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@IT > 収益増大のためのCRM戦略 > テーマ2:顧客満足度を向上させたい |
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@IT広告特集企画 収益増大のためのCRM戦略(2) 小山健治 2001/12/10
テーマ1「営業力を強化したい」でも述べたように、CRMの機能は、蓄積した顧客情報をもとに具体的なアクションを展開する「実行系CRM」と、高度な分析機能を使って顧客の潜在的なニーズや行動の傾向を掘り起こす「分析系CRM」の2つに大きく分けることができる。このうちの「実行系CRM」において特に注目され、導入が進んでいるのがコールセンターシステムを構築するためのソリューションだ。 その具体的な狙いは「固定客の確保」である。一般に企業は5年間で既存顧客の約半分を失うといわれており、それがために次々と新規顧客を開拓しなければならない。しかしながら新規顧客の獲得は、既存顧客へのアプローチに比べて数段困難であり、そのコストは5倍以上になるという試算もある。そこで企業競争力強化のカギは、既存顧客の満足度を向上し、そこでの取り引きを拡大していくことにこそあるのだ。 これまでコールセンターといえば、いわゆる「お客様相談窓口」に代表されるように限定的な見方をされてきたが、CRMのビジネスモデルにおいて、コールセンターは非常に広範な役割を果たしている。顧客からの相談や注文にすばやく対応できる機能はもちろん、企業から顧客に働きかけるセールスチャネルとしての役割を持たせることが可能であり、いまやCRM戦略において、欠かせないツールとなっている。
顧客からコールセンターに電話が入ると、そこで得られた発信者番号などをキーにして自動的に顧客データベースを検索する。もしそれが既存顧客であった場合、その情報が即座に手元のパソコンに呼び出されるため、オペレーターは「相手がどこの誰で、過去にどんな取引を行っており、これまでの問い合わせがどうであったか」を把握したうえで応対することができるのだ。これがCTI(Computer Telephony Integration)を用いたコールセンターの基本形態だ。 電話がかかってきたら、少しでも早く顧客の要求にこたえて、短時間で問題を解決することがコールセンターには求められる。それによって顧客満足度を高めることができ、同時に処理時間の短縮がコスト削減につながるのである。 これまでコールセンターで課題とされてきたのは、オペレーターのA氏はX社の担当というように、人材というファシリティが限定されてしまう点であった。そうした体制のもとでは、必然的にオペレーターによって稼働率に大きな差が出てくる。そこにCTIのテクノロジーを適用し、顧客の振り分けを自動化することにより、オペレーターの稼働率を平均化することが可能となる。 ただ、そうはいっても問い合わせの内容によっては、受けたオペレーターの手に負えないケースや、上得意顧客からのクレームが飛び込んでくることもあり、機械的にコールをオペレーターに振り分けるだけでは不十分だ。より高度な専門知識をもったオペレーターや担当営業に、顧客情報とあわせてコールを転送するといった仕組みは、システムとして備えておくべきだろう。 レスポンスの速さが決め手となるビジネス分野においては、さまざまな情報システムとの連携も非常に重要なポイントだ。ユーザーサポート、品質保証、セールス、マーケティング、物流、社内向けヘルプデスクといった業務プロセスとの統合を図り、全社規模でのCRMのソリューションを展開していくというアプローチである。 そうしたインテグレーションの例を、いくつか挙げておくことにする。 1)ワークフロー・システムとの連携 コールセンターで受け付けた注文を、物流部門などのほかのセクションで効率的に処理するため、ワークフロー・システムとの連携を図る。ワークフロー・システムは、受注から出荷に至る処理の流れを管理する機能を持っていることから、「注文した商品が、現在どこで、どのように処理されているのか」といった顧客からの問い合わせも即座に確認し、回答できるようになる。 2)製品データベースとの連携 顧客からの問い合わせ内容が特定製品に関するクレームであった場合、顧客に満足を与える対応をするには深い商品知識を必要とする。しかしながら、現実問題として個別の製品の専門家ではないオペレーターに対して、そこまで高度なスキルを要求するのは不可能だ。こうしたケースにおいては、コールセンターと製品データベースを連携させることが有効な解決手段となる。 自社で扱っているすべての製品のスペックや設計データなどの詳細情報を、直接コールセンターのシステムに取り込むことは無理としても、コールセンターから製品データベースへのシームレスなアクセスを実現し、そこに蓄積された知識を活用できるようにすれば、十分にフォローすることが可能となる。最近では、自然文検索+ナレッジベースと連携するコールセンター向けソリューションパッケージも多い。 3)人事システムとの連携 急を要する顧客対応のため、担当営業あるいは専門技術者を直接アサインできる体制を敷くには、人事システムや勤怠管理システムとコールセンターとの連携が不可欠となる。これらの同期がとれていないことには、管理者は組織的な観点から状況を把握し、的確な判断を下すことができない。
そしてもう1つ、大きなテーマとなるのが「アウト・バウンド」への展開である。これまで述べてきたような、顧客からのアクセスを商談に結びつけるアプローチを「イン・バウンド」と呼んでいるが、これとは逆に、企業の側から顧客に働きかけるのがアウト・バウンドである。質問対応や顧客サポート、クレーム処理など、顧客からのコンタクトをきっかけとして業務を開始する受け身の展開だけではなく、企業からも顧客に対して積極的にアプローチしていくための、双方向の「接点」を備えることが、CRMの窓口となる現在のコールセンターの姿なのである。 こうしたアウト・バウンドの業務においても、バック・エンドのシステムとの連携が大きなカギを握る。データ・ウェアハウスに蓄積した膨大な顧客データから顧客の購買パターンなどを分析し、ターゲットを絞り込んだ上でキャンペーンを展開するなど、顧客1人ひとりのニーズや嗜好にマッチしたマーケティングへの応用は、その代表的な例だ。 もちろん、このようなアウト・バウンドによる働きかけの結果も、顧客データベースにフィードバックすることにより、貴重な全社的なノウハウとなる。どの顧客に対して、誰が、どんなプロモーションした結果、どれだけ売り上げを伸ばしたか、特定の顧客層における商談成立の傾向など、蓄積された履歴データを検証して共有化することによって、だれもがトップセールスマンになることができるのだ。 <主要なCTI&コールセンターソリューション>
従来のコールセンターがCRMにおいて果たす役割が大きく変わってきているのはすでにご理解いただけたと思うが、最近では、電話とコンピュータ・システムを連携させ、電子メールやWeb、FAXなどの異なるメディアを統合的に扱えるようにする技術も登場し、コールセンターは「コンタクトセンター」と呼ばれる新たな形態へ進化を遂げつつある。 その中でも特に注目されているのが、インターネットを通じた音声通話を行なうVoIP(Voice Over IP)機能を備えたソリューションである。この機能を活用したコンタクトセンターでは、顧客はWeb画面上からコンタクトセンターへ接続し、両者で共通の画面を見ながら、音声通話をすることで、情報を共有することが可能になり、より的確な顧客対応が可能となる。 CRMにおける顧客とのコンタクトポイントは、インターネットやモバイル環境の発展により複雑化しているが、CRMにおいてはそれらをコンタクトセンターへ集約するための技術の向上により、いままで以上に効果的かつ効率的な顧客サポートが実現されるようになっており、顧客満足度の向上に寄与しているのである。
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