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早期着手、モジュール一本化、テスト期間短縮──
重要書類管理ソフトが短期開発できた秘密

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 現物管理にリスクの伴う証券類をどう管理するかは金融機関にとって長年の課題である。今回は、手形や小切手を電子化しHDD保存できるキヤノンITソリューションズのソフトウェア「CheckDock」について紹介するとともに、その短期開発に一役買ったキヤノン製スキャナー用のアプリケーション開発API「CapturePerfect SDK」の利便性について探ってみたい。

   

重要書類を簡単な操作でイメージ管理できる「CheckDock」

 金融機関にとって、手形、小切手、株券などの重要書類を、いかに効率よく、安全に管理するかは重要な業務課題の1つだ。現物を取り扱うことに伴う紛失や破損のリスクを避けるため、マイクロフィルムや光ファイリング、MO(光磁気ディスク)などへの複写・保存といった対策が取られてきたが、入力の手間やセキュリティの問題など、懸案事項は残っていた。

 キヤノンITソリューションズの提供する「CheckDock」は、それらの問題点をクリアすべく開発された帳票管理システムである。手形や小切手をキヤノン製のドキュメントスキャナーでイメージを取り込み、USB接続された2台のハードディスク(うち1台はバックアップ用)に保存する。保存されたイメージデータはコードや日付で簡単に検索できる。

CheckDockにおける操作の流れ
CheckDock

石井氏
キヤノンITソリューションズ株式会社 金融事業本部 金融事業部
ソリューション営業部
石井信行氏

 同製品の企画・営業を担当するキヤノンITソリューションズの石井氏は、次のように語る。

 「CheckDockは、お客さまの声と、長年にわたって金融機関の帳票管理に実績のあるわれわれの経験から生まれたソフトウェアです。開発コンセプトは、簡易な操作性と強固なセキュリティ。事務処理をするユーザーは書類の束をスキャナーにセットし、それが小切手なのか手形なのかという種別を選ぶだけでスキャンから保存までの処理が行われます。セキュリティについては、金融庁の発表資料や金融情報システムセンターのガイドラインを参考に、物理的な持ち出しはもちろん、情報の漏えいや改ざんが行えないよう設計しました」

 セキュリティとしては同社の認証・暗号化システム「CompuSec」を導入。ハードディスクを完全暗号化し、情報の漏えいを阻止する。保存時にはイメージのハッシュが取られ、検索時にその異同が照会されるため、改ざんがあればすぐに判明する。

 「パソコン、外付ハードディスク、スキャナー、プリンターをセットにしたスタンドアロン型のアプライアンスシステムなので、導入しやすいのが特長です。保守も簡単にできるよう、パソコンや外付ハードディスクなどのユニットで構成しており、万が一の不具合時にもユニット交換で対応できます。2007年の秋から販売を開始したのですが、2008年4月時点ですでに数十の金融機関に納品、稼働しています」(石井氏)

 好評を得ている「CheckDock」だが、その開発開始は、2007年1月。短期開発を可能にした背景には、キヤノン製ドキュメントスキャナー専用API「CapturePerfect SDK」の活躍があったという。

   

スキャナーの機種にとらわれない開発が可能


八木氏
キヤノンITソリューションズ株式会社 金融事業本部
第一開発センター
第四開発部 第一課
八木渉氏

 「CapturePerfect SDK」とは、キヤノン製ドキュメントスキャナーDRシリーズの多機能ユーティリティ「CapturePerfect」を、外部アプリケーションから制御するためのAPI集である。スキャナーにアクセスするAPIとして汎用されているTWAINに代わる、独自開発されたDRシリーズ専用のSDKだ。「CapturePerfect SDK」が「CheckDock」開発にもたらした生産性の向上とはどのようなものか、開発者の八木氏に伺った。

 「今回最も利便性を感じたのは、CapturePerfect SDKはキヤノン製スキャナーに共通のAPIだということです。CheckDockは機能の違う複数スキャナーに対応したソフトウェアなので、今までならTWAINを使って機種ごとにプログラムを書き分け、個別に制御を行う必要がありました。今回、モジュールを一本化できたことが開発効率を大きく上げたと考えています」(八木氏)

 プログラム上からCapturePerfect SDKの提供するAPI関数を呼び出すことで、個別のドライバ設定を行なわなくても、どの機種にも同じ動きをさせることができる。開発者側は基本動作においては機種の違いを意識する必要がないのだ。

 「開発がスタートした時点では、まだCheckDockの対応するスキャナーはすべて選定されていませんでしたが、CapturePerfect SDKに対応している機種であればプログラム上問題は生じないので、開発に先行着手することができました。今後対応機種が追加された場合も、各スキャナー共通の動作部分については新たに開発する必要が生じません」(八木氏)

 スキャナーの各種設定をテキストファイルから読み込める点も、「CapturePerfect SDK」の大きな特長だという。

 「CapturePerfect SDKは、裏面もスキャンするのか、カラーか白黒かなどのスキャンパラメータを設定ファイルとして保存できます。今後スキャナーの種類や設定項目が増えても、従来のようにプログラム上で個別に処理を記述する必要はなく、ファイルを書き換えれば事足ります。今後のことを考えると開発側の体力はずいぶん軽減されると考えています」(八木氏)

   

外部委託の工数を大幅に削減

 「CheckDock」の開発に当たり、キヤノンITソリューションズはプログラム開発部分を外部の協力企業に委託したが、その際に「CapturePerfect SDK」によって大きな省力化を実現できたという。委託先の開発工数を大きく削減できたのだ。同じく開発に携わった小坂氏は、その具体的な内訳をこう語る。

 「今回われわれは、多くの機能をもつCapturePerfect SDKから、実際の開発で頻用するモジュールをピックアップしてラッピングしたDLLを作成しました。CapturePerfect SDKがさらに単純化されたものなので、目を通せばすぐに使い方は分かります。TWAINで開発するのに比べて大幅な省力化が実現され、工数の削減につながりました。そもそもTWAINやISISに詳しい技術者は非常に少ないため、今までは要員の確保に苦労しておりました。CheckDockはVisualBasicで開発しましたが、スキャナー部分に関してはこのDLLを参照するだけなので、言語さえ理解していれば開発者を選ぶ必要はありません。もちろん、このDLLは今後の開発でも再利用が可能です。

小坂氏
キヤノンITソリューションズ株式会社 金融事業本部
第一開発センター
第四開発部 第一課
小坂智氏

 今回のCheckDockは不特定多数のお客さまにご使用いただくパッケージシステムなので、どのような使われ方をしても障害なく稼働し続けることが重要な要件の1つでした。そのため、TWAINなど、従来の開発手法を用いた場合、テストに多くの時間を必要としていたのですが、CapturePerfect SDKはDRシリーズのスキャナーの共通APIであるため、基本の動作確認は1機種だけで行うことができます。機種ごとにTWAINやISISで開発していたときと比較した場合、テストケースだけを単純計算してもかかってしまう工数は何倍も違うでしょう。CapturePerfect SDKを導入したことで、プログラム開発チームのコスト効率は飛躍的に向上したといえます」(小坂氏)

 また、「CheckDock」のように広く使われるパッケージシステムは販売コストを抑えることも重要な課題である。同社では、データベースを使わないシンプル設計や、保守サポート体制の集中化などで今回それを実現させたが、「CapturePerfect SDK」による開発の効率化もまた、直接コストダウンに貢献したといっていいだろう。加えて、「CapturePerfect SDK」のAPIをアプリケーションに組み込んでもランタイムの頒布ライセンス料がかからないところもコスト面では魅力の1つといえる。

   

事務集中を実現する新しいファイリングソリューションへ

 「CheckDock」販売開始からの好評を受けて、金融機関におけるイメージファイル管理へのニーズを確信したキヤノンITソリューションズでは今後、「CheckDock」をも組み込んだ、より多機能で広範なファイリングソリューションを検討中だ。

 「本人確認の厳重化などにより、金融機関で取り扱う紙文書の種類は増えている状況です。そのため、事務集中による効率化への関心は高まりつつあり、われわれにも多くの要望が寄せられています。CheckDockで扱うような手形や小切手のイメージファイルを含め、現在は各支店で管理されているデータをサーバ側で一元的に管理し、各支店はクライアントとしてデータをアプリケーションから制御できるようになれば、事務まわりの管理コストは大幅に削減されるはずです。

 スキャナーまわりのライブラリ開発となると、早くからデバイス関連の開発を行ってきたキヤノングループであるわれわれに一日の長があると自負しています。キヤノンらしい、お客さまに喜んでいただけるファイリングソリューションで新しい価値をご提案していくつもりです」(石井氏)

 ネットワークによるファイリングソリューションの構想は、回線帯域の拡張と業務用スキャナーの低価格化、セキュリティ技術の進歩などにより、バックボーンが整いつつある今だからこそできる新しい提案だ。多くの支店を抱える金融機関や、営業店を抱える販売企業にとっては興味を引かれるものではないだろうか。そして、その場合の開発にも「CapturePerfect SDK」の利便性は発揮される。

 「イメージエントリーをネットワーク化する場合にも、CapturePerfect SDKで開発を大幅に省力化できると思います。クライアントがアプリケーションをダウンロードし、それを実行する際にハードウェアがキヤノンの対応スキャナーであるならば、支店ごとのスキャナー機種の違いを超えて動作させることができますから。

 また、現在のスキャナーはイメージ処理機能がスキャナーのドライバに含まれているので、スキャンと同時にさまざまなイメージ処理を行うことができます。CapturePerfect SDKを使えば、その機能にアプリケーション側から簡単にアクセスできる。発想次第で、もっと面白いことができるかもしれませんね」(小坂氏)

 文書管理ソリューションに欠かせない高機能スキャナーを容易に操作できるようになった「CapturePerfect SDK」は、スキャナー関連開発に多くのメリットと可能性をもたらしているのだ。

■取材協力
社名:キヤノンITソリューションズ株式会社
本社:〒108‐0073 東京都港区三田3‐11‐28
事業内容:情報システムのコンサルティング・設計・構築、運用管理・保守サービスの提供、ソフトウエアの開発・販売

■DR-X10C 最大読込みサイズ:[A3]100枚/分
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フラッグシップスキャナー

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〜CapturePerfect SDK 導入事例紹介〜
第1回 【スキャナー連携アプリをらくらく開発!】

第2回 【重要書類管理ソフトが短期開発できた秘密】

第3回 【短期開発、コストダウンを可能にするワザありSDK】

提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
キヤノン電子株式会社

企画:アイティメディア 営業局
制作:@IT情報マネジメント編集局
掲載内容有効期限:2008年6月30日

CapturePerfectSDK

関連リンク
CapturePerfect SDK
キヤノン/キヤノンマーケティングジャパン


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