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@IT > サプライチェーンを最適化するRFIDの実力 |
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BEAシステムズといえば、オープンなサービス指向アーキテクチャ(SOA)基盤を打ち出し市場を牽引するITベンダとして著名である。そのBEAが、最近話題のRFID分野にも名乗りを上げている。 2006年4月には、RFIDシステムのミドルウェア「BEA WebLogic RFID Edge Server 2.0」を投入した。BEAは、RFID技術の標準化を進めるEPCglobalに深く関わっており、主要なWGにおいてリーダーシップを発揮している。また、米国においてはHPとRFIDシステム導入に向けた“タッグチーム”を結成しており、今後、日本市場を含む世界規模での展開から目が離せない。 今回は、2006年5月10日に両社が共催する形で行った「RFID活用事例ワークショップ」の様子をお届けしよう。通い箱などの“再利用可能な資産管理”でサプライチェーンの可視化とROIの向上を図るのがテーマである。
BEAでプリンシパルRFIDセールスエンジニアを務めるグレゴリー・リー(Gregory Lee)氏が、再利用可能な資産の管理を可視化することにより得られるメリットを語った。 なぜ、通い箱やパレットのような再利用可能な資産の管理にRFIDが向いているのだろうか。それは、システムに参加するプレーヤー数が限定されており、閉じたループで構成されていることが大きい。組織外の協力は最小限で済み、プライバシー対策が必要なエンドユーザーが存在しない。つまり、開いたシステムに比べると複雑性が低く、コントロールが容易である。 また、この分野は常に課題を抱えており、オペレーションの改善はそのまま利益となって戻ってくる。コスト面を懸念されるRFIDタグだが、それはタグの使い捨てを念頭においた場合であり、通い箱やパレットを再利用すれば問題にはならない。 では、再利用可能な資産の管理における課題とは何だろうか。それは、相当数の通い箱の内容、所在、履歴を明確かつリアルタイムに把握できないことだ。目の前にある通い箱がどこへ行くべきなのか即時に判断できないのである。 もう1つの課題は、すべての再利用可能な資産が正しく稼働しているかどうかだ。リー氏によれば、実際の稼働率は20〜40%程度だという。資産の所在地が追跡・管理できないだけでなく、メンテナンスや破損した通い箱の損害請求先が不明確といった課題もある。 これらの課題がRFIDによって改善される、すなわち再利用可能な資産の管理が自動化されることにより人的コストの削減も見込まれる。 フィンランドの郵便事業者であるフィンランドポスト社は、2万3000人の従業員を抱え、年間26億品目の取り扱いを行っている。同社では2005年末より、個別の郵便物を運ぶロールケージの管理にRFIDタグを採用した。
ロールケージの紛失は、ユーザーから多数の空のロールケージが回収されていなかったことが原因で、年に2回のペースで配送システムを停止し、ロールケージの回収作業を行っていた。しかしながら、破損も含めて、年間1万7000個のロールケージが失われ、その補充に年間130万ユーロを出費していた。 フィンランドポスト社ではRFIDの利用により、ロールケージのリアルタイムでの管理を実施。資産の管理やメンテナンスが改善され、TCOが削減できただけでなく、破損したロールケージの適切な賠償請求や、ユーザーの利用状況に応じた適切な課金にも成功したのだ。
共催のHPからはコンサルティング・インテグレーション統括本部の玉木亜弥子氏が、同社のプリンタ組み立て工場でのRFID活用事例を紹介した。RFIDに対応したラインがあるのは、米メンフィスとブラジル・サンパウロにあるプリンタ組み立て工場、米リッチモンドにあるインクカートリッジの組み立て工場の3カ所を含む全世界で30カ所だ。 HPがプリンタ製品にRFIDタグを貼付するようになったのは、 Wal*Martからのタグ付け要求に応じたためだ。 Wal*Martが取引先の企業にRFID対応を要請した事例は非常に有名だが、HPはそれに応じた第1号であった。国内でもヨドバシカメラが同様の動きを見せており、顧客からのRFID対応要請に素早く応えられるかどうかは、今後の顧客満足度、あるいは顧客維持の観点からおろそかにできないものとなっている。 リッチモンド工場では、プリンタ用インクカートリッジの最終組み立てと出荷配送をそれぞれ別の会社に委託している。最終組み立てを担当するSonoco社の建物とMenlo WW Logistics社の出荷センターの間は車で3分程度の距離にあり、1日当たり1〜5万ケースの生産を行う。パレットがRFIDに対応したため、Sonoco社の建物を出発する際には自動的に事前出荷通知(Advanced Shipping Notice)がMenlo側に送られる。
RFIDによって自動化される前は、人間が連絡を取りながら出荷作業を行っていた。まず、フォークリフトによって出荷用パレットを出荷準備エリアに移動し、フォークリフトのスタッフが倉庫スタッフを呼ぶ。次に、倉庫スタッフが検品と出荷ラベルの貼付を行い、改めてフォークリフトを呼ぶ。そして、荷物をフォークリフトで出荷エリアに移動するというプロセスである。それぞれのプロセス間に待ち時間(長い場合は数十分)が発生していた。RFIDの自動化により、このアイドル時間は完全になくなったのである。 このように自動化によってリードタイムの削減にしたリッチモンド工場だが、RFIDタグを手動で貼付するラインも残されている。玉木氏は、この手動ラインに国内でのRFID普及のきっかけを見ることができるという。 RFIDを使って既存のビジネスプロセスが最適化できることはHPの事例からも証明された。しかし、全自動化のような大きなプロジェクトはコスト面からもちゅうちょする企業があるだろう。そこで、HPが提案するのは“Start small, but start now!(最初は小さく。ただし、いますぐ始めよう!)”という考え方だ。リッチモンド工場の手動ラインはまさにこの考え方の典型的な例である。 HPは3年かかってRFIDによるビジネスプロセスの最適化に成功した。しかし、同社はその先を見据えている。玉木氏は語る。「RFIDによってもたらされる財宝はいまだ隠されたまま。サプライチェーン全体の不要な業務と取り去り、より少ない努力で、より多くのプロセスで商品の動きを個体識別できる革新的なビジネスモデルは、RFIDありきという視点から再デザインされる」と。 提供:日本BEAシステムズ 企画:アイティメディア 営業局 制作:@IT 編集部 掲載内容有効期限:2006年6月23日 |
■日本BEAシステムズ
■BEA WebLogic RFID Edge Server 2.0 ■プレスリリース「日本BEA、RFIDソリューション構築用のエッジサーバ『BEA WebLogic RFID Edge Server 2.0』を発売」 ■RFIDシステムにはますます標準への認識が求められる、BEA(@IT News) |