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■回答者 |
富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージインテグレーション統括部 |
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統括部長 熊沢忠志氏 | ![]() |
部長 荒木純隆氏 |
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プロジェクト部長 関和久氏 | ![]() |
プロジェクト課長 岡安尚昭氏 |
■質問者 |
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アイティメディア @IT編集長 三木泉 |
クラウド化の波は、企業内でのIT基盤にも大きな影響を与えつつある。そこで求められているのは「プライベートクラウド化」、すなわちクラウド的な技術を使ってITインフラの効率と俊敏性を同時に高める取り組みだ。では、プライベートクラウドに求められるストレージとはどのようなものなのか。@IT編集長の三木泉が、富士通ストレージ事業のキーマン4人に話を伺い、本音を語ってもらった。以下はその質疑応答の抜粋だ(本ページ下のアンケートにお答えいただくことで全文をお読みいただけます)
――ハードウェアは安価なものを使い、仮想化と自動化の技術によってスケーラビリティ(拡張性)やエラスティシティ(伸縮性)を確保するのがクラウドであるというイメージが一般化しています。ストレージについても、大容量のハードディスクをたくさん並べて使えばよいのではないかという見方がありますが、これについてどう考えますか。
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富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージインテグレーション統括部 統括部長 熊沢忠志氏 |
熊沢 パブリッククラウドの世界ではそのようなストレージシステムの作り方があります。そういった構成のコンポーネントに使われるのはSATAドライブやIAサーバで、IAサーバの中にストレージを管理するためのミドルウェアを組み込んでいます。そういったストレージ・ミドルウェアは、われわれがETERNUSシリーズの中に組み込んでいるコントローラーの機能に似たものを目指しています。
グーグルやアマゾンは、こうしたシステムを運用できるのかもしれませんが、企業の皆様が同じことをすべきでしょうか。ストレージを長年やってきた私としては、あまりお勧めしません。例えば当社のETERNUSというストレージは、われわれ多数のスタッフの苦労の塊です。それと同じものを一から作って保守も含めてやることを、すべての企業の皆様ができるとは思いません。すでにあるものであれば、買って使うというのが、企業のデータセンターとしては適切な選択ではないかと思います。
荒木 パブリッククラウドでは、比較的均一なサービスを対象としてスケールするとかコストメリットを享受するといった使い方が一般的です。しかし、プライベートクラウドの趣旨は、企業や団体が自分たちの強みを生かすためのシステムを、意識的にオンプレミス(企業内設置)型で構築するということです。当然そこには、特徴的なアプリケーションがあり、パブリッククラウドでは提供されていないさまざまな機能が求められます。ストレージについてもそういう機能を使わなければなりません。コモディティ化した素材を集めたもので必ずしもすべてを提供できるわけではありません。
もう1つ重要なのは運用性です。グーグルのようなファイルシステムを作るのは、やってやれないことはありません。しかしそれを運用するという観点で考えたときに、ツールや利便性の問題があります。従来のストレージで提供されている洗練された機能をうまく使いながら、それと、集約しながらコストを下げるとか利便性を上げるという部分をうまくミックスしながら使っていくのが、プライベートクラウドで重要なポイントだと思っています。
――具体的な例では、ヒューレット・パッカードが買収したLeftHand Networksには、仮想マシンでソフトウェアとしてストレージをコントロールする機能によって、複数のサーバ内蔵ハードディスクドライブ(HDD)をまとめて使う製品があります。それも使いやすいような形でそれなりにまとめている。そういうものが広まってくると、簡単にHDDをまとめてストレージが作れるのではというイメージを持つ人が出てくるかもしれません。
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富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージインテグレーション統括部 部長 荒木純隆氏 |
荒木 LeftHandやイコールロジックなどは「スケールアウトストレージ」という方向性を示しています。従来になかった手法という意味では、新しい取り組みといえます。ただ、プライベートクラウドの中で本当に全ての要件をそれらのストレージが満たせるかというと、それはノーだとわれわれは思っています。また、そういったスケールアウトの技術は今後も進展していくと思いますが、結局はその機能に依存してしまい、テクノロジーが変化することで、当然その仕組みが変わってしまう。企業にとってシステムの継続性を考えると、これが本当にいいことなのかどうかというのは、1つの判断ポイントになると思っています。
関 スケールアウトストレージは、要求が見えなくてどこまでも広がるようなときにはいいかもしれませんが、ある程度要求が見えているときには従来型のものできちんとやった方が、組みやすいし増設もしやすいと考えます。
――クラウドでは、サーバもストレージもできるだけ均一なインフラを作って、それにさまざまなアプリケーションを統合することが効率化に繋がるという言い方もされます。それについてはどう考えますか。
荒木 企業・団体におけるITシステムはそれぞれにサービスレベルが違うというのがわれわれの認識です。サービスレベルの違うものを統合するときには、ある程度の許容範囲の中で統合していくべきであり、すべてを1つのシステムに無理やり統合してしまうのはそもそも間違っていると思っています。
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富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージインテグレーション統括部 プロジェクト部長 関和久氏 |
例えば、非常にサービスレベルの高いシステムがあって、そのシステムにすべてのシステムを合わせて統合してしまうと、膨大なコストがかかってしまいます。それは現実的な話ではありません。お客様としては、コストダウンしたいところはしたい。そのためには、システムをある程度サービスレベルでいくつか分類して、それぞれに統合していく。それぞれをある程度規模感のあるような形で統合していくことによって、最終的には統合のメリットやコスト、運用性の改善といったメリットが享受できると、われわれは考えています。
熊沢 全てのものはSATAハードディスクで十分だとか、全部iSCSIで統合すべきといったメッセージを発信しているストレージ・ベンダもありますが、そういう意味の均質化を進めると現在のテクノロジーが全部変わってしまうということになります。システムや、そのシステムを構成するコンポーネントは今後まだどんどん進化します。SATAで止まるわけではありません。ネットワークにしても、やがて新しいものに取って代わられるでしょう。そういったときに、物理層を完全に切り離して仮想化すれば、運用を変えなくていい。いま、仮想化の基盤の上でクラウド運用を作り上げてしまえば、将来的に新しいテクノロジーを導入するにあたっても、システム構成をできるだけ変えずに、どんどん先へ進んでいくことができる。それがクラウドのいいところだと思います。
ETERNUSシリーズでは、シリーズ構成として全てのモデルが同じ機能をSLAに応じて提供できることをメリットとしています。全てのモデルで共通の機能を提供し、これをさらにETERNUS SF Storage Cruiserというストレージ・ミドルウェアで統合することによって、均質化、統合化を提供できています。ストレージ・ミドルウェアによる均質化、そして仮想化による均質化が、われわれの答えです。
――新興ストレージ・ベンダは特徴的な機能を打ち出して、これこそクラウド時代に求められる機能だ、われわれのストレージは新世代ストレージだ、富士通などの従来型ストレージは古いという言い方をします。これについてはどうですか。
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富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージインテグレーション統括部 プロジェクト課長 岡安尚昭氏 |
熊沢 クラウドは、シンプロビジョニングやスケールアウト、ディデュープ(重複排除)といった特定の機能を指すものではありません。統合、仮想化、最適化、自動化というステップを追って作り上げていかなければいけない。あるいはそういう機能の組み合わせを行うためのシステム運用の考え方だと捉えています。例えばスケールアウトという要件が必要であれば、規模に応じて中・小型のETERNUSを水平展開してストレージ・ミドルウェアで統合することによって、スケールアウトすることもできます。シンプロビジョニングが必要であれば、すでにわれわれが提供しているシンプロビジョニングのツールをお使いいただければいい。ETERNUSでは、これまで統合・仮想化で必要とされてきた、あるいは要望されてきた機能は全て組み込み済みです。
クラウドは始まったばかりで今後もっと進化していきます。ストレージも新しい技術、そのような遠いクラウドの世界を達成していくための技術を、これから追加していかなければいけない。そういう新しい技術を取り込んでいくためにはしっかりした基盤が必要です。その基盤・土台という意味で、ETERNUSは基礎体力を十分持っていると思います。
「古い」という表現が何を指すか分かりませんが、われわれが常に訴えている堅牢性や高性能・高信頼、これを古いというのであれば、それは違います。クラウド時代も含めて、高性能・高信頼というのは、企業システムの中で普遍的な価値だと思っています。
――ETERNUSシリーズはクラウド時代の要求にどう応えることかできるのですか。
岡安 お客様においては徐々に、開発環境だけではなく業務系もクラウド化する例が出てきました。するとお客様にとって高可用性やデータ保護が重要になってきます。すなわち、ETERNUSが最も得意としている領域にやっとお客様の関心やニーズが入ってきました。ここにおいて、高信頼や高性能、データ保護といった技術を、業務とあわせてお客様に提供できる、これが富士通の強みである、そういうメッセージをやっと言える段階になってきました。今後も仮想化技術の変化にキャッチアップして、お客様の求めるさまざまな環境でのETERNUSのソリューションを提供していきたいと考えています。
荒木 私どもに特徴的なのは、国内・国外を問わず、製品を開発している事業本部の中に、インテグレーションをする部署があるということです。ストレージを開発している本部の中で、お客様の実際のシステムの設計・構築をしています。そこでの課題を必ず製品開発にフィードバックすることができます。こうした取り組みが、他のベンダとは違うと考えています。
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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2010年08月31日
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