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@IT > WebコンピューティングにおけるPDFの可能性を探る |
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企画:アットマーク・アイティ 営業企画局 制作:アットマーク・アイティ 編集局 掲載内容有効期限2002年12月6日 |
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DSLやケーブルインターネットの急速な普及、常時接続サービスの普及と低廉化により、本格的なブロードバンド時代が到来した。テキスト中心の情報を、接続料金を気にしながら閲覧していた時代は終わり、いまではDHTMLやFlashを多用したWebサイトを、ストレスを感じることなく閲覧できる。テレビやラジオ、新聞、雑誌などを利用するのと同じような感覚で、誰もがWebを利用する時代となった。 同時に、サービスを提供する企業の生存競争も激しくなっている。企業は「顧客をつなぎとめる」ために、より表現力が高く、よりインタラクティブで、操作性に優れているWebサイトを実現することを課題としているのだ。 しかし、ここで興味深い事実に目を向けてみよう。利用者はWeb上で文字を読むことに慣れてきたとはいえ、Webを紙に印刷して読みたいという欲求を根強く持っている。その場でメモしておきたい情報や、手元に置いてじっくり読みたい情報を印刷するということがあるだろうし、あるいは、サイトの中から必要な情報のみをピックアップして印刷し、移動中や外出先でチェックするというケースもあるかもしれない。 ところが、実際にWebブラウザの印刷機能を使って印刷してみると、「大事な部分が切れて読めない」「レイアウトが崩れて読みづらい」「不要な情報が含まれる」といった不都合に悩むことがある。そこでニュースサイトの中には印刷用ページを用意しているものもあるが、それでもやはりレイアウト面で問題があり、印刷物には勝てない。 そこで、いま注目されているのがPDFである。「PDFなんて、もうよく使われているのでは?」と思うかもしれない。しかし、ここで言おうとしているのは、なにもあらかじめダウンロードできるPDFをサイトに置いておくというものではない。いま、利用者が必要とする情報をオンデマンドでリアルタイムにPDF化し、提供するサービスが登場してきているのである。 PDFは、コンテンツをWebブラウザに表示させたり、高いクオリティで印刷することができる。必要な情報をWebサイトから切り出し、瞬時にPDFとして入手できるようになれば、利用者にとってWebサイトの利便性は飛躍的に向上するだろう。実例として、PDFのオンデマンド・リアルタイム配信をサービスとして提供している全日本空輸株式会社(以下ANA)のWebサイト「ANA SKY WEB」を見てみよう。
ANAは自社Webサイトの「ANA SKY WEB」で、利用者のニーズに応じた時刻表をオンデマンドにPDFで出力するサービス「時刻表PDFダウンロードサービス」を提供している。会員でなくても誰もが利用できるサービスで、出発地と到着地の空港名を指定するだけで、目的の時刻表を瞬時にPDFで入手できる。実際に試してみると、時刻表の生成は非常にスピーディだ。空港名を指定し[OK]ボタンをクリックすると同時にWebブラウザが開き、PDFとして生成された時刻表が表示される。 ここで、もう1点注目されるのは、時刻表の白く空いた部分は広告スペースになっていることだ。ユーザーの手元に広告の入った時刻表がプリントアウトされて残ることで、広告効果を期待できる。 また、これはANAが予定していることではないが、もし利用者のプロファイルをとることができれば、空いたスペースに利用者をセグメントした広告を入れることも可能になる。PDFのオンデマンド生成には、1つのOne to Oneマーケティングの実現の可能性もあるわけだ。
もう1つのサービスが、「ガイドブック情報」をオンデマンドに提供するものだ。これはANAが発行するクレジットカード「ANAカード」の会員のみに提供しているサービス。渡航先での滞在に利用できる観光情報や公共施設、グルメ情報、現地地図などをPDFにまとめて提供してくれる。
ANAはこれらのサービスの実現で、いままで大量に配布していた印刷資料の配布コストの削減や業務の効率化といった効果のみならず、カスタマーサービスの質的向上を実現している。 ANAは、顧客が必要としている情報をリアルタイムにPDFで提供するツールを手に入れたことで、顧客ニーズに的確にかつ即時に応えることができ、企業と顧客との1対1の関係を築く大きな可能性を得たといえるだろう。
そのほかにも、PDFによる付加価値情報の提供が、魅力あるサービスとして顧客をうまくつなぎとめているケースがある。株式会社インボイス(以下インボイス)は、顧客の電話料金やISP利用料など、すべての通信料金の支払いを代行するサービスを行っている。顧客はインボイスから料金が一括請求されるため、煩雑な料金支払いの処理がなくなり、業務コストの削減につながるというものだ。インボイスは、この通信料金一括請求サービス「GENERAL INVOICE」のメニューの中で、通信料金の明細を集計し、総務部門の担当が必要とするフォーマットで即時出力するサービスを行っている。このサービスでは、単なる集計だけでなく、通話区分や時間帯などの条件で分析し、それをグラフ化した出力も行っており、通信経費の削減を考える企業の総務担当者に役立つ機能を提供しているのだ。このように、インボイスでは料金支払い代行というコアな業務の上に、付加価値サービスを提供し、顧客の囲い込みに成功している。 このように、個人や企業の顧客が必要とする情報をオンデマンド&リアルタイムにPDFで提供することは、顧客との間に新たなOne to Oneの可能性を開くといえる。それによって顧客のWeb活用の利便性と快適性が向上すれば、PDFはWebサイトに欠かせないインターフェイスの1つとして、確固たる地位を確立していくだろう。
それでは、オンデマンドでリアルタイムにPDFを生成し提供するためには、PDFを生成するジェネレータにどのような機能が必要になるかを考えてみよう。ポイントは以下の4点があげられる。
(1)ダイナミックで高パフォーマンスな生成 きれいにPDFが出力できても、生成に時間がかかれば意味がない。特に、インターネットワイドに利用されるWebサイトでは、多くのユーザーから同時に大量のアクセスが発生する。PDFの生成に長い時間待たされるようでは、利用者が離れてしまう。 (2)セキュリティ ダウンロードされたPDFは改ざんされたり、印刷によって複製される可能性がある。利用者の機密情報が外部に漏れることのないように、PDFに印刷・修正・抽出の許可/不許可、パスワードの設定、暗号化発行元の証明となる電子署名などのセキュリティが講じられることが必要だ。 (3)豊かな表現力 デザイン的に貧弱では利用者の目を引くことはできない。利用者に提供したいサービスに合わせて柔軟にデザインを構成でき、システムの実装の際にも容易であることが重要である。 (4)Webアプリ対応 PDFの生成ロジックをシステムに組み込む際に、余計な開発コストや工数がかからないことは必須条件である。ソフトウェアプラットフォームやハードウェアを選ぶ必要がないこと、コンテンツのリソースとなるデータベースの種類に依存しないことが求められる。既存システムへの追加投資や開発コストを抑え、柔軟な連携方法を選択しなければならない。 いま、上記の条件を満たすPDFジェネレータとして注目したいのが、ブレインセラーズ・ドットコム株式会社の「biz-Stream」である。ところで、先に紹介したANAやインボイスの事例で利用されているのが同製品。ほかには東京三菱銀行 bizSTATIONサービス、オリックスグループ、パソナ、大手家電メーカーや大手計測機器メーカーなど、国内の多くの企業の採用実績をもっている。 では、このbiz-Streamにはどのようなユニークな特長があるか、機能を一覧してみよう。
PDF生成ツールにはCocoonなどオープンソースのソフトウェアもあるが、上記の4つのポイントを満たすものとなると、商用のツールに頼るしかないようだ。PDF生成ツールには、帳票の生成に特化した製品がすでに多く出ているが、インターネットワイドな使用を前提に、オンデマンドでリアルタイムな生成を実現した商用製品は、いまのところbiz-Stream以外にないようだ。
PDFは、よりインタラクティブでリッチなインターネットアプリケーションを構築していく上で注目されている技術である。DHMLやFlashは、いまやWebサイトをリッチにするための標準インタ−フェイスとして確立されている。これに、オンデマンド&リアルタイムPDFの機能が加われば、Webサイトはより表現力が高く、よりインタラクティブに進化するはずである。 |
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