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効果を測定しながら実現する 「人間中心」のBPMソリューション |
ビジネスを取り巻く環境の変化が激しい昨今、より効率的で柔軟な業務プロセスの実現を目指すBPMへの取り組みが注目を集めている。多くのベンダから数々のBPM製品・ソリューションが提供されているが、コンピュータだけでなく人が多く介在する複雑な業務プロセスをシステムで管理・実行するのは、容易なことではない。その点、富士通がSOAソリューションの一環として提供するBPM製品は“Human-Centric BPM”(注)、人間が実施する業務や承認、意思決定を含めた業務プロセス、すなわち「人間中心」のBPMを標榜する。一体、どのようなソリューションなのだろうか? |
【注】 Human-Centric BPMとは、判断や承認といった人間が行う作業を含めたビジネスプロセスの管理、自動化に主眼を置くBPMのアプローチ。 |
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業務プロセスの継続的な改善を実現する鍵 | |
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企業を取り巻く環境は大きく変化している。そうした変化に即応するためには、より効率的で柔軟な業務プロセスを実現し、さらに業務プロセス改善に向けたサイクルを素早く確実に回すことが重要だ。PDCAの一連の流れをもっと速く、より業務に沿った形で効果を出していくために、状況の把握(Check)から始めて改善(Act)するCAPDo(Check-Act-Plan-Do)サイクルが有効となる。
まずCheck-Actで業務プロセスの問題分析、改善施策を検討し、Plan-Doで適用する。Plan-Doの前にシミュレーションを行うことができれば、さらに効果的にCAPDoサイクルを回すことができる。
企業の業務改善を支援するソリューションとして注目を集めているのが、BPM(Business Process Management)だ。業務プロセスを可視化・自動化し、その実行を監視・分析し、改善に向けたサイクルを回すことにより、継続的に業務プロセスを改善しようというものだ。
BPMソリューションによって、人間の判断による処理と業務システムを統合し、オープンな環境で「人」「プロセス」「IT」の全体最適化が実現可能になる。
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国内でも急上昇するBPMへの注目度 | |
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BPMソリューションへのニーズは、国内市場よりも、北米をはじめとした世界市場の方が先行している。ワールドワイドでのBPM市場規模は、2006年の16億ドルから、2011年には63億ドルにまで拡大すると予測されている(出典: Forrester Research, Inc./Forecast: Worldwide Business Process Management Market Growth, 2006 To 2011)。
日本のBPM市場の規模は北米などに比べるとまだ小さいが、日本版SOX法の施行に伴う内部統制対応、また激変するビジネス環境下での業務効率改善といったニーズを背景に、国内でも急速にBPMへの注目度が高まっている。
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富士通株式会社 ソフトウェア事業本部 ミドルウェア事業統括部 プロジェクト課長 山崎啓氏 |
「日本では個々の業務ごとのシステム化は進んでいるが、複数の業務を横断的にシステム連携するBPMを実現している企業はまだ非常に少ないのが現状。しかし今後、企業競争力を高めていくためには、業務プロセスの見える化と継続的な改善が不可欠であり、こうした課題を解決するBPMソリューションは、日本市場でも大きく成長すると見込んでいる」と期待を述べるのは、富士通 ソフトウェア事業本部ミドルウェア事業統括部 プロジェクト課長 山崎啓氏だ。
富士通では、1998年から欧米市場でいち早くBPMソリューションを展開してきた。すでに世界20カ国以上で販売実績があり、金融から保険、政府、公共機関、メディア、大学まで幅広い業種で活用されている。国内においても、ここ数年でBPMソリューションの引き合いは増えてきているという。
今回は国内での代表的な導入事例として、通信販売を手掛けるA社の事例を紹介しよう。
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商品カタログの企画/編集作業を効率化 | |
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通信販売のビジネスでは、顧客に多種多様な商品群を案内するため、定期的に商品カタログを発行する必要がある。しかし、この商品カタログの企画/編集業務には膨大な工数と労力が掛かるという。
「商品カタログには毎号600〜700点の商品が掲載され、その制作過程において多数の取引先や部門がかかわってくる。そのため、関係者への電話やFAXなどでの作業依頼は数百件に上り、すべての進捗状況を正確に把握するのは非常に困難な状況だった」と山崎氏。さらに、1号分だけでも膨大な作業を要する商品カタログの企画/編集業務が、複数号分が同時に進行するため、人手による管理には限界があった。
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図1 BPMソリューション導入前の商品カタログ制作プロセス |
A社では、商品カタログ制作の業務プロセス全体を見直し、複雑な作業工程の効率化を目指してBPM導入への取り組みを開始した。しかし、通常のBPM製品ではこうした課題を解決するのは困難であることが判明した。
「複数の商品カタログを作成するプロセスにおいて、都度発生する不特定数の作業を一連の業務プロセスとして定義するのは、一般的には非常に困難。汎用のBPM製品でこれをシステム化するのは、簡単ではない」(山崎氏)
A社では、以前から何度も商品カタログ制作プロセスのシステム化を検討してきたが、自社のニーズを満たすソリューションにめぐり会えず、システム化を断念してきた経緯があった。これに対して富士通は、次のような提案を行った。
「当社のBPMソリューションであれば、一連の作業依頼業務および進捗確認プロセスを階層化して管理することで、人手による複雑な業務プロセスを無理なくシステム化できる。これにより、担当者の進捗管理の負荷を大幅に軽減するとともに、1号当たりの商品カタログ制作期間の短縮も実現できる」(山崎氏)
具体的には、事前に件数を確定できない作業依頼業務が、業務プロセス全体を自動化し、管理する「Interstage Business Process Manager」の導入によって、一連の業務プロセスとして定義することが可能になる。依頼先への作業が発生するたびに、何件でも作業依頼を業務プロセスに追加することができ、「いつ」「誰が」「何をしたのか」が作業依頼1件ごとに記録・管理できるようになるのだ。
これと同時に、電子メールや電話/FAXで行っていた取引先とのやり取りをやめ、新たに構築した業務システムを依頼元と取引先とで共有するよう業務プロセスを改善することにした。このシステムでは取引先側が作業確認を行い、作業進捗情報を入力する仕様とした。このことにより、依頼元が取引先ごとに個別に作業進捗を確認する必要がなくなり、作業負荷が大幅に軽減する。
併せてA社では、商品カタログ制作の業務プロセス全体の見える化を実現するため、業務プロセスの実行状況を監視、分析する「Interstage Business Process Manager Analytics」を導入した。長期にわたる全体行程から、短期作業1件1件の状況までリアルタイムに監視・分析することにより、業務の実行状況を迅速に把握することが可能となる。
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図2 富士通のBPMソリョーション導入後の作業イメージ |
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企画/編集期間を7カ月から4.5カ月に短縮 | |
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BPMソリューション導入の結果、現場の仕事は具体的にどう改善されるのだろうか?
まずカタログ編集部の編集長は、Interstage Business Process Manager Analyticsの監視ツールを使い、全体行程の状況を一目で確認することが可能になる。制作中の複数号のカタログごとに、「今号は印刷中」「次号は編集中で10件の作業が残っている」など、作業行程の進捗状況を漏れなく、かつ素早く確認できるため、カタログ原稿の取りまとめから印刷に至るまでの制作業務全体に関わる工程を効率的に管理できるようになる。
一方、編集担当者は進行中の作業1件ごとに、担当者、取引先、対応状況を、同じく監視ツール上で一覧形式で確認でき、必要に応じて個々の作業状況を詳細に追跡することが可能になる。さらに、あらかじめ設定した監視条件に基づき、自動的にアラート通知を受け取ることもできる。例えば、作業に遅延が発生した場合に担当者がアラート通知を受け取り、取引先に督促メールを出すなど、迅速な対応によって未然に問題発生を防止できるようになる。
取引先にとっても、A社からの作業依頼や修正指示、督促などの通知がリアルタイムで確認できるため、別の作業を行っている場合でも、通知を受け取ってから素早い対応が可能となる。
富士通のBPMソリューション導入によってA社は、これまで7カ月を要していた商品カタログ1号分の企画/編集期間を、4.5カ月へと大幅に短縮できるものと見込んでいる。
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SOAで業務プロセスの継続的な改善を実現 | |
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A社の事例に見られるように、BPMの適切な導入によって、複雑な業務プロセスを可視化し、継続的に改善していくことができる。それを可能にしているのが、Interstage Business Process ManagerとInterstage Business Process Manager Analyticsという2つのBPMソフトウェアだ。
富士通では、企業ITシステムの全体最適化を実現するソリューションとして、「人」「業務システム」「業務プロセス」「情報」という4つの観点からSOAの導入パターンを展開している。両製品は、このうち「業務プロセス」へのアプローチを担うソフトウェアだ。その特長を見ていこう。
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図3 システム全体の概要図 |
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業務プロセスの「自動化」と「見える化」 ―Interstage Business Process Manager― |
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Interstage Business Process Managerは、人手による業務とITシステムを統合することにより業務プロセス全体を自動化し、管理するBPMソリューションである。SOAを支える同社のミドルウェア製品群の中核に位置付けられる製品であり、BPM分野における国際標準技術であるBPMN(*1)やXPDL(*2)、BPEL(*3)にもいち早く対応している。
【*1】 BPMN(Business Process Modeling Notation):ビジネスプロセス・モデリング表記法 【*2】 XPDL(XML Process Definition Language):XMLベースのワークフロー・業務プロセス記述言語 【*3】 BPEL(Business Process Execution Language):ビジネスプロセスモデリング言語 |
これまで書類やメール、電話などにより「人間」の判断で行われていた「承認」「拒否」「委任」といった業務プロセスを定義してシステム化し、自動実行することで、業務の効率と精度の大幅な向上が期待できる。さらに、GUIベースの業務プロセス設計ツール「Interstage Business Process Manager Studio」を利用すれば、簡単なドラッグ&ドロップ操作で業務プロセスをフロー図にし、見える化することができる。これにより、それまで認識できなかった現行業務の問題点を正確に把握し、改善することが可能となる。
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画面1 Interstage Business Process Manager Studioの画面イメージ(クリックすると拡大します) |
また、定義した業務プロセスはシミュレーション機能を使って検証することにより、運用前にボトルネックや運用コスト、作業時間などを試算し、問題点をチェック・修正できる。そのため、運用後のトラブルを大幅に軽減することが可能だ。
さらに、プロセス定義のバージョンを管理することもできる。新しいプロセス定義の運用に変更しても、運用中の業務プロセスは影響を受けずに処理が継続され、現行業務を停止することなく業務改善を進めることができる。
このほか、SOAの標準インターフェースを介して他社製も含めたさまざまなシステムと連携できるため、既存のシステム資産を活用しながら、柔軟に効率良く業務プロセスに応じたシステムを構築することができる。
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業務の「監視」と「分析」 ―Interstage Business Process Manager Analytics― |
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業務の実行情報(イベント)やログを取得し、それを利用して業務プロセスの実行状況をリアルタイムに監視・分析するソフトウェアがInterstage Business Process Manager Analyticsである。Interstage Business Process Managerと組み合わせることで、業務プロセスの異常を迅速に検知し、対処することが可能となる。何らかの異常を検出した際には、異常内容をアラート画面や電子メール、アプリケーションの起動などにより担当者に通知し、迅速な対応をサポートする。
また、業務プロセスの実行状況や作業状況の履歴を集計・分析することで、業務改善のための具体的な問題点を明確にし、業務プロセスの最適化、および継続的な業務改革につなげることができる。この履歴情報は、さらにInterstage Business Process Managerのシミュレーション機能でも活用できる。実際に業務プロセスを実行した際の履歴データを基にシミュレーションを行うことにより、より精度の高いシミュレーション結果を得ることができるのだ。
Interstage Business Process Managerによる業務プロセスの「見える化」「自動化」、そしてInterstage Business Process Manager Analyticsによる「監視」と「分析」。これらを組み合わせて、シミュレーション機能によって効果を測定しながらCAPDoサイクルで全体を速く回すことで、継続的な業務プロセスの改善が実現するのだ。
富士通では、今後も顧客企業の多様なニーズに応えていくため、Interstage Business Process ManagerおよびInterstage Business Process Manager Analyticsの機能拡充を図り、多くの企業の業務プロセス改善を強力に支援していく考えだ。
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提供:富士通株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年8月24日
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