り専用表示の権限を提供する。だが、ファブリック管理権限への昇格が不可能となっている
ソフトウェア定義型データセンター
Microsoftは、コスト削減を目的としたハイパーコンバージドインフラ(HCI)の導入を、オンプレミスデータセンターの大きなトレンドと位置付け、こうした取り組みのサポートを充実させた。
- VMM 2019では、記憶域スペースダイレクトのアップグレードやパッチ適用、ディスクの健全性のモニタリングなどを、ダウンタイムなく実行でき、HCI環境をより効率的に管理、モニタリングできるようになった
- VMM 2019ではストレージ最適化により、クラスタ共有ボリュームでのVHDの配置を最適化でき、ストレージの容量不足によるVMの停止を回避可能となった
運用とモニタリングのモダナイズ
Microsoftは、顧客から評価されているSCOMの拡張性と、管理パックのエコシステムを強化した。
- SCOMにあるWebコンソールのHTML5ダッシュボードとドリルダウン機能により、カスタムウィジェットとSCOM REST APIを使って、レイアウトのシンプル化やモニタリングコンソールの拡充が可能になった
- SCOMの電子メール通知をモダナイズして、HTMLメールをサポートした
- モニターに基づくアラートを改善した。モニターが不健全な状態を報告している場合、運用担当者が単にアラートを閉じてしまうことができなくなり、処置を講じることが必要になった
- ログ管理ツール「Fluentd」を利用することにより、SCOMのLinuxモニタリング機能を拡充し、Linux環境での管理サーバのフェイルオーバーも可能になった
- SCOMの全ての管理パックがWindows Server 2019のロールや機能をサポートした
Data Protection Manager 2019による高速バックアップ
Data Protection Manager(DPM)2019は、より高速でストレージ消費の少ないバックアップを実現する。
- DPMは、バックアップ速度を75%向上させ、Log Analyticsによって、主要なバックアップパラメーターのモニタリングを可能にする
- DPMは、VMware VMのテープへのバックアップをサポートする。また、Windows Server 2019に加えて、「SharePoint 2019」や「Exchange 2019」のような新しいワークロードのバックアップも可能だ
Orchestrator 2019とService Manager 2019
Orchestrator 2019は、PowerShell V 4.0以上をサポートし、64bitコマンドレットの実行を可能にする。Service Manager 2019は、改良されたActive Directory(AD)コネクターとともに出荷される。このコネクターは、特定のドメインコントローラーと同期できる。
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