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ITシステムの全体最適化へ 「構想」を過ぎ「導入」段階に入ったSOA 〜InterstageによるSOA実践事例〜 |
SOAというと、何だか大規模でまだまだ先の話……という印象を持つ人も多いのではないだろうか。しかし、いくつかの企業では現場での適用が始まっており、それまで抱えていたさまざまな悩みを解決する効果をもたらしている。 |
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4つの導入パターンから全体最適化へ | |
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ビジネス環境が大きく変化するいま、多くの企業が、変化への対応と企業価値のさらなる向上に向けたさまざまな課題を抱えている。中でも特に重点課題とされているのが、業務統合と全体最適の2点だ。
企業が抱えるこれらの課題を解決するため、ITシステムにも全体最適化が求められるようになってきた。しかし、ITシステムの全体最適化といっても、どこから何をしたらよいのか分からず、いまだ手つかずのままという企業も少なくない。
しかし、企業活動がどのような要素から成り立っているかを考えれば、答えは自ずと見えてくる。つまり、(1)人、(2)業務システム、(3)業務プロセス、(4)情報という4つの要素を統合、一体化していくことで、全体最適化を図ることができる。そしてその取り組みこそが、SOA適用の第一歩となる――このような考え方に基づき、ITシステムの全体最適化を実現するため、富士通が提供しているのが、SOAによるシステム構築を支援するビジネス統合ソフトウェア「Interstage」だ。
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図1 企業システムの全体最適化に向けたアプローチ |
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富士通株式会社 ソフトウェア事業本部 ミドルウェア事業統括部 プロジェクト課長 山崎啓氏 |
こうした考えの下、富士通では4つの要素ごとにそれぞれ、
(1) | 人=ユーザー利便性の向上 | |
(2) | 業務システム=段階的なシステム再編 | |
(3) | 業務プロセス=業務プロセスの改善 | |
(4) | 情報=業務データのスピード活用 |
という顧客ニーズに応じたSOA導入パターンを提案している。
ただ、SOAと聞くと、「大手企業に限られたもの」「先進的な技術で、導入にはまだ早い」といったイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
これに対して富士通のソフトウェア事業本部ミドルウェア事業統括部プロジェクト課長・山崎啓氏は、「すでにSOAは検討段階を過ぎ、導入・実践段階に入っている。実際、当社ではInterstageをベースに、多くの企業へのSOA導入実績を持っている」という。
では、この4つの顧客ニーズに対し、富士通はどんなSOAソリューションを展開しているのか。ここからは、SOAの実践事例を基に、そのシステム概要や導入効果などを紹介していこう。
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実践事例1: Web 2.0技術を活用してユーザー利便性の向上 |
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まず「ユーザー利便性の向上」を実現するソリューションでは、「Interstage Interaction Manager」を中核に、既存システムを変えずにフロントで業務の統合・効率化を実現する。Web 2.0技術であるAjaxを活用することで、Webブラウザのみでクライアント/サーバシステムに匹敵する高い操作性を実現するだけでなく、クライアント運用コストを低減できるのが特長だ。
ある流通業の顧客は、既存システムはそのまま活かしながらフロント側で受発注業務を統合することで、大幅な業務効率化を実現したという。
この従来のシステムでは、受発注管理と在庫管理が連動していなかった。このため、受注入力システムに表示された商品コードをメモ書きして、それを見ながら別の画面で在庫検索を行うなど、受発注業務に多大な手間がかかっていた。しかし「Interstage Interaction Manager」の導入によって、受注入力、在庫検索、さらに得意先検索までの業務を1画面に統合。オペレーターの画面操作の負担を軽減し、導入前に比べ、大幅に業務効率化を図ることができたという。
「導入においても、既存システムには極力手を加えないため、4カ月という短期間でシステムを構築することができた。ここまで短期間でシステム構築できるソリューションはほかにはない。さらに、優れた操作性により、未経験者でも短期の操作教育で利用可能になるのも大きなメリット」(山崎氏)としている。
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実践事例2: 既存システムを活かしながら、段階的なシステム再編 |
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次の「段階的なシステム再編」を実現するソリューションでは、「CentraSite(セントラサイト)」および「Interstage Service Integrator」を活用し、業務インターフェースの見える化と一元管理を実現する。さらに、既存資産やパッケージを連携させながら、変化に合わせ、段階的なシステム再構築が可能になる。
ここで紹介するのは、IT系販社への導入事例だ。この企業の販売業務システムでは、それまでオープンシステムとレガシーシステムが混在し、中継サーバを介したバッチ処理によってデータ連携が行われていた。しかしシステムの複雑化にともない、変更を加えようにも、どこにどのような影響が生じるかが把握しきれなくなっていた。
これを再編するために導入されたのが、富士通のソリューションだ。まず既存のシステム情報を整理・見える化し、次のステップでSOAをベースに販売管理と会計システムおよび周辺システムを連携させ、業務のリアルタイム化を実現した。
具体的には、SOAリポジトリの「CentraSite」によって、どこにどういったシステムがあり、どのようなインターフェースを通じて連携しているかを把握できるようにした。そうすることで、システム変更による影響範囲を迅速に見極めることができ、段階的にシステムを再構築することが容易になる。
次のステップでは、サービスバスの「Interstage Service Integrator」によって、新旧のシステムをアプリケーションの開発なしに(定義ベース)連携させた。既存システムを従来のインターフェースのままサービスバスに接続させながら、段階的にシステムを再構築。移行に当たっては、新旧のシステムを一定期間同時並行的に稼働させ、新システムの整合性や安定性を確認してから切り替えるという手順を踏んだ。この手順により、レガシー(オフコン)の会計システムにはじまり、Web販売システム、調達システム、在庫システムといった周辺システムを順次サービスバスに接続し、最終的には既存の販売管理システム(メインフレーム)からオープンパッケージへの全面切り替えを実施した。
これによって、運用コストを年間1.3億円削減している。さらに、4時間かかっていたWeb販売の受付から納期回答までのレスポンスが、新システム導入により、即時回答が可能となった。
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実践事例3: 属人的で非効率な作業をシステム化することで業務プロセスを改善 |
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3つめの顧客ニーズ「業務プロセスの改善」では、「Interstage BPM Flow」を活用し、人の作業と業務システムを統合して自動化・効率化を図る。さらに、「Interstage BPM Monitoring」によって業務プロセスの状況と異常をタイムリーに見える化。これにより、人の作業を含む一連の業務をシステム化し、継続的に業務プロセスを改善できるソリューションを提供している。
とくに「Interstage BPM Flow」は、グローバルマーケットで高い評価を得ており、北米を中心に160社以上の導入実績がある。中でも注目されるのが、米国大手銀行における導入事例だ。資産運用の口座開設業務をシステム化によって改善し、新規顧客開拓につながる業務効率化と顧客満足度の向上を実現している。
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図2 米国大手銀行における資産運用の口座開設業務の改善 |
システム化される前の口座開設業務では、金融投資アドバイザーが顧客に申請書を書いてもらい、それをFAXなどで集中センターに送り、改めてデータエントリーして審査・承認するというプロセスを踏んでいた。そのため、記入ミスやデータエントリーのミスが多発していたうえ、審査を行う部署に回送する過程で誤配送が発生するなど、処理できる口座開設数に限界が生じていた。
この銀行では「Interstage BPM Flow」を導入し、口座の申請から開設までの業務プロセスをシステム化。具体的には、ユーザーアプリケーションの申請業務システムを使用し、金融投資アドバイザーが顧客対応しながらデータエントリーを同時に行えるようにし、入力ミス防止を図った。また、専門知識が必要だった審査時の複雑な業務の流れを自動化することで、作業効率の向上を実現している。
この結果、申請業務に関わる作業ミスが従来の60%から1%に激減するとともに、口座開設までの期間を17時間から6時間に短縮。現在では、当日開設も可能となった。
山崎氏は、「金融市場では海外中心に導入が進んでいるが、日本の金融機関でも同様の課題を抱えているのが現状。今後は、国内の金融市場に向けても、人の作業に頼った属人的で非効率な業務のシステム化を積極的に提案していきたい」考えを示した。
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実践事例4: 日々の最新情報に基づき的確な判断を下す、業務データのスピード活用 |
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「業務データのスピード活用」の顧客ニーズに向けては、業務データの仕分け・集計処理を大幅に高速化する「Interstage Data Effector」と、オンライン業務のデータをリアルタイムに活用できる「Symfoware Server Mirroring Controller」によって、経営環境や市場の変化に素早く対応できる情報活用ソリューションを提案している。「商品単位で売上をチェックしたい」「売上実績データが毎日欲しい」といった利用ニーズに対して、基幹業務に影響を与えることなく、各ニーズに応じたデータをタイムリーに入手できるシステムを実現する。
なお、「Symfoware Server Mirroring Controller」については、富士通のストレージシステム「ETERNUS」と連携した高速ミラーリング技術を採用している。
ある流通卸業の顧客では、販売実績や在庫実績の仕分け・集計処理を独自アプリケーションで実現すると10時間かかると見積もられており、そのままでは夜間バッチに組み込むことができなかった。そのため、即日の売上実績を正確に把握することは困難な状況であった。
これに対して、「Interstage Data Effector」を導入することで、データ処理時間は40分にまで短縮。その日の売上データを翌朝までに担当部門に提供できるようになった。この結果、経営スタッフや営業マネージャが、最新の実績を正確に把握して、目標達成に向けた営業活動を行うことが可能になったという。
今回紹介したITシステムの全体最適化に関わる4つの顧客ニーズと、それぞれのSOA導入事例は、人ごとではなく、自社にも当てはまると感じた方も多いのではないだろうか。
このようにSOA適用は、決して未来の話でも概念的で大げさな話でもなく、企業が抱える身近な課題を解決する手段になってきている。ユーザー利便性の向上や段階的なシステム再編、業務プロセスの改善、業務データのスピード活用――どれか1つでも自社の抱える課題と重なるものがあると感じるならば、富士通の「Interstage」ソリューションによって、課題解決への第一歩を踏み出してみてはいかがだろう。そのアプローチこそ、企業の全体最適化につながっていくのである。
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提供:富士通株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年6月20日
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