ローコード開発がもたらす「画面はできたから完成!」という誤解――内製化×ローコード開発推進のポイントとは業務改革やデータ活用のための「武器」

コーディング作業を減らすことでソフトウェア開発のスピードを高めるローコード開発。内製開発と組み合わせることで、短期/低コストでの開発が可能になると期待が高まっている。しかし、実業務で使えるアプリケーションをローコードで構築するには注意すべき点がある。ローコード開発で企業を支援する識者に、推進のポイントを聞いた。

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» 2025年05月30日 10時00分 公開
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 業界や業種を問わず、ビジネスを推進する手段がITとなる中、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しており、ITエンジニアの需要はますます高まっている。そうした中で、いかにスピーディーかつ効率的にITシステムを開発、改善させられるかが経営課題にもなりつつある。そこで注目を集めているのが「内製開発」だ。

ALT シーメンスの東田巌秀氏(シニアマーケティングマネージャー)

 企業がシステム開発の内製化を志向するようになった背景には、DXそのものの性質も関係している。本来のDXとは、最新のデジタル技術を用いてビジネスプロセスを変革し、市場での競争力を高めることを指す。ローコード開発プラットフォーム「Mendix」を提供するシーメンスの東田巌秀氏は「市場環境や顧客のニーズにスピーディーに応えるために、DXが求められています。そのためには開発プロセスはもちろん、組織文化や経営方針など多岐にわたる変革が不可欠です。システム開発を外部に委託するという従来と同様の方法では、DXの実現は難しいでしょう」と話す。

 とはいえ、日本企業の多くは業務システムの開発を外部に委託してきたいきさつがある。社内のエンジニア不足が深刻化している今、すぐに内製開発にかじを切れるわけではない。そこで注目されているのが、ソースコードをほとんど書かずに業務システムを開発する「ローコード開発」だ。

 「いろいろなお客さまと接する中で、ローコード開発による内製化の機運が高まっていると感じます」と語るのは、Mendixの販売、開発パートナーを務めるビルドシステムの新川博己氏だ。特に、概念検証(PoC)や部門単位のスモールスタートでの採用が目立つと話す。また、これまで外部に委託していたシステムや業務アプリケーションの開発を、非エンジニアや事業部門が主導してローコードで内製化する動きも広まりつつあるという。

ローコード開発推進の3つの課題

ALT ビルドシステムの新川博己氏(システム開発本部 カスタマーサクセス室 室長)

 だが、ローコード開発ツールを活用すれば内製化がたちまち成功するというわけではない。「特に問題なのは、画面のUI(ユーザーインタフェース)が出来上がっただけで『もうアプリケーションは完成した』と誤解してしまうことです。コード作成の部分を短期化、省力化しても、要件定義やシステム設計などの上流工程、テストや本番運用への移行など下流工程を正しく実施していないと、実業務で使えるアプリケーションは手に入りません」(新川氏)

 言い換えれば、「ローコード開発を採用するとはいえ、要件定義からテストといった従来の開発工程は全て踏まなければならない」ということだ。それを怠ると、アプリケーションの処理速度の低下や想定外の動作といったトラブルに見舞われる可能性がある。工数についても、ローコード開発にすることでコーディングにかかる工程が削減されるものの、他の工程に要する期間や工数は基本的には従来と変わらない点に注意が必要だ。

 東田氏は「これまで外部のIT企業に開発を委託していた企業にとっては、内製開発そのものにも3つの課題があります」と指摘する。

 課題の1つ目は、内製開発の経験が浅く(または皆無であり)、社内にスキルを持つ人材がそろっていないことだ。システム開発を成功させるには、業務プロセスのあるべき姿(To-Be)を定義し、現状(As-Is)との差分を分析した上でシステムを設計する必要がある。ローコード開発ツールのみでは困難だ。

 2つ目は、内製開発のレファレンスモデルが存在しないという点だ。業務システムを内製開発している企業は多いが、そのベストプラクティスが外部に共有されることはない。システム開発をこれまで外部に委託してきた企業は、どう進めればよいのか分からないまま手探りで進めることになり、非効率なばかりか、期待した成果も得にくくなってしまう。

 3つ目は、DX推進を率いるリーダーの不在だ。DXはビジネスプロセスを変革する全社的な取り組みになるため、役員やマネジメント層がリーダーシップを発揮して進めるのが本来の姿だ。しかし、新川氏は次のように指摘する。

 「日本企業の場合、『DX推進部』のような担当部署を作ってDX推進を任せるケースも多く、役員やマネジメント層の『自分ごと』になっていないことがしばしばあります。その結果、アプリケーション開発時の業務分析や要件定義に全社レベルの協力が得られず、内製開発が難航するのです」(新川氏)

 これらの課題を踏まえると、まず、内製開発の目的が何であるかを企業として明確にすべきだろう。その上で、内製開発をするための手段の一つとしてローコード開発を採り入れる必要があるかどうかを判断する。「ローコードだと良さそうだから」「他社がやっているから」といった理由で採用するとローコード開発自体が目的となってしまい、かえって生産性が低下してしまうことも考えられる。

 また、要件定義やシステム設計、テストといった工程が含まれる以上、事業部門に任せるだけではなく、情報システム部門あるいはパートナーと連携しながら推進するのがポイントといえる。

 「初めて内製開発に取り組む企業の場合、最初から完全に内製化するのではなく、外部のIT企業の協力を得られる体制で進めるのが現実的です」(東田氏)

Mendixで内製化×ローコード開発を包括支援する5つのサービスを提供

 新川氏はMendixがローコード開発ツールという枠を超え、コラボレーション用のツールとしても重宝されているとアピールする。では、Mendixを導入すると内製開発はどれほど快適になるのか。

 Mendixはモデル駆動型開発(MDD)のローコード開発プラットフォームであり、アプリケーションを作成するにはドメインモデルを作成して画面レイアウトとマイクロフローを定義する。Javaなどで記述したソフトウェアとの連携も可能だ。オンプレミスまたはAmazon Web Services(AWS)などのクラウドプロバイダーから、Mendixを導入できる。

 「世界に4000社以上の成功事例を有するMendixは、多くの事例をWebサイトで公開しています。それぞれの企業が培ったMendixのノウハウを開発者に提供する仕組みもあります」(東田氏)

ALT Mendixサービスの全体像(提供:ビルドシステム)《クリックで拡大》

 ビルドシステムは、Mendixを活用したローコード開発支援サービスを提供し、Mendixの導入初期から内製化の推進まで一貫してサポートできる体制を整えている。ビルドシステムが提供するサービスは大きく分けて以下の5つだ。

Mendix App構築支援サービス

 開発するアプリケーションの要件定義から運用、保守までの工程を、Mendixエンジニアが伴走支援する。プロトタイプの作成や実装、テストなど、ハンズオンで支援する取り組みが特徴だ。

プロフェッショナルサービス

 アプリケーションの開発だけでなく、個別の技術的な問題点や疑問点に、Mendixの経験が豊富なビルドシステムのエンジニアが回答して問題解決を支援する。同サービスにはAdvanced Developer(9人)やIntermediate Developer(31人)など、高度なMendix認定資格を持つ同社エンジニアが対応し、顧客を強力に支援するという。

DXスタートアップサービス(PoCパッケージ)

 「DXをどこから始めるべきか分からない」「まずはスモールスタートさせたい」といった企業向けに、コンサルティングとMendixを活用したPoC構築をセットで提供する。

トレーニングコース(公式+オリジナル)

 Mendixを使いこなすための公式トレーニングに加え、ビルドシステムの知見やノウハウに基づいた独自のオリジナルトレーニングを提供する。

Mendix公式認定試験対策

 Mendix認定資格の取得を目指す人向けに、スキルレベルに応じた育成やキャリアパス構築を支援する。

ALT ビルドシステムが提供するローコード開発/内製開発支援サービスの概要。構築支援など5種類のサービスを用意している(提供:ビルドシステム)《クリックで拡大》

 Mendixについての経験と知見が豊富であることも、ビルドシステムならではの強みだ。

 「当社は2016年にMendixのパートナー企業になり、さまざまなビジネスパートナーと共同でMendix開発支援サービスを2019年から提供してきました。2020年にはMendix Academyのオフィシャルパートナーとなり、Mendixのトレーナー企業としてMendixエンジニアの育成にも取り組んでいます」(新川氏)

 ビルドシステムによる支援を通じてローコード開発や内製開発に成功した企業も多い。ある医療機器会社は、グループ会社を統合するに当たって、各社がそれぞれに開発、運用していたワークフローシステムを一本化する目的でMendixを採用した。

 「複数のワークフローをMendix上で1本に再設計し、部品を共通化して再利用性を高めることで、開発期間と開発工数を大幅に削減できました」と新川氏は説明する。この事例の成功要因の一つとして、情報システム部門と事業部門の両部門が要件整理や改善活動に積極的に参加し、連携したことが挙げられるというのが新川氏の分析だ。

シーメンスとの協業関係を通じてローコード開発の普及を促進する

 冒頭でも触れたように、多くの日本企業がローコードによる内製開発に注目し、期待を寄せている。この状況を背景に、ビルドシステムはシーメンスとの協業を通じて国内Mendix市場の活性化にまい進している。具体的な活動として、新川氏は「Mendixエンジニアの養成」「シーメンス主催のセミナーやカンファレンスへの登壇」「Mendixコミュニティーでの情報共有」などを挙げる。

 さらに、両社は「データの民主化」にも共同で取り組もうとしている。

 「Mendixはデータ活用や共有がしやすいUIを備えています。そこにデータ探索に強いデータウェアハウス『Snowflake』を組み合わせて『データの民主化』をお客さまに提案します」と、東田氏。新川氏も「当社はMendixとSnowflakeの両方を扱っています。シーメンスさまと手を携えてデータの民主化を推進する計画です」と話す。

 両社は生成AI(人工知能)技術の取り込みも前向きに考えている。「現在、ローコードでカバーできない部分はJavaでコーディングしています。この部分に生成AIを適用すれば開発の生産性はさらに高まると考えています」と、新川氏。東田氏も「シーメンスは生成AIの活用にも取り組んでおり、すでにリリース済みの『Mendix AI Assistance』(Maia)を通じてアプリケーション作成支援機能を強化します」と語る。

 このように、DXを実現する手段である内製開発を、Mendixを中心に2社で支援する構えだ。

 「ビルドシステムは国内で早くからMendixを取り扱っており、公式トレーニング会社としてMendixエンジニアの育成にも貢献されています。これからもMendixの国内展開の『軸』として活動されることを期待しています」(東田氏)

 「ローコード開発プラットフォームであるMendixを単に『早く作るための手段』としてではなく、業務改革やデータ活用の起点となる『武器』として、お客さまを支援します。ローコード開発の導入や内製化の取り組みについてお困りのことがあればご相談ください」(新川氏)

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提供:株式会社ビルドシステム
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2025年6月29日