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ディスクスペースが大量に余っているのにストレージ機器を買い換えなければならなかったり、重要なシステムは確実なバックアップが必要なのにバックアップ作業をする時間が取れなかったりと、ストレージ管理をめぐる環境は矛盾がますます大きくなっている。富士通の「ETERNUS VS900」は、こうした問題をどう解決するのか。 |
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ストレージ・データ管理の無駄を省け | |
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富士通が提供している「ETERNUS VS900」は、ストレージ管理における「魔法の箱」のような存在だ。これを使うと、ストレージの物理的な構成とは切り離された論理的なストレージを構成して、利用することができる。これを実現するためにシステムを入れ替える必要はない。既存のストレージ装置を、新しいストレージ装置と合わせて、効率的に利用できるのが大きなポイントだ。
いままで使ってきたストレージ装置の容量が足りなくなってきたら、このストレージ装置を新たに購入したストレージ装置と組み合わせ、論理的に1つのストレージとして構成することで、実質的な容量拡張が可能になる。既存ストレージの容量が不足してくると、ストレージ装置自体を入れ替えなければならないと考える人が多いが、VS900を使えば、これまでのストレージ装置を捨てる必要はまったくないのだ。
VS900では、ストレージ利用における無駄を積極的に減らすことができる。
ストレージ装置を利用する際、通常はストレージ装置内のディスクドライブでRAIDグループを作成し、そこから論理ユニット(LUN)と呼ばれる領域を切り出して、各アプリケーションに割り当てるという作業を行う。この際、アプリケーションごとに将来のデータ量増大を見込んで、領域をあらかじめ大きめに割り当てることが行われている。
しかし、いざ運用を始めてみると、データ量が思ったほど増えず、せっかく割り当てておいた領域が使われないままになってしまうケースが多い。1つのストレージ装置に多くのLUNを構成していると、さらにストレージ装置全体としての無駄が発生しやすくなる。ところがLUNを再構成する作業は一般的にとても大掛かりなものになってしまうため、多くの企業では放置せざるを得ない。一方VS900では、管理ツール上の操作だけで、ストレージの構成を変更できる。アプリケーションの運用を開始した後でも、いつでもLUNの再構成が可能だ。
VS900のこうした機能を活用すれば、ストレージ統合は迅速に、シンプルな作業で実現できる。すべてのストレージ装置をVS900で一括制御できるようにすれば、あとはすべてのストレージ装置を論理的に単一のストレージとみなして、LUNを新たに切り出したり、再構成したりすることができるからだ。複数のストレージ装置をまたがって1つのLUNを構成できるため、非常に柔軟なディスク容量管理が実現できる。
業務システムのデータ管理における最も切実な問題は、バックアップをしている時間がとれないということだ。VS900は、この問題を簡単に解決してくれる機能も備えている。最近のアプリケーションはデータ量が大幅に増大し、平日夜間にバックアップを取りきることは難しくなっている。夜間であっても止めることのできないアプリケーションも多い。そこで役立つのがVS900の「レプリケーション(複製)機能」だ。
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富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージソリューション事業部 プロジェクト課長 大村英明氏 |
VS900には、稼働中のアプリケーションを止めることなく、あるLUNから別のLUNへとデータをコピーする機能がある。これは、VS900が独立して実行する機能だ。従って、サーバへの負担はまったくなく、アプリケーションのパフォーマンスへの影響もない。重要なデータを、バックアップ用のLUNに複製してしまえば、これをそのままバックアップ・データとして利用できるし、必要に応じてテープに落とし込むこともできる。
これに似た「マイグレーション(移行)機能」も便利だ。ストレージ製品には、ほかのIT製品と同様に寿命があり、いつかは新たな装置に切り替えなければならないときが来る。しかしその作業が大変だ。通常はストレージ装置上のデータを、まずテープにバックアップし、これを新しいストレージ装置にリストアする。しかし、データが膨大な量になっている時代に、こうした旧態依然とした方法をとるかぎり、近い将来には土日を完全に費やしても、移行作業を終えられなくなる。「いまはなんとかサーバでバックアップをとって、落とし込むことを考えているが、この先データが増えていけば業務を止めてまでやらなければならない、と不安に思っているIT管理者は多い」(富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージソリューション事業部 プロジェクト課長 大村英明氏)。
IT管理作業が業務システムの稼働時間に食い込んでしまうとしたら、業績に直結する重大な問題だ。
VS900では、アプリケーションを止めることなく、あるLUNから別のLUNにデータを移行できる。サーバの性能には影響を与えない。移行に伴うサーバ側の設定変更も不要で、人為的なミスが発生する可能性も大きく減少する。ストレージの移行作業は通常、前もって十分な計画を練らなければならないが、VS900を使えば、いつ作業を実施してもかまわない。
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「ストレージ仮想化」というキーワードの実像 | |
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最近、「ストレージの仮想化」というキーワードがあちらこちらで聞かれるようになっているが、VS900もストレージ仮想化製品の1つだ。ファイバチャネル・スイッチという形態をとっていて、サーバとファイバチャネル接続ストレージの間に設置して利用する。
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VS900は、ボックス型筐(きょう)体に16ポートのファイバチャネル・ポートを備えている。詳細スペック等は、富士通ストレージシステムのウェブでご確認いただきたい。 |
ストレージ仮想化は、機能をどこで実行するかによって、「ストレージ型」「サーバ型」「ネットワーク型」の3つに分類することができる。
ストレージ型は、ストレージ製品が備えている機能のことだ。RAIDも、複数のディスクドライブを1つのドライブであるかのように見せるという点で、最も基本的なストレージ仮想化といえる。ストレージ製品によっては、より高度なストレージ仮想化機能を備えているものもある。
しかし、ストレージ型のストレージ仮想化は、基本的にストレージの筐(きょう)体を超えた適用ができない。できたとしても、同じベンダの同様な機種に限られる。基本的に、サーバとストレージとの関係がn対1の環境で使われるものだ。
サーバ型は、サーバ側で特別なソフトウェアを動かして実現するストレージ仮想化の手法だ。こちらはストレージ型とは反対に、サーバとストレージの関係が1対nとなる。サーバに、本来の目的とは直接関係のないソフトウェアを導入しなければならないというだけでもリスクがある。さらにこのソフトウェアが仮想化のための制御を実行するので、サーバのパフォーマンスへの影響は避けられない。
VS900が採用しているネットワーク型のストレージ仮想化は、これら2つの方式の欠点を解消することができる。サーバとストレージをn対nで仮想的につなぐことができ、構成の自由度が高い。サーバ、ストレージともに、異なるベンダの製品を組み合わせられ、最もオープンな手法だともいえる。
ネットワーク型のストレージ仮想化製品にも2種類ある。「インバンド方式」と呼ばれる方式では、サーバとストレージとの間でやり取りされるデータを、仮想化製品がいったん受けてから処理を加えて渡すようになっている。この方式では、仮想化製品がボトルネックとなり、パフォーマンスが低下してしまいがちだ。VS900が採用しているのは、「アウトオブバンド方式」。制御データはVS900が受け取って処理するが、データのやり取りはサーバとストレージが直接実行する。このため、パフォーマンスに影響を与えない。
VS900は論理的に構成した仮想ディスクと、物理的なストレージとの間の関係性情報を常時管理する役割を果たす。従って、万が一VS900に障害が発生すると、サーバがストレージを使えなくなってしまうが、2台の冗長構成による導入が標準となっているため、1台が故障したとしても、問題は発生しない。なお、それぞれの装置における電源装置とファンは多重化されている。
サーバについても、ストレージについても、設定変更や入れ替えを行うことなく、すでにある資産をそのまま活用しながら、最新型のストレージ管理を、高い信頼性とともに実現できるというのがVS900の最大のメリットだ。
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ストレージへの投資を先送りしていける | |
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VS900では物理的なストレージ上のLUNを「仮想ストレージプール」にまとめ、ここから「仮想ディスク」を作成してアプリケーションに提供できる。ストレージ装置上のLUNはどのような構成になっていてもよい。ストレージ構成を完全に仮想化することで、すべての物理LUNを論理的に結合し、単一のLUNであるかのように見せられるからだ。ストレージにおけるLUN設定は、ほとんどの場合、いい加減でかまわない。仮想ディスクの切り出しにおいても、余分な容量を割り当てておく必要はない。後からも、管理ツール上で設定変更をするだけで、簡単に仮想ディスクの容量を増やすことができる。
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VS900では、複数の物理ストレージ装置を1つの「仮想ストレージプール」にまとめ上げ、ここから仮想ディスク(論理的な領域)を切り出せるようになる。後から簡単に、この領域のサイズを変更できる |
ここにもコスト削減のチャンスが生まれる。上述のように、従来型のストレージ管理では、LUNの設定変更に個々のストレージ装置の専門知識を持ったエキスパートが必要なため、遊休スペースがそのままになりがちであるばかりでなく、現在は不要と分かっている容量まで、先回りして用意しておかなければならなかった。
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富士通 ストレージシステム事業本部 ストレージソリューション事業部 藤田賢一氏 |
しかしVS900を使えば、各アプリケーションへの当初のストレージ容量割り当ては最小限でよく、その後も必要に応じて少しずつ、ストレージ装置を追加調達していけばよい。すなわち、VS900では遊休スペースを効率的に利用することで、ストレージ装置への投資額を減らすことができ、さらにその投資を先送りしていくことができる。
ストレージ製品では、ソフトウェアのライセンスが、データ容量の増加に従って高額化するケースがあるが、VS900ではそんなことはない。管理は「ETERNUS SF Storage Cruiser」から行うが、この管理ソフトは数十万円だ。レプリケーションは「ETERNUS SF AdvancedCopy Manager」で行うが、「これもコピーを実行するためのライセンスだけでよく、容量によるライセンス料は発生しない」(ストレージシステム事業本部 ストレージソリューション事業部 藤田賢一氏)。
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その場限りでない長期的な対応策が必要 | |
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ストレージはITシステムのなかで、最も難しい分野の1つだ。ストレージ自体が積極的な価値を生み出すものではないだけに、積極的な投資対象にはならない。だからこそ、効率的で安定的な運用が求められる。一方で、業務上の要件が厳しさを増しており、メンテナンスのために与えられる猶予は、さまざまな意味で少なくなってきている。ストレージ管理者は増えないにもかかわらず、運用にもスピードが求められるようになってきている。コンプライアンスなどの観点からストレージ統合を推進なければならないという話はよく聞くが、必要なコストと作業を考えただけで、先に進まなくなっているケースも多い。
VS900はいったん導入してしまえば、その場限りでなく、長期にわたってストレージ投資の削減と管理におけるスピードや柔軟性を確保できる、魔法の箱のような存在なのだ。
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![]() 情報の爆発的な増加とともにストレージ環境が複雑化する昨今、情報システム部門はその管理に幾つもの課題を抱えている。こうした課題の解決法となる、SANスイッチを利用したストレージ仮想化の有効性を紹介する。 |
提供:富士通株式会社
企画:アイティメディア 営業本部
制作:@IT 編集部
掲載内容有効期限:2008年9月30日

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