初めに行われたのは、Oracle RATによるワークロードのキャプチャー&リプレイに関する検証だ。この作業は、他社クラウド上で動作するOracle Database 11gのワークロードをキャプチャーし、それをOracle Database Cloud Service上の12c環境でリプレイするという流れで進められた。検証作業の内容について、ライトウェル テクノロジーソリューション部の須田謙一氏は次のように説明する。
「まず他社クラウド上の11gのクローンをOracle Database Cloud Service上の12c環境に作り、それを通常構成のデータベースにアップグレードしました。そのうえで、11g環境のワークロードをOracle RATによってキャプチャーし、それをOracle Database Cloud Service上の通常構成の12c環境でリプレイして動作検証を行いました」(須田氏)
続いてライトウェルは、Oracle Enterprise Manager 13cを用いたバックアップの検証を実施した。他社クラウド上のOracle Database 11g環境のデータベースをOracle Database Cloud Serviceにバックアップするというものだ。
この検証において、バックアップ自体は問題なく行えたが、クラウド間でデータベースをコピーする際のスループットが問題となったという。今回の検証では、オープンソースのVPNソフトウェアである「OpenVPN」を使って他社クラウドとOracle Database Cloud Serviceを接続したが、「この構成では大量のデータをコピーするのに十分なスループットが得られなかったのです」とライトウェル テクノロジーソリューション部 ITシステムサービス 1グループ 技師の大西範知氏は説明する。
「OpenVPN環境はチューニングを徹底していなかったこともあり、実測値で800kbps程度のスループットしか得られませんでした。もっとも、今回の環境ではインターネット経由の接続もSSLで暗号化されていたため、セキュリティ上の問題はないと判断し、OpenVPNを使わずにバックアップを行いました。バックアップファイルのサイズは約5GBでしたが、3MB/秒程度のスループットが得られたため、30分弱でバックアップが完了しました」(大西氏)
ライトウェルが経験したように、クラウド間のバックアップやデータ移行では、両者をつなぐネットワークのスループットが大きな課題となる可能性が高い。インターネット経由で接続する場合、OpenVPNのようなネットワーク仮想化ソフトウェアや、クラウドサービス側に用意されたVPN機能を使ってトンネルを張ることになるが、そこで十分なスループットが得られないという事態が起こりうる。特に日常的に行うバックアップでは、想定した時間内にバックアップが終わらず業務に支障が及ぶ可能性もあるため、事前に十分な検証を行っておきたいところだ。
先述のように、今回の検証ではPDBのクラウド間移動についてもテストした。Oracle Database Cloud Service側の12c環境にあるPDBをアンプラグし、それを他社クラウドの12c環境に移してプラグするという内容だ。須田氏は、この作業も問題なく完了したと話す。
「クラウド間のPDB移動も問題なく行えることを確認しました。OpenVPN経由で移したため、クラウド間のファイルコピーに大半の時間を費やしましたが、コピーしたPDBは他社クラウド上のOracle Database 12cで問題なく動作しています」(須田氏)
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