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金融機関では、営業店の事務作業を低減するため、窓口後方業務をまとめてセンターで代行する効率的な事務統合ソリューション構築が求められている。そうしたニーズを受けて作られたのが、NECソフト株式会社の金融事務統合ソリューションパッケージ「為替集中システム」だ。ここではその事例を紹介するとともに、それに貢献したキヤノン製高性能ドキュメントスキャナーと、開発ツール「CapturePerfect SDK」のメリットを検証する。
金融機関は現在、業界再編や激変する経済情勢の中、より効率的な経営を迫られている。その1つの対策が業務プロセスの改善であり、事務統合ソリューションによる営業店業務のスリム化である。
銀行や信用金庫などの金融機関では従来、為替や手形の処理、口座開設などの事務作業を営業店ごとに行っていた。事務処理は重要な仕事だが、それ自体が収益や顧客満足を生むものではないため、その手間やコストの削減は各金融機関にとって大きな課題だ。しかも、昨今では本人確認書類の増加など、書類の処理の煩雑さは年々に増していく傾向にある。
そこで、多様化する顧客ニーズに窓口として応えていくためにも、営業店の窓口後方業務は一括して事務センターに集中させ、限られたリソースを有効に活用する仕組みづくりが進められるようになったのだ。
NECソフトの金融ソリューション事業部は、そのような金融機関の営業店後方業務を統合した事務統合ソリューションパッケージを構築し、SIを行っている。その中でも今回は、銀行の3大業務の1つである為替業務を支援する「為替集中システム」について、プロジェクトマネージャーである佐野氏に語っていただいた。
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NECソフト株式会社 金融ソリューション事業部 プロジェクトマネージャー 佐野 勉氏 |
「事務統合ソリューションにはメリットが2つあります。1つは、実際の処理を事務センターで行うため、営業店業務が低減されること。為替集中システム導入後に営業店側が窓口で行うのは、為替の受け付けと簡単なチェックだけ、実際の処理は事務センターで行われます。
もう1つは、人員の確保が容易になることです。営業店で事務処理を行う場合、銀行の業務に精通した専門的な人員が不可欠でしたが、事務センターでは業務によって作業がライン化・パート化されています。つまり、事務センターのオペレーターには専門ノウハウの必要がなく、データチェックや入力などの初歩的なPCスキルがあれば作業が可能なのです。業務が増えたからといって、専門の人員や専用機を営業店ごとに拡充する場合と比べれば、大きく人件費をセーブできるといえます。現在このシステムは地方銀行や信用金庫を中心に30以上の金融機関に導入いただいています」(佐野氏)
多数の地方銀行や信用金庫に選ばれているNECソフトのパッケージならではの特徴は、第1に多機能であることが挙げられる。為替処理の大半は金融機関への振込だが、そのほか、雑為替と呼ばれるさまざまな為替処理が存在している。それらの為替処理もパッケージ内でカバーできるよう構築されているのだ。
そしてもう1つの特徴が、早い段階からキヤノン製のドキュメントスキャナーを営業店に導入してきたことだ。NECソフトは、2001年からキヤノン製のドキュメントスキャナーとPCを為替集中システムに活用し、営業店側の事務効率化を支援してきたという。
「為替処理の事務統合では、営業店からファクスで文書を事務センターに送付する形式を採用しているシステムが多いのです。当社では、キヤノン製のドキュメントスキャナーによって為替をイメージデータ取得し送付する仕組みを、いち早く構築しました。ファクス文書に比べてイメージデータを活用した事務統合ソリューションは応用範囲も広く、メリットが大きいのです」(佐野氏)
では、以降、スキャナーを使用した事務統合ソリューションのメリットを見ていきたい。
ビジネスプロセス・アウトソーシングの一端を担う
事務統合ソリューションにおいて、なぜ各店にスキャナーとPCを導入するメリットが大きいのか、まずは為替集中システムにおけるフローを見てみよう。(図)
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為替集中システム システム構成図 |
営業店側は、顧客の記入した各種原本をスキャナーでイメージデータ化し、それに対して、金額や振込先などの書き漏れがないか、簡単なデータチェックを行う。そのイメージデータは事務センターに送信され、そこでOCRにかけられて文字認識される。文字データは誤読や不読をオペレーターによって補正され、役席者によって検証された後、ホストに送信されるのだ。
ここで重要なのは、営業店でスキャニングされた情報は、事務センターのデータベースサーバに蓄積、管理されることだ。そして、営業店に顧客から問い合わせがあった場合に、その場で照会ができるようになったことだ。また、何らかのミスが生じても、その発生元をすぐに把握できる。もちろん、事務センターでどのように処理されたかを営業店側のPCから確認することも可能だ。データ通信にはファクスのように公衆回線を使わないため、通信費の低減も見込めるだろう。
昨今のスキャナーのコンパクト化・低価格化も、スキャナーによるイメージ管理の後押しをしている。店舗の中で場所を取らず、性能も進化しているのだ。加えて、スキャナーは汎用性のあるデバイスだ。予算的に現在は為替集中システムのみを採用した銀行であっても、いずれ他業務も事務統合システム化する場合、スキャナーはそのまま活用することができる。導入のハードルが低く、メリットは大きいため、スキャナーからのイメージデータによる事務統合ソリューションの導入は必然の流れといえるだろう。
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為替集中システム 画面イメージ |
この流れを受けてNECは、2008年8月、複数の信用金庫の為替処理を一括して代行する「信金バックオフィスセンター」を愛知県に開設し、運用を開始した。開発を担当したのは、NECソフト。大規模な為替集中業務サービスであり、信用金庫の枠を超えたビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)である。もちろん営業店からの為替集中には、キヤノン製のドキュメントスキャナーによるイメージデータエントリーが行われている。
このBPO構築から、NECソフトは為替集中システムの開発に「CapturePerfect SDK」を採用した。CapturePerfect SDKとは、キヤノン製のドキュメントスキャナーDRシリーズの外部操作を支援する開発ツールである。
CapturePerfect SDKを採用することで、開発側にどのようなメリットがあるのか、引き続き佐野氏に詳細を語っていただいた。
まず簡単に説明すると、「CapturePerfect SDK」とは、キヤノン製のドキュメントスキャナー「DRシリーズ」を外部アプリケーションから制御するための専用API集である。DRシリーズの能力を最大限引き出すことができる開発ツールだ。
一般的にスキャナーとそれを制御するアプリケーションは、業界標準ドライバであるTWAINやISISをインターフェイスとして接続されるが、これらは標準規格であり、キヤノン製のドキュメントスキャナーの持つ独自の高度な画像処理能力のすべてを引き出すことは難しかった。また、難解といわれるTWAINに詳しい技術者自体も少なく、開発者の確保に難があった。
その点、専用APIであるCapturePerfect SDKは違う。DRシリーズ全機種の機能を引き出すことができ、しかも、プログラムの中からAPIを呼び出すだけでスキャナー機能を制御できる仕組みになっている。VBプログラマならば、スキャナーデバイスに関する専門知識がなくても使いこなせる開発ツールなのである。
しかし、CapturePerfect SDKの利便性はそれだけにとどまらない。DRシリーズであれば「機種に関係なく使える」という部分にこそ多大なメリットがあると佐野氏は語る。
「パーソナルなスキャナーというのは新製品が次々に出てくるものですよね。そうすると、従来のアプリケーションで新機種が動かないという現象も出てくるのです。そのたびにプログラムの改変で機種のバージョンアップ対応を行うのは、正直、大変なコストでした。また、ある営業店に入れたAというスキャナーが半年後には販売終了してしまい、ほかの営業店に導入するときにはBという機種を入れなければならないとなると、同じ為替集中システムであっても、営業店によってシステムが一部変わってしまうということになるのです。これでは何かあったときの対応が煩雑になってしまう。そんなとき、キヤノンさんから提案されたのが、CapturePerfect SDKでした」(佐野氏)
CapturePerfect SDKは、DRシリーズすべてに共通の動作を行えるAPI集である。スキャナーの種類が違っても、インターフェイス部分であるAPIを書き換える必要がなく、アプリケーション開発側による従来のプログラム対応が不要になったのだ。
「キヤノンのドキュメントスキャナーであればCapturePerfect SDKで問題なく制御できると聞いて、飛び付きました(笑)。これまで使用してきた開発ツールとは勝手が違うため、開発の初期段階では苦労もありました。しかし、もうスキャナーごとのプログラム対応が不要なわけですから、今後の展開を考えると開発側のランニングコストを削減できることは確実です。一度プログラムを作ってしまえば、開発生産性はずいぶん上がるので、使ってよかったと満足しています」(佐野氏)
スキャナーを使用したイメージデータによる文書管理は、為替集中システムだけの機能ではない。現にCapturePerfect SDKは手形管理や、本人確証書類を管理するシステムなど、いくつかのパッケージで採用されている。事務統合ソリューションシステム構築・運用を長期的に見た場合、コーディングにかかるコストは大幅にカットできるといえるだろう。
コンパクトで低価格、操作も簡単なスキャナーを営業店に設置することが、1つのインフラとして受け入れられる土壌は整いつつある。これからは、イメージデータをもっと効率的に活用していく段階に来ている。
「イメージデータによる事務統合は、さまざまな業務で求められています。同じプラットフォームを使用し、ほかのグループの業務も一括してセンターで処理できないかという要望はよく耳にしますね。また、事務センターによる為替処理が15時で終了したあと、センターのオペレーターを別作業に当てられないかという要望もあるようです。イメージデータをOCRで処理するという事務作業は汎用性が高いので、より金融機関の業務効率を上げていくために、すでに各金融機関さんに導入されているスキャナーというインフラをどう活用していくか、今後の展開を模索しているところです」(佐野氏)
今後の展開にも、DRシリーズ全機種を制御できるCapturePerfect SDKは力を発揮するだろう。CapturePerfect SDKでスキャナーを制御する部分のコードは、新しい業務の事務統合システムが立ち上がる際にも流用が可能なのだ。
初期導入に際してCapturePerfect SDKは、3カ月の無償技術サポートを提供している。開発者用のサポートサービスなので、専門的な質問も受け付けている。
事務統合ソリューション開発に威力を発揮するキヤノン製のドキュメントスキャナーとCapturePerfect SDKで、イメージデータを存分に使いこなしたい。
■取材協力 社名:NECソフト株式会社 本社:〒136‐8627 東京都江東区新木場1‐18‐7 NECソフト本社ビル 事業内容:コンサルテーション、システムインテグレーション、ソフトウェアパッケージ、教育、各種業務システムの開発、システム運用支援、基本ソフトウェアと汎用アプリケーションパッケージの開発、ASP(アプリケーションサービス) |
■DR-3010C | ||
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〜CapturePerfect SDK 導入事例紹介〜 |
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提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
キヤノン電子株式会社
企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT情報マネジメント編集局
掲載内容有効期限:2008年12月24日
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