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@IT > インテルが推進する「デジタル・エンタープライズ」が企業の成長を加速する |
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インテルは、ムーアの法則を基盤に、これまでもさまざま技術革新を行い、数々のビジョンを実現してきた。現在、同社が企業向けコンピューティングの分野で取り組んでいるビジョンが「デジタル・エンタープライズ」である。デジタル・エンタープライズが目指すのは、「シームレスなコラボレーション」「情報の処理と伝達」「統合されたIT管理」「多様な接続性」の4つである。これらによって、ビジネス上のさまざまなリスクの軽減とコストの削減、ビジネスの成長を図り、時と場所を選ばない「リアルタイム・ビジネス」を実現するのが狙いだ。例えば、商談中にネットワークを経由して、見積もりを取り直して上司の承認を受けたり、工場の製造ラインの確認を行って納期を調整したりといった、現在は容易ではない、よりリアルタイムの情報処理がデジタル・エンタープライズで可能になる。デジタル・エンタープライズを支えるプラットフォームは、大きくクライアントとサーバに分けられるが、ここではサーバ・プラットフォームの現状と今後について解説していく。
現在、インテルのサーバ・プラットフォームには、大きな変化の波がいくつも訪れようとしている。その中で、最も早く到達しそうなのが64ビット化だ。2001年5月に最初のItanium® プロセッサをリリースして以来、インテルは64ビット・コンピューティングを推進している。加えて2004年6月にリリースしたデュアルプロセッサ版インテル® XeonTM プロセッサ(開発コード名:Nocona)を皮切りに、IA-32プロセッサに対する64ビット拡張(EM64T)のサポートが始まった。 その後、EM64Tのサポートはシングルプロセッサ・サーバ向けのPentium® 4プロセッサ、インテル® XeonTM プロセッサ MPへと拡張され、現在ではサーバ向けプロセッサに関しては、トップ・ツー・ボトムの製品展開が完成した。2005年第4四半期には、サーバ・プロセッサの98%が64ビット化される見込みだ。
このEM64Tでは、仮想アドレス空間が32ビットの4Gbytesから256Tbytesへと大幅に拡大されており、CAD/CAMやデータベースなど、データセットの大きなアプリケーション、ターミナル・サービスのようなマルチユーザ・アプリケーションでの性能向上が期待できる。利用可能な汎用レジスタおよびSIMD命令が利用する128ビット XMMレジスタの拡張による性能向上もあるだろう。Itanium® プロセッサ・ファミリ、EM64Tとも、すでにLinux**における64ビット・サポートが行われてきたが、2005年5月には、マイクロソフトからEM64Tをサポートした64ビット版Windows* XP/Windows* Server 2003がリリースされるなど、ソフトウェア環境も徐々に整いつつある。アプリケーションの対応も今後進むことが予想される。 一方、64ビット化で先行したItaniumプロセッサ・ファミリだが、ハイエンドを中心に徐々に市場に浸透し始めている。日立製作所、NEC、富士通といった日本国内のメインフレーマーのほか、Hewlett-Packard(HP)、Unisys、SGIといったサーバ・ベンダからも、従来は独自プロセッサやRISCプロセッサの領域であったメインフレーム・クラスのサーバが出揃った。x86プロセッサの価格性能比とスケーラビリティは強力だが、高い信頼性が求められるメインフレーム・クラスには数々RAS(Reliability:信頼性、Availability:可用性、Serviceability:保守性)機能を実装するItaniumプロセッサ・ファミリが使われることになるだろう。すでにRISCベンダ9社のうち、8社がItaniumプロセッサ・ベースのサーバをリリースしている。ソフトウェアについても、3000種を超えるアプリケーションが用意されており、サーバ・ベンダは出荷台数ベースで前年比2.8倍の成長を実現している。
EM64T/Itaniumプロセッサ・ファミリを問わず、重要な点はエコシステム(ecosystem)の整備にある。エコシステムとは、ハードウェア /ソフトウェア・メーカー、システム・インテグレータ、サービス・プロバイダなどと協業し、市場の成長サイクルを形成する循環型市場モデルのことだ。上記のソフトウェアの整備もエコシステムの一翼を担うが、ほかにも開発ツール類の整備、ソフトウェア開発者の技術サポートと教育、インテグレーション・サービス、成長が期待できる分野への投資など、エコシステムにはさまざまな側面がある。エコシステムの整備は時間がかかるが、これなしにプラットフォームの普及はない。Itaniumプロセッサ・ファミリが苦戦を強いられたのも、まったくエコシステムのないところからのスタートを余儀なくされたからだ。ここに来て、やっとItaniumプロセッサ・ファミリに対するエコシステムが形成され、普及の循環が生まれつつある。 もちろん、このエコシステム全体をインテルが担うわけではない。アプリケーション・ソフトウェアの整備など、他社に負う部分も大きいが、彼らを支援するのもインテルの重要な役割である。なかでも最も重要な仕事は、プラットフォームの整備ということになるだろう。PCの黎明期においてインテルは、半導体チップを供給するサプライヤという立場だったが、1992年に発表されたPCIバス以降、業界標準技術の開発と、その普及という役割も担うようになった。現在もPCI Express、シリアルATA、Serial Attached SCSI、FB-DIMMなど、同社が主要な役割を果たしている業界標準技術は少なくない。
こうした技術開発という点で見逃せないのは、「プラットフォーム指向」というキーワードだ。現在、インテルは仮想化技術、Intel® I/O Acceleration Technology(I/OAT)、Intel® Active Management Technology(iAMT)などさまざまな技術の開発を行っている。インテルでは、これらの新しい技術を「*Ts(スター・ティーズ)」と呼んでいる。以前と異なっているのは、これらの技術が単に1つのチップ、製品に関するものではないことだ。仮想化技術においては、プロセッサ、チップセットに加え、ファームウェアやVMM(仮想マシン・モニタ)が含まれる。インテルの仮想化技術は、現在ソフトウェアのみで行われているシステムの仮想化に対して、オーバーヘッドを減らすための命令セット加えることで、VMMの記述を容易にすると同時に、性能向上を図ろうというものだ。仮想化技術により、1台のシステム上で、複数のOSを同時利用可能にすることで、システムの可用性が高まる。
I/OATも単にI/Oチップを改良するということではなく、プロセッサやメモリ・サブシステムなど、プラットフォーム全体を踏まえた最適化を行うことで、I/O性能の向上を得ようというアプローチである。以前計画されていたTCPオフロード・エンジンでは、ギガビット・イーサネット使用時のプロセッサ負担を軽減するためのチップを追加する、という発想だったが、そのアプローチでは有用性が限られることが明らかになり、I/OATのアプローチが生まれた。 iAMTについても、チップセット、I/Oチップ、管理ツールなど、さまざまなコンポーネントが組み合せられて初めて効力を発揮する。iAMTは対応したプロセッサとI/Oチップなどを組み合せて構築する、システム管理のための標準インターフェイスといったものだ。これまではシステム・ベンダごとに異なる管理ツールを用いる必要があったが、iAMTをサポートした管理ツールであれば、システム・ベンダやOSの状態(ブート可/不可)などにかかわらず、遠隔地からマシンのメンテナンスが可能になる。このような複数のコンポーネントによるシナジー効果は、分野は異なるがノートPCのインテル® CentrinoTM モバイル・テクノロジでも実証済みだ。
さて、現在インテルが提供しているプラットフォームの現況だが、Itaniumアーキテクチャも順調に推移している。4月に発表された富士通のメインフレーム級サーバ機(PRIMEQUEST**)の本格投入が示すように、ハイエンド・サーバを中心にItaniumプロセッサ・ファミリへの移行が加速している。Itaniumプロセッサ・ファミリには2005年第4四半期にもデュアルコア・プロセッサ(開発コード名:Montecito)が追加されるが、さらにその次のMontvale(開発コード名:モントベール)までプラットフォーム・レベルの互換性が保たれることが明らかにされている。Itaniumプロセッサ・ファミリのプラットフォーム革新はその次、Tukwila(開発コード名:ツクウィラ)に向けてRichford(開発コード名:リッチフォード)と呼ばれるプラットフォームの準備が進められている。このプラットフォームは、インテル Xeon プロセッサ MPと共通になる見込みだ。 IA-32サーバ・プラットフォームは、デュアルプロセッサ版については2004年にリリースされたインテル E7520/E7320プラットフォームが、マルチプロセッサ版については2005年3月にリリースされたばかりのE8500プラットフォームが中心だ。それぞれPCI Expressバスの採用、DDR2メモリのサポートといった基盤技術は共通だが、マルチプロセッサ版のプラットフォームはより大容量かつ高性能で、高い拡張性を持つよう設計されている。プロセッサそのものでも、インテル Xeon プロセッサの64Gbytesに対しインテル Xeon プロセッサ MPでは1Tbytesと広い物理アドレス空間をサポートする。同様にプラットフォーム・レベルで搭載可能なメモリ容量という点でも違いが見られる。性能以外の部分でも、デュアルプロッサ版とマルチプロセッサ版では、可用性の部分に違いがあり、マルチプラットフォーム版プラットフォームはより高い信頼性が得られるよう、メモリ・モジュールのホットスワップや強力なデータ訂正機能を備えるなど、違いが見られる。
2006年は、デュアルプロセッサ版/マルチプロセッサ版ともにデュアルコア・プロセッサが投入される予定だ。サーバにとってのデュアルコア元年となるが、2004年のプラットフォームを利用するデュアルプロセッサ版は、デュアルコア・プロセッサのリリースとともに、新しいプラットフォームが提供される。この新プラットフォームでは、拡張性と安定性に優れたFB-DIMMが採用される予定だ。 一方、2005年にプラットフォームが更新されたマルチプロセッサ版は、デュアルコア・プロセッサにそのまま対応する。E8500プラットフォームでは、4つのプロセッサを2本のシステム・バスに振り分けて搭載する(従来は1本のシステム・バスで4プロセッサ)が、これもデュアルコアを踏まえてのデザインとも考えられる。E8500プラットフォームのシステム・バスは、デュアルコア・プロセッサ搭載時、バスあたり4つのコアになり、これまでと同じになるからだ。マルチプロセッサ版のプラットフォームは次のプロセッサをはさみ、Itaniumプロセッサ・ファミリとの共通化が図られることになっている。
前述のように*Tsと呼ぶ新しい技術が次々とサーバ・プラットフォームに投入されることで、性能や信頼性の向上、TCOの削減が実現される。そして、新しいサーバ・プラットフォームがデジタル・エンタープライズの目指す「シームレスなコラボレーション」「情報の処理と伝達」「統合されたIT管理」「多様な接続性」を可能とし、継続的なビジネスの成長を約束することになる。コンピュータの登場がビジネスを大きく変革したように、デジタル・エンタープライズはビジネスの成長を大きく加速させるだろう。
提供:インテル株式会社
企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2005年7月8日 |
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